歴史的に有名なオーデコロン5種は、香水の入口としてもおすすめ!
オーデコロンといえば、軽く爽やかな香りで、いつでも気軽にたっぷり使えるのが魅力です。
一般的には濃度の低い香水をすべて「オーデコロン」と呼びますが、長い歴史を持つクラシックなオーデコロンは、ベルガモットなどのシトラスノートを中心にネロリやハーブを組み合わせた香りを特徴としています。
この種のオーデコロンは、アロマテラピーでもおなじみの香りを中心に構成されているので、普段から精油の香りに親しんでいる方が「なにか香水使ってみたいな」というときにもおすすめです。
それでは、気楽に自然にまとえて、なおかつ歴史的にも価値のある5種類のオーデコロンをご紹介します!
オーデコロンの特徴と歴史
まずは、オーデコロンの特徴とその始まりの物語をおさらいしておきましょう。
軽やかで爽やかな使い心地
香水を濃度によって分類するとき、濃度の高い方から順に、
「パルファム(parfum)」
「オードパルファム(eau de parfum/EDP)」
「オードトワレ(eau de toilette/EDT)」
「オーデコロン(eau de cologne/EDC)」
という呼び方をします。
オーデコロンは、「アルコール+水」に、「香料」を1~5%添加したもの。
ほかのタイプに比べて香料の添加率が低く、香りが軽くて爽快感が強いのが特徴です。
たっぷり使っても香りの持続時間はせいぜい1~2時間なので、いつでも好きなときに好きなだけ使ってリフレッシュできます。
ベルガモットを中心にした柑橘の香り
歴史あるブランドで伝統的に作られているオーデコロンには、ベルガモットの香りが欠かせません。
ベルガモットといえば紅茶のアールグレイにも使われる香りですが、良質なオーデコロンでは、あの華やかに拡散するベルガモット香を中心に処方が組まれます。
そのほかの香料はブランドによって変わりますが、基本的にはレモン、ライム、オレンジなどの柑橘類、ネロリやプチグレン、ラベンダーやローズマリーなどがブレンドされることが多いです。
このようなクラシックなオーデコロンが初めて作られた時代は、今のように自由に使える合成香料はなく、天然の素材から抽出した香料を組み合わせて香水を作っていました。
アロマテラピーでも定番の香りが多く配合されているため、精油の香りに慣れていて香水もなにか使ってみたい、という方も比較的自然に使いやすいはずです。
また、性別、年齢、文化など、あらゆるボーダーを超えて支持されている普遍的な香調でもあるので、TPOを気にせず楽しめる香りを1つは持っておきたい、という方にもおすすめです。
さて、この「オーデコロン」という名前ですが、もともとは香水の濃度や香調を表す言葉ではなく、1つの香水につけられた名前でした。
オーデコロンの歴史
「オー・デ・コロン/Eau de Cologne」は、18世紀初頭にイタリア人のジャン=マリー・ファリーナ(1685-1766)によって生み出されました。
彼はドイツのケルンでこの香水を作り、同地に兄弟が創設した会社(1709~)で売りはじめました。
ファリーナの香水はカラブリアのベルガモット精油が中心の軽やかな香調で、強く重たい香水が主流だった当時では革新的な香りでした。
この香水は地元で成功を収めましたが、当時ドイツにいたフランス軍将校たちが「オー・デ・コロン/Eau de Cologne(ケルンの水)」という名前で自国フランスに広めたことで、その人気はヨーロッパ中に拡大していきます。
このオーデコロンですが、同じイタリア人のジャン・ポール・フェミニス(1660-1736)が作った「アクア・ミラビリス/Aqua Mirabilis(驚異の水)」が元レシピであるという説があります。
この「アクア・ミラビリス」のレシピは、フェミニスの死後、ファリーナ家に遺贈されたことになっています。
そして「アクア・ミラビリス」のレシピの正式な後継者は自分であると主張したのが、ジャン=マリー・ジョセフ・ファリーナ(1785-1864/ジャン=マリー・ファリーナの弟の曾孫)。
彼は1806年、フランスのパリにファリーナ社を創設します。
これはケルンのファリーナ社とは別会社であり、オリジナルのオーデコロンとは別レシピにする必要があったため、「アクア・ミラビリス」に改良を加え、独自のオーデコロンとして売り出しました。
このパリのファリーナ社は、1862年にロジェ・ガレ(Roger&Gallet)が買収しました。
(正確には、その前に別の人が買収し、ロジェ・ガレが引き継いだ)
さて、この時代、まだ特許制度などはありませんでした。
18~19世紀に大流行した「オー・デ・コロン/Eau de Cologne」は、その人気にあやかるためのコピー品が大量に出回ることになります。
ベルガモットなどを中心としたフレッシュで軽い香水は全部この名前で売られ、その結果「オーデコロン」という言葉はこの類の香水の総称として使われるようになっていきます。
その中で、ファリーナを上回る人気を得るようになり、現在でも世界中で知られているオーデコロンが「4711(フォーセブンイレブン)」です。
「元祖」オーデコロンは3つある!?
現在、「オーデコロンの元祖」と名乗っているメーカーは3つあります。
- ファリーナ社の「Farina 1709 Eau de Cologne」
ケルンのファリーナ社によるオリジナルのオーデコロン。
ルイ15世、ナポレオン、モーツァルト、ヴォルテール、ゲーテ、ベートーヴェンなどが愛用しました。
現在も当時と同じ場所、同じレシピでオーデコロンを製造しています。
– 公式サイト(ドイツ語) – - ロジェ・ガレの「Eau de Cologne Jean Marie Farina」
パリのファリーナ社のオーデコロンをロジェ・ガレが受け継ぎ、現在も販売しています。
ナポレオンも愛用していました。
ロジェ・ガレの歴史 – 公式サイト – - 「4711 Eau de Cologne」
ケルンのウィルヘルム・ミューレンスが、1792年に販売開始。
1803年に、カルロ・フランチェスコ・ファリーナという人(ファリーナ家とは関係のない人)から名前の権利を買い、しばらくファリーナを名乗っていましたが、裁判の結果別の名前をつけることを命じられ、1881年にオーデコロンを「4711」に改名しました。(製造所の建物の番号)
4711の歴史 – 公式サイト –
各ブランドにはそれぞれの「オーデコロン誕生のストーリー」があり、それぞれの伝統レシピを大切に守り、今もオーデコロンを作り続けています。
ファリーナ 1709 オーデコロン / Farina 1709 Eau de Cologne
ファリーナ/Farina
Top ベルガモット、レモン、オレンジ・ビター、ライム
Middle ガルバナム、ジャスミン、バイオレット
Base サンダルウッド、シダーウッド、ムスク
1708年、ジャン=マリー・ファリーナが23歳のときに作った香水。
彼は、「イタリアの春の朝、雨上がりの野に咲くスイセンと柑橘の花を思い出させる香り」と表現しています。
天然精油はその年や場所によって香りの質が変わることは避けられませんが、自分の香水に対して強いこだわりを持っていたジャン=マリー・ファリーナは、複数の抽出時期の精油を混ぜ合わせることで香水を常に一定の香りに保っていたそうです。
ケルンのファリーナ社は、赤いチューリップがシンボルマーク。
敷地内には本社、工場、店舗、香水博物館が併設されており、現在も当時のレシピでオーデコロンを作り続けています。
(このオーデコロンを入手するには、本店へ行くか、本店のオンラインショップを利用するしかないようです)
68,00 € (125ml)|公式サイト[2024/5/11時点]
オーデコローニュ ジャンマリファリナ / Eau de Cologne Jean Marie Farina
ロジェ&ガレ/Roger & Gallet
Note レモン、オレンジ、プチグレン、ラベンダー、ローズマリー
1806年、ジャン=マリー・ジョセフ・ファリーナが「アクア・ミラビリス(驚異の水)」を改良して作った香水。
「オーデコロン エクストラ ヴィエイユ/Eau de Cologne Extra Vieille」「ジャンマリファリナ エクストラ ヴィエイユ/Jean Marie Farina Extra Vieille」という名前でも販売されていました。
このオーデコロンは、現在ロジェ・ガレが製造・販売しています。
もともと「アクア・ミラビリス」は香水というよりも痛みを和らげる薬として製造されていて、柑橘類やローズマリーなど18種のハーブで作ったアルコール液でした。
「アクア・ミラビリス」が元ネタというこのオーデコロンの香りも、レモン、オレンジ、ベルガモットなどのシトラスノートと、ローズマリー、プチグレン、タイムなどのアロマティックノートが基調になっています。
エレガントで上品な雰囲気もある、爽やかな香りです。
男女関係なく、どんな場面で使っても浮かない香りだと思います。
ナポレオンが浴びるように使っていたという話も有名ですね。
¥7,040 (100mL)|公式サイト[2024/5/11時点]
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フォーセブンイレブン オーデコロン / 4711 Eau de Cologne
フォーセブンイレブン/4711
Top シトラス
Middle ラベンダー、ローズマリー
Base ネロリ
1792年、ウィルヘルム・ミューレンスが、修道士からもらったレシピをもとにして作った香水。
レモン、ベルガモット、オレンジなどの柑橘類、少量のローズマリー、ラベンダー、そしてネロリ、プチグレンなどをアルコールと水で調合し、樽の中で2ヵ月熟成させ、秘密の最終工程を経て出来上がり、という製造工程を200年間守り続けているそう。
クラシックなオーデコロンとしては、ファリーナをしのいで世界中で最も有名な4711ですが、それは香りの良さがあってこそ。
はじけるような柑橘の爽やかな香り、つけたときの爽快感、香りが長い時間残らないという気軽さ、価格の手頃さ。
とりあえず歴史的なオーデコロンをどれか1つ試してみたい!というときは、まずは香りもコスパも◎な「4711」がおすすめです。
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修道院のオーデコロン「王妃の水」
ここまでオーデコロンの「元祖」3ブランドを紹介してきましたが、オーデコロンの歴史を語るうえで外せないブランドがあと2つあります。
1つは、イタリアの「サンタ・マリア・ノヴェッラ」。
「世界最古の薬局」ともいわれていますが、その歴史はケルンでオーデコロンが話題になるはるか昔、13世紀まで遡ります。
この薬局はもともと修道院で、修道僧たちがハーブを育て、そのハーブを使って薬や軟膏を作っていました。
そして1533年、サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局内で「アクア・デッラ・レジーナ/Acqua della Regina(王妃の水)」という香水が調合されます。
イタリア・フィレンツェのメディチ家からフランス王家のアンリ2世に嫁ぐカテリーナ・ディ・メディチのために作られたものですが、これは柑橘類とハーブをベースにした爽やかな香水でした。
この香調は、後のオーデコロンに通じるものがあります。
実際、ジャン・ポール・フェミニスが作った「アクア・ミラビリス(驚異の水)」は、この「アクア・デッラ・レジーナ」のレシピを参考にした(もしくは譲ってもらった)という説もあります。
真偽の程はわかりませんが、「アクア・デッラ・レジーナ」がオーデコロン調の香りであり、その後の調香師たちに何かしら影響を与えたことは間違いなさそうです。
オーデコロン アックア・デッラ・レジーナ / Eau de Cologne Acqua della Regina
サンタ・マリア・ノヴェッラ/Santa Maria Novella
Top イタリアンシトラスフルーツ、プチグレン
Middle ネロリ、ローズマリー、クローブ、ラベンダー
Base ムスク
1533年、カテリーナ・ディ・メディチのために、サンタ・マリア・ノヴェッラの修道士たちが調合した香水。
サンタ・マリア・ノヴェッラ社のもっとも古い香水です。
「オーデコロン サンタ・マリア・ノヴェッラ/Eau de Cologne Santa Maria Novella」「アクア・ディ・サンタ・マリア・ノヴェッラ/Acqua di Santa Maria Novella」「アクア・ディ・コロニア/Acqua di Colonia」という名前でも販売されていました。
香りは、ベルガモットやレモンのフレッシュなシトラス、ネロリ、ほんのりと甘いスパイスが混じり合った、とても上品で美しい香りです。
長い歴史と伝統に見合った品格がありながら、カジュアルでリラックスできる明るい香り。
「良い香りに包まれる」という純粋な喜びを味わえます。
ネロリの香りが大好き、という方にもおすすめ。
¥22,000 (100mL)|公式サイト[2024/5/11時点]
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「皇室御用達」ゲランのオーデコロン
もう1種類、オーデコロンの歴史に名を刻む香水があります。
フランスの香水メゾン「ゲラン」の「オー インペリアル/Eau Imperiale」です。
この香水は、ゲランの創業者ピエール フランソワ・パスカル・ゲランによって、1853年に誕生しました。
ナポレオン三世とユージェニー皇后の結婚のお祝いとして、皇后のために創作したオーデコロンです。
ゲランはこの香水によって「皇室御用達」の称号を手にし、その後の発展の基礎を築きました。
ゲランはこのあと新しい合成香料も積極的に取り入れ、偉大な香水を次々と生み出していきます。
その伝説が始まる前、天然素材を使ったクラシックなオーデコロンの最後の名品とも言える、美しい香水です。
オー インペリアル / Eau Imperiale
ゲラン/Guerlain
Note ベルガモット、レモン、ネロリ、プチグレン
1853年、ピエール フランソワ・パスカル・ゲランが、ユージェニー皇后のために創作した香水。
「オーデコロン インペリアル/Eau de Cologne Imperiale」という名前でも販売されていました。
シュワッと広がるシトラスノートにやさしいグリーンフローラルが重なった、エレガントで洗練された香り。
この香水はユージェニー皇后の頭痛を癒すために作られたと言われている通り、スッキリと霧を晴らすような気持ちの良い香りです。
気持ちをパッと明るくしたいときや、気分を涼しくリフレッシュしたいときにぴったりです。
皇室の紋章「ミツバチ」がデザインされた伝統的な香水瓶も、香りの美しさを引き立てています。
¥14,850 (100ML)|公式サイト[2024/5/11時点]
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まとめ
気軽にいつでも使える香りでありながら、時代を超えて高く評価されてきたクラシックオーデコロンをご紹介しました。
1本持っておいて絶対損はない香水なので、ピンときたものがあればぜひ香りを試してみてくださいね!