アロマテラピーについて
About aromatherapy
アロマテラピーでは、植物の良い香りに包まれることで癒されたり、元気になったり、肌や髪を美しくしたりすることができます。
植物の香りは、それぞれの植物から抽出される「精油(エッセンシャルオイル)」にギュッと凝縮されています。
精油の香りが植物によって違うのはもちろん、持っている作用もそれぞれに異なります。
このページでは、アロマテラピーで精油を使用するときの注意点、具体的な使い方、ブレンド方法などを解説しています。
知っておくと楽しみ方が広がる手作りコスメやハウスキーピングのレシピも、簡単に作れるものをいくつかご紹介します!
*「香り植物・ハーブ図鑑」では、アロマテラピーでの使い方を植物別に掲載しています。
香り植物・ハーブ図鑑
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アロマテラピーとは?
アロマテラピーとは「aroma/アロマ(芳香)」と「therapy/テラピー(療法)」をあわせた言葉です。
精油(植物から抽出した芳香物質)を使った自然療法のことを指します。
精油の安全性と注意
精油使用上の注意
・直接肌につけない。(肌につける場合は希釈する)
・飲まない。(希釈したものであっても)
・目に入らないようにする。
・引火性のため、火気に注意。
精油保管上の注意
・光、熱、空気、湿気を避ける。(これらの影響で成分が変化してしまうため)
・かならず密閉する。(揮発性のため)
・ガラス製の遮光ビンで保管する。(プラスチックは溶ける可能性あり)
・使用期限は通常1~2年。柑橘系は劣化が早いため半年~1年。
精油の安全性について
精油はさまざまな化学成分の集まりです。中には、注意が必要な成分を含むものもあります。
・使う精油の禁忌・注意を確認しましょう。(特に妊娠中の方、アレルギーや持病のある方、幼児)
・医師による治療を受けている/薬を処方されている場合は、医療機関に相談しましょう。
・肌に使用する前には、パッチテストを行いましょう。
精油の使用量
子どもや虚弱体質の方が精油を使うときは、通常よりも量を減らします。
以下は、通常レシピを基準とした年齢別の精油使用量です。
(2歳以下は、芳香浴以外の使用は控えます)
3~4歳 | 1/5 |
5~6歳 | 2/5 |
7~9歳 | 1/2 |
10~12歳 | 3/5 |
13~15歳 | 4/5 |
精油の基礎知識
まずは、アロマテラピーの基本となる「精油(=エッセンシャルオイル)」について、しっかり理解しておきましょう。
精油とは?
「精油」とは、植物から抽出した芳香物質のことで、その植物の香りやパワーが凝縮されています。
精油はいろいろな種類の香気成分から成り立っており、この成分構成の違いが、それぞれの香りや作用の違いとなっています。
植物によって香気成分が多く含まれている部分は異なり、花、葉、根、種子などさまざまです。
植物から香気成分を抽出するためには、さまざまな方法が用いられます*。
使用した方法によって、得られた芳香物質は「精油」「アブソリュート」「レジノイド」など異なる名前でよばれます。
アロマテラピーでは主に、水蒸気蒸留法や圧搾法で得た「精油」を使用します。
(超臨界抽出法で得た「精油」は高品質ですが、通常の「精油」とは構成成分が異なります)
溶剤抽出法で得た「アブソリュート」も使用されますが、溶剤が残っている可能性があるということで使用を避ける人もいます。
いずれの場合も、アロマテラピーでは「植物から抽出した100%天然の芳香物質」を使用します。
人工的に製造した合成香料は、使用できません。
なお、天然の精油やアブソリュートは、価格に大きな幅があります。
これは、抽出にかかる手間や得られる量が、植物によって大きく違うためです。
*抽出方法の種類や、それぞれの方法で得られる芳香物質の特徴などは、香料のページにまとめています。
精油の特性
精油には、「揮発性」と「油溶性」という2つの特性があります。
アロマテラピーで精油を有効に使用するためには、この特性に合った基剤や使用法を選ぶことが必要です。
- 揮発性
常温でも蒸発し、空気中に成分が漂います。
さらに熱を加えることで、蒸発を加速させます。 - 油溶性
油脂に溶けやすく、水には溶けにくいです。(アルコール、ビネガーには溶けます)
精油が作用するルート
精油は、以下3つのルートから心身に働きかけます。
- 鼻から脳へ
空気中に蒸発した成分を鼻から吸い込むルート。 - 肺から血液へ
空気中に蒸発した成分を口から吸い込むルート。 - 皮膚から血液へ
成分が皮膚を通過するルート。
ケモタイプ(CT)精油
同じ植物でも、育った環境(土壌、気候など)によって、精油の成分構成が大きく変わることがあります。
「精油の成分構成が同じじゃない」ということは、「精油の香りや作用も同じじゃない」ということです。
このような、「原料は同じ植物だけど成分構成の異なる精油」のことを「ケモタイプ(CT)精油」といいます。
ケモタイプ精油は、それぞれのメインとなる特徴成分により、タイプ分けされます。(CTリナロール、CTシネオールなど)
アロマテラピーでは、ほしい成分の含有率が高いケモタイプ精油を、目的によって使い分けることがあります。
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精油のブレンド
アロマテラピーでは、よく精油を組みあわせて使用します。
それは得られる作用を増大させるため、また香りをより快いものにするためです。
ブレンドの大まかな手順は、以下のとおりです。
- メインの精油
- まずは目的にあわせて、メインとなる精油を選びます。
- 作用を補助する精油
- メイン精油の作用を補ったり、一緒に働くことでより作用を強める精油を足します。
候補が複数ある場合は、香りの相性を考えて選びましょう。
- 香りをよくする精油*
- 全体の香りを快くする精油を足します。
できるだけ、作用の方向性が同じ精油を選びましょう。
*バランスのよい香りの選び方や滴数の決め方など、調香に関することは香料のページにまとめています。あわせて参考にしてみてください。
精油の活用法
アロマテラピーで精油の力を最大限に活かすため、目的に合った有効な活用法を選びましょう。
以下に、精油の代表的な使用方法を紹介します。
滴数は、目安です。
芳香浴
精油成分を空気中に拡散します。
手軽に香りを楽しむなら、ハンカチやカップのお湯に数滴たらすか、ルームスプレーを使います。
広い範囲に拡散するには、専用の器具(主に以下3種)が必要です。
- ディフューザー
いろいろなタイプがあるので、使用法は説明書に従います。
熱を使わないため、精油そのままの香りが楽しめます。
広い空間にはいちばん適しています。 - アロマポット
受け皿の水に精油を5~10滴たらし、キャンドルの熱で蒸散させます。
メリットは、精油以外の香料や芳香蒸留水、スパイスなども受け皿に入れられること。
デメリットは、空焚きしないように注意が必要なこと。 - アロマライト
受け皿の水に精油を5~10滴たらし、電球の熱で蒸散させます。
メリットは、火を使わないので安全なこと。精油はゆっくりおだやかに揮発します。
デメリットは、固形スパイスなどの香りを拡散させるには熱が弱いこと。
アロマバス
身体を温めながら、呼吸からも皮膚からも精油成分をとりこむ方法です。
精油が直接肌に触れるのを防ぐため、精油はキャリアオイル小さじ1にまぜます。
入浴する直前にお湯に加え、よくかきまぜます。
汗を出したいときは、ソルトを使いましょう。
- 全身浴
バスタブにキャリアオイル+精油5~6滴。
目的/全身を温めて癒す、リラックス - 半身浴
バスタブにキャリアオイル+精油4~5滴。
目的/身体を芯から温める、巡りをよくする - 足浴
バケツなどに湯を張り、キャリアオイル+精油3~4滴。お湯の中に足をつける。
目的/下半身を温める、フットケア - 手浴
洗面器などに湯を張り、キャリアオイル+精油2~3滴。お湯の中に手をつける。
目的/上半身の緊張をゆるめる、ハンドケア - 座浴
洗面器などに湯を張り、キャリアオイル+精油2~3滴。お湯の中に座る。
目的/泌尿器系トラブル、デリケートゾーンのケア
アロマスチーム
洗面器などに熱い湯を張り、精油を2~3滴加えます。
蒸気を逃がさないように大きめのタオルをかぶり、お湯の上で目を閉じます。
呼吸器ケア・スキンケアの2パターンがありますが、どちらもやり方は同じです。
*続けるのは短時間(1分くらい)にしましょう。
*咳が出ているとき、肌が過敏なときは行えません。
- 吸入(呼吸器ケア)
成分を含んだ蒸気を鼻や口から吸い込みます。
目的/のどや鼻の不調をケアする - フェイシャルスチーム(スキンケア)
成分を含んだ蒸気を肌にあてます。
目的/血行をよくする、保湿、クレンジング
湿布
精油成分を浸み込ませた布を、身体に当てる方法です。
精油が直接肌に触れるのを防ぐため、精油はキャリアオイル小さじ1にまぜ、布に偏ってつかないようにお湯(水)はよくかき混ぜましょう。
- 温湿布
洗面器などに熱い湯を張り、キャリアオイル+精油2~3滴。布をつけて絞り、温めたいところに当てます。
湿布の上にラップをかけ、乾いたタオルをのせると温度を保てます。
目的/慢性的なトラブルのケア、とくに冷えると悪化するもの - 冷湿布
洗面器などに冷水を張り、キャリアオイル+精油2~3滴。布をつけて絞り、冷やしたいところに当てます。
湿布の上に保冷剤を置くとよいです。
目的/急性トラブルのケア、とくに熱や炎症があるとき
アロマトリートメント
精油をキャリアオイルに希釈して(→基本レシピ/オイル)、肌に塗る方法です。
精油成分の吸収をよくするには、肌が温かく潤っている入浴後がおすすめ。
リラックスと同時に、スキンケアもできます。
トリートメント後は、しばらく肌の残り香も楽しめます。
*圧や刺激を与えるマッサージは、ケガ/炎症がある個所、発熱時、飲酒後は行えません。
基本レシピ
精油を使って、化粧品や日用品を手作りしてみましょう!
精油をさまざまな基剤にまぜて常備しておけば、毎日のスキンケアやハウスキーピングでアロマテラピーを気軽に楽しめます。
肌に使用するものは、事前にパッチテストを行いましょう。
保存期間は、冷暗所で保存した場合の目安です。
保存容器は、使うまえに煮沸やアルコール消毒をしておきます。
── 材料について ──
水=精製水or軟水のミネラルウォーター(硬水、水道水は不可)
アルコール=エタノール(80度以上であればOK)
キャリアオイル=スイートアーモンドオイル、ホホバオイルなど
精油1滴=0.05mlです。
オイル
アロマトリートメントやスキンケアに、幅広く使用できます。
キャリアオイルは、精油を肌に適用するためのもっとも一般的な基剤です。
「キャリアオイルに対して1~3%の精油」が目安。(5mlに対して1~3滴)
顔に使用する場合は1%にします。(5mlに対して1滴)
作り置きする場合、保存期間は1ヵ月。
- キャリアオイル大さじ2(30ml)を皿に出す。
- 精油6~18滴をまぜる。
クリーム
顔や体に塗って、精油成分を浸透させるためのクリームです。
保存期間は1ヵ月。
- ミツロウ5gとキャリアオイル大さじ2を、湯せんで溶かしながらまぜる。
- かるく温めた水(or芳香蒸留水)小さじ1をまぜる。
- 粗熱が取れたら、クリームが固まる前に精油6~18滴をまぜる。
バーム
クリームよりも固めで、部分的なケアに適しています。
リップバームにする場合は、精油は少なめ(下記レシピだと3滴くらい)にします。
保存期間は2ヵ月。
- ミツロウ12gとキャリアオイル大さじ2を、湯せんで溶かしながらまぜる。
- 粗熱が取れたら、バームが固まる前に精油6~18滴をまぜる。
ローション
保存期間は2週間~1ヵ月。
- アルコール小さじ1、グリセリン小さじ1、精油3~6滴をまぜる。
- 水(or芳香蒸留水)100mlを加え、よく振る。
パック
肌の保湿やクレンジングのために使います。
身体や顔(目のまわりは避ける)に塗り、10分後に洗い流します。
作り置きはせず、その都度つくりましょう。
*乾燥肌や敏感肌の場合は、時間を短くします。不安な場合は使用を避けましょう。
- クレイ大さじ1、水(or芳香蒸留水)大さじ1/2をまぜてペースト状にする。
- キャリアオイル小さじ1に精油1~2滴をまぜる。
- すべてを混ぜ合わせる。
スクラブ
ひじ、かかとなど、なめらかにしたい部分をやさしくマッサージします。
保存期間は2週間。
- キャリアオイル大さじ1に精油6滴をまぜる。
- こまかい天然塩大さじ2を加え、まぜる。
ソルト
血行や発汗をうながすために、入浴時にバスタブへ入れます。
下記レシピ(100g)は、3回分くらいの量。
天然塩は、岩塩や海塩、デッドシーソルトなどを使います。
保存期間は2週間。
- キャリアオイル大さじ1に精油15滴をまぜる。
- 天然塩100gを加え、まぜる。
- 密閉容器に入れ、ときどき振りながら1日置く。
スプレー
ボディスプレーのレシピです。
スキンケアや虫除けなど、いろいろな精油でつくってみましょう。
保存期間は2週間~1ヵ月。
- アルコール小さじ2、精油5~6滴をまぜる。
- 水(or芳香蒸留水)100mlを加え、よく振る。
バリエーション
ルームスプレー
・ボディ用よりも精油の量を増やします(上記レシピだと15滴くらいまで)。
・布地や家具のシミになるため、色素の濃い精油は使わないようにしましょう。
掃除用スプレー
・アルコールの量を増やし、水の量を減らします(アルコール:水=1:1くらいまで)。
・アルコールの量を増やすほど、汚れを落とす力は強くなります。
クレンザー
汚れている場所にかけて、ブラシでこすります。
重曹には酸性の汚れを落とす力があり、消臭効果もあります。
消臭剤として置いておくだけでもいいですし、玄関やカーペットにまいてしばらくしてから掃除機で吸うと、においがスッキリします。
保存期間は1ヵ月。
*アルカリ性の汚れを落とすクレンザーは、重曹をクエン酸に替えればOK!
- 重曹100gに精油10滴をまぜる。
- 密閉容器に入れ、ときどき振りながら1日置く。
香水の作り方は、香料のページに掲載しています。
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