Wisteria

ウィステリア(藤)

植物DATA
学名Wisteria floribunda (Willd.) DC.
科名マメ科
別名グリシーヌ
原産地日本
主産地日本

ウィステリア(藤)は、古くから鑑賞用に栽培されてきた日本の伝統的な花です。

初夏に満開になる藤棚は幻想的な美しさで、毎年世界中から多くの観光客を集めています。

ウィステリアの天然香料は作られていませんが、その爽やかで甘い香りは多くのフローラル香水に使用され、華やかな印象を与えています。

香料 | アロマテラピー | ハーブ | 料理 | 園芸

ウィステリアの絵画
‘Wisteria’ by Claude Monet

Fragrance 香料

ウィステリアの天然香料はなく、花の香りを再現した調合香料が使われています。


ウィステリアの香りは、ライラックやハニー感のある甘いフローラルノート。

グリーン、パウダリー、スパイシーなニュアンスがあるのが特徴です。

ふんわりとしたやわらかいイメージを与えるため、フェミニンなフローラル調によく使用されています。

ウィステリアの枝の絵画
‘Wisteria vine with leaves and blossoms’ 1870 by Megata Morikaga

香りの成り立ち

ウィステリアをモチーフにしたデザイン画
‘Glycine’ 1896 by Maurice Pillard Verneuil
  • ウィステリアの香りは、酢酸フェニルエチル、リナロール、アニスアルデヒドなどの成分で構成されています。
    • 酢酸フェニルエチル
      ローズのような甘いフローラルノート。
    • リナロール
      ライラックのようなフレッシュでクリーミーなフローラルノート。
      ウッディ、スパイシーなどのニュアンスもあります。
    • アニスアルデヒド
      ホーソン(サンザシ)やアニスのようなパウダリーで甘い香り。

使用されている香水

  • Olene/オレーヌ(Diptyque、1988)
    ウィステリア、ジャスミン、ハニーサックル、ナルシスなど、華やかな花の香りが溢れるベネチアの庭を表現した香水。
  • Eclat d’Arpege/エクラ ドゥ アルページュ(Lanvin、2002)
    レモンやライラックのフレッシュな香りで始まり、ウィステリア、ティーリーフ、ムスクのやわらかい香りへ移っていきます。
  • Glicine/グリシン(Acca Kappa、2004)
    ウィステリアを中心に据えて、アンバー、バニラ、サンダルウッドなど深みのあるベースノートを合わせた温かい香り。
  • Daisy Dream/デイジー ドリーム(Marc Jacobs、2014)
    ウィステリアにペアーやライチ、ココナッツウォーターを合わせたみずみずしいフローラルフルーティー。
  • Totally White/トータリー ホワイト(Parle Moi de Parfum、2016)
    春にウィステリア、ライラック、ホーソンなどが咲き乱れるパリの公園をイメージした、ロマンチックでデリケートなフローラル香水。

その他ウィステリアを含む香水

「Splendor/スプレンダー(Elizabeth Arden、1998)」
「My Burberry Blush/マイバーバリー ブラッシュ(Burberry、2017)」

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Gardening 園芸

種類ツル性落葉樹
背丈
環境日当たりの良い場所

姿かたち

ウィステリアの植物画
‘Glycine’ 1896 by Maurice Pillard Verneuil
  • 支柱に巻きついて育つツル性の植物です。
  • 4月終わり~5月始めにかけて、藤色、紫、白の房状の花をたくさん咲かせます。
  • 花房は下に垂れ、1つの房は通常20~50cmくらい。
    グリーンフローラル調の甘い香りを辺りに漂わせます。
  • 花の後には、10~30cmの大きな豆さやができます。
  • 日本でもっとも一般的なウィステリアは「ノダフジ(Wisteria floribunda)」と呼ばれます。
    • ほかのウィステリアに比べ、花房が長く、華やかで迫力があります。
    • ツル性の枝は、上から見て時計回りに巻き付いていきます。

栽培と収穫

藤の花の絵
‘Blooming wisteria’ 1900-1930 by Ohara Koson
  • ウィステリアの栽培には棚が必要(藤棚)。
  • 日当たりの良い場所を好みます。
  • 埼玉県の牛島には、樹齢1,000年以上のウィステリアの大木があります。
    これは国の特別天然記念物ですが、弘法大師が植えたという言い伝えもあります。
  • そのほか栃木県のあしかがフラワーパーク、北九州市の河内藤園などの藤棚は国外でも有名で、開花シーズンには世界中から観光客が訪れます。

牛島の「藤花園」の公式サイト → 藤花園~the Wisteria in Usijima~
「あしかがフラワーパーク」の公式サイト(藤の花のページ) → ふじのはな物語
「河内藤園」公式サイト → 河内藤園 KAWACHI WISTERIA GARDEN

藤棚とベンチ
愛知県天王川公園の藤棚

名前の由来・伝説

  • Wisteria/ウィステリア」という属名は、アメリカの解剖学者「Caspar Wistar/カスパー・ウィスター(1761-1818)」の名前をとって命名されたといわれています。
  • この花がはじめてヨーロッパに紹介されたときは、Glycine属(ダイズなどと同じ属)に分類されていました。
    その後Wisteria属に分類し直されましたが、ヨーロッパの一部の国では現在もGlycine由来の名前で呼ばれています。
  • フランスでは、ウィステリアのことを「Glycine/グリシーヌ」と呼びます。
藤の花とツバメが2羽
‘Swallows and Wisteria’ 1926 by Ohara Koson

近縁種・間違いやすい品種

Wisteria属の植物は数種あり、日本・中国・北アメリカのいずれかに自生しています。

  • Wisteria floribunda/日本産ウィステリア(ノダフジ)
    もっとも花房が長く、高く評価されているウィステリア。
  • Wisteria brachybotrys/日本産ウィステリア(ヤマフジ)
    日本に自生するもう1つのウィステリア。
    ノダフジとはツルの巻き方向が逆。
  • Wisteria sinensis/中国産ウィステリア
    丈夫で育ちやすいウィステリア。
  • Wisteria frutescens/アメリカ産ウィステリア
    18世紀はじめ、最初にヨーロッパに渡ったウィステリア。
    花房は短く(5~7cm)、現在はあまり栽培されていません。

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