Rose
ローズ
学名 | ・Rosa damascena Mill. ・Rosa centifolia L. ・Rosa gallica var. officinalis Thory |
科名 | バラ科 |
別名 | ダマスクローズ / R.damascena センティフォリアローズ、キャベッジローズ、ローズドメイ / R.centifolia ガリカローズ、アポセカリーローズ / R.gallica var. officinalis |
原産地 | 中央~西アジア |
主産地 | トルコ、ブルガリア、モロッコ / R.damascena モロッコ、フランス / R.centifolia |
使用部位 | 花 |
主な成分 | 精油、タンニン、有機酸 |
採油部位 | 花 |
採油法 | R.damascenaを水蒸気蒸留 / Rose otto R.centifoliaを溶剤抽出 / Rose abs. |
採油率 | 0.02% / otto 花からのコンクリート収率は0.2~0.3%、コンクリートからのアブソリュート収率は50~70% / abs. |
性状 | 無色~黄色、低温で固まる / otto 赤黄色~赤橙色(経時変化で徐々に退色する)、粘りけがある / abs. |
主な成分 | シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、ファルネソール、フェニルエチルアルコール、リナロール、オイゲノール、メチルオイゲノール、ローズオキシド / otto フェニルエチルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、ファルネソール、オイゲノール、メチルオイゲノール、ローズオキシド / abs. |
香り | フレッシュで豊潤なフローラル、シトラス・スパイシー・グリーンなどの多様なニュアンス / otto 深みのある甘いフローラル、ソフトで繊細なハニー感 / abs. |
揮発性 | ミドル / otto ミドル~ベース / abs. |
香り強度 | 強い |
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Fragrance 香料
香りの 性質 | トップノートからベースノートまでまんべんなく影響を与える |
主な 使用法 | 基本的なフローラルノートとして、あらゆる香調に使用される |
使用量 | 香りが強いので控えめに使用する |
注意 | ─ |
2万品種ほどもあるというローズですが、そのうち香料用として使えるのはごくわずか。
とくに香水製造など調香に適したローズは2種類だけです。
香料用のローズ
- Rosa damascena / ダマスクローズ
ダマスクローズの花を水蒸気蒸留したものを、ローズオットーといいます。
ブルガリア産ローズオットーは「ブルガリアンローズオイル」、トルコ産ローズオットーは「ターキッシュローズオイル」、モロッコ産ローズオットーは「モロッカンローズオイル」と呼ばれます。
・ブルガリアンローズは、品質No.1。
・ターキッシュローズは、生産量No.1。
・モロッカンローズは、スパイシーノートがやや強めなのが特徴。 - Rosa centifolia / センティフォリアローズ
センティフォリアローズの花を溶剤抽出したものを、ローズアブソリュートといいます。
最高の品質は、南仏グラース産。
ほかにRosa gallica(ガリカローズ)やRosa alba(アルバローズ)が使用されることもありますが、調香目的の香料としては上記2種が基本。
トルコとブルガリアでは、ダマスクローズの溶剤抽出も行われています。
センティフォリアローズを水蒸気蒸留することもありますが、この場合は主にローズウォーターを得るのが目的です。
(センティフォリアの水蒸気蒸留は、精油の収率がかなり悪いため)
─ ローズオットーが固まったら? ─
ローズオットーは「低温で固まる」という性質があります。
これはオイルの中に20~25%含まれているステアロプテンという結晶(無臭)が、温度が低くなると固化するために起こる現象です。
手で瓶を包んで温めれば、液体に戻ります。
香りの成り立ち
ローズに含まれている香り成分はじつに多種多様で、その数はローズオットーで約300種、アブソリュートでは400~500種もあり、それらが複雑に組み合わさってローズの香りができています。
ローズオットーとアブソリュートの1番の違いは、フェニルエチルアルコールの含有量です。
フェニルエチルアルコールは水に溶けやすいため、水蒸気蒸留では大部分が水層に留まり、油層であるローズオットーにはわずかしか含まれません。
そのため、再留(水層のくり返し蒸留)をして得られたオイルを混合することで、できるだけ水溶性成分も含んだ「ローズオットー」ができあがります。
それでも、ローズオットーに含まれるフェニルエチルアルコールの量は、一般的に全体の1~2%ほど。
それに対してローズアブソリュートに含まれるフェニルエチルアルコールは、全体の60~70%にも及びます。
- フェニルエチルアルコール
ローズアブソリュートの主成分。
マイルドなローズ様、ハチミツのようなしっとりした甘さを感じる香り。
持続性はあまりありません。
ストロベリー、ハニー、フルーツ系フレーバーにも使用されます。- オレンジフラワー、ヒヤシンス、ジャスミン・サンバック、オスマンサスなどのアブソリュートにも含まれている成分です。
このフェニルエチルアルコールが多量に含まれていることで、ローズアブソリュートは深みのあるフローラル感・甘いハニー感を強く感じる香りになります。
一方ローズオットーは、その他のシトラス、グリーン、スパイシーなニュアンスを持つ成分が前面に出てくるため、より明るくフレッシュな香りになるとともに、微量成分がかなり重要な役割を果たします。
ローズ香を持つ成分で、オットーにもアブソリュートにも比較的多く含まれているのは、シトロネロール、ゲラニオール、ネロールなど。
フェニルエチルアルコールとこれらの成分はローズの基本構成成分であり、まとめて「ローズアルコール」と呼ばれます。
- シトロネロール
ローズオットーの主成分。
フレッシュなローズ様、ハーバル感のあるソフトなフローラル。
フルーツ系フレーバーにも使用されます。- ゼラニウムにも含まれている成分です。
- ゲラニオール
優雅なローズ様、ややシトラス感のあるフローラル。
ローズ調のフローラル香料には必須で、シトラス、ティー、フルーツ系フレーバーにも使用されます。- パルマローザ、ゼラニウム、シトロネラ、タイム、メリッサ、コリアンダーなどにも含まれています。
- ネロール
マリン感のあるローズ・オレンジフラワー様、フレッシュで華やか。
トップノートに有用で、シトラス、ベリー系フレーバーにも使用されます。- ダバナ、オレンジフラワーアブソリュート、ヘリクリサム、メリッサ、ネロリなどにも含まれています。
ローズの香りには、ウッディ・スパイシーな要素も含まれています。
- ファルネソール
ウッディを感じるグリーンフローラル。持続性があります。
フローラル、シプレ、オリエンタル系香料、トロピカルフルーツのフレーバーなどに使用されます。- アンブレット、ネロリ、イランイランアブソリュート、チュベローズアブソリュートなどにも含まれています。
- オイゲノール
薬っぽい甘さと温かさを持つウッディスパイシー、強い香り。
オリエンタル系香料や、スパイス、ミント、ナッツ、フルーツ系フレーバーに使用されます。- クローブ、シナモン、ベイ、バジル、カーネーションアブソリュート、ローレルなどにも含まれます。
- メチルオイゲノール
お茶っぽいハーバルスパイシー、マイルドでややドライ。- ローレル、チュベローズアブソリュート、タラゴン、マートル、エレミ、ナツメグなどにも含まれています。
ローズの香りを決定的に特徴づけているのは、ローズオキシド、β-ダマセノン、β-ダマスコン、ローズフランなどの微量成分。
これらは全体の割合からするとごくわずかですが、ローズの香りにとっては最も重要な成分です。
- ローズオキシド
ややメタリックなローズ・ゼラニウム様、甘さとグリーン感があり、かなり強い香り。
ローズ系香料のトップノートに、希釈して使用されます。- ゼラニウムにも含まれている成分です。
- β-ダマセノンとβ-ダマスコン
フルーティーフローラルなローズ香、ハチミツやタバコのニュアンスも持っています。
相性のよい香り
あらゆる花の香りはもちろん、あらゆる香調とよく調和します。
- とくに相性が良く、ローズと1:1でブレンドするとすばらしいハーモニーを作るのは、ジャスミン、ネロリ、イランイラン、ラベンダー、カモミール・ローマン、サンダルウッド。
- 柑橘系精油は、ローズが持っているフレッシュなシトラスノートを持ち上げ、全体の印象をより明るく華やかにしてくれます。
- レモン、ベルガモット、オレンジ・スイートがとくにオススメ。
- 甘さ控えめのローズブレンドを作りたいときは、クラリセージかプチグレンを合わせると◎。
- ローズ系の香りをブレンドすると、ローズノートを維持しつつ軽さを出せます。
- ゼラニウムだとグリーン感が強まり、パルマローザだとフローラル感が強まります。
- ローズに変化を加えたいときは、ペパーミントかバジルを少し足すのが効果的。
ローズのデリケートな甘さに、新鮮な活力を与えます。 - ローズの魅力を倍増させるためには、スパイスが欠かせません。
- クローブ、シナモン、カルダモン、コリアンダー、ジンジャーなどは、香りに温かさや豊かさ、広がりを与えてくれます。
- ローズのブーケ調にはバニラを合わせると、昔ながらのうっとりする香調に。
- 濃厚で持続力のあるパチュリは、ローズとよく調和します。
ローズ+パチュリ+ウッディは、メンズフレグランスでもよく使われる組み合わせ。 - ローズにベルガモット、パチュリ、ラブダナム、オークモスをブレンドすると、シプレタイプの香りができ上がります。
ブレンドテクニック
ローズは主役、脇役、つなぎ役やまとめ役、隠し味、アクセントなど、考え得るかぎりの方法で使用することができます。
ローズオットーとアブソリュートを併用してブレンドに加えれば、そのパワーは絶大です。
どちらも香りが強いので、少量でかなりの効果を発揮します。
- ローズオットーは、トップ~ベースまでそれぞれの特徴を持つ成分が混ざり合って完璧なハーモニーを作っているため、ブレンドに加えると、すべての香りをまとめて洗練された印象に仕上げます。
- とくにトップ~ミドルの表情が豊かで、フレッシュなグリーン調、華やかでスパイシーなシトラス調などをフローラル要素につけ加えます。
- 香りを持ち上げ、香り全体のボリュームを大幅にUPさせます。
- ローズアブソリュートをブレンドに加えると、香り全体をやわらかく包み込み、深みのある贅沢な印象に仕上げます。
- とくにミドル~ベースへの影響が大きく、ほかのベースノートの香りと結びついてリッチな甘さや温かさ、重厚なフローラル感をもたらします。
- 香りの粗さや尖った部分を丸くやわらげてくれるので、仕上げに加えるのも◎。保香力も抜群。
ローズは最も基本的なフローラルノートであり、あらゆるタイプの香りを作る上で重要な役割を果たします。
- シプレタイプでは、ゴージャス感のあるフローラルノートを作るためにローズは欠かせません。
基本構成は、ローズ+シトラス+オークモス+アンバー。 - フゼアタイプは、ローズにラベンダー、クマリンを組み合わせます。
- オリエンタルタイプは、ローズにバルサム、スパイス、バニラ、パチュリ、アニマルなどを組み合わせます。
合成香料
ローズの香りが求められるとき、一般的なフレグランス製品では合成香料をメインに、高価な天然香料(ローズオットー、アブソリュート)は補助的に使うのがふつうです。
合成香料を組み合わせて作る「ローズ香料」にはさまざまなタイプがあり、香りや構成成分がそれぞれ異なります。
ただどのローズタイプでも、香りの基本としてローズアルコール(フェニルエチルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロールなど)が使用されるのは同じです。
そこにどのような微量成分を配合するかが香りのカギとなります。
- ローズオットータイプ
- 基本骨格となるのは、ローズアルコール。
とくにゲラニオール、シトロネロールを多く配合します。 - 追加される成分は、オイゲノール、リナロール、α-イオノンなど。
- 香りのカギとなる微量成分には、ローズオキシド、ダマセノンなど。
- 加えられる可能性のある天然香料は、バイオレットリーフアブソリュート、ガイアックウッド、カモミールローマン、ゼラニウム、キャロットシードなど。
- 基本骨格となるのは、ローズアルコール。
- ローズアブソリュートタイプ
- 基本骨格となるのは、ローズアルコール。
とくにフェニルエチルアルコールを多く配合します。 - 追加される成分は、α-イオノン、酢酸ベンジル、ヒドロキシシトロネラールなど。
- 香りのカギとなる微量成分には、ローズオキシド、ダマセノンなど。
- 加えられる可能性のある天然香料は、ゼラニウム、ミモザアブソリュート、ガイアックウッド、カモミールローマンなど。
- 基本骨格となるのは、ローズアルコール。
使用されている香水
ローズの要素が一切入っていない香水などないと言ってもよいくらい、ローズはありとあらゆる香水に含まれています。
その中でもとくにローズが中心的・特徴的に使われている香水をピックアップしてみます。
- Fleurs de Bulgarie/フルール ド ブルガリア(Creed、1845)
「ブルガリアの花」という名前の香水で、ビクトリア女王のために作られました。
ブルガリアンローズの美しい香りを中心に、ベルガモットやムスク、アンバーグリスで構成されています。 - Hammam Bouquet/ハマンブーケ(Penhaligon’s、1872)
理髪店を営むウィリアム・ペンハリガンが最初に作ったメンズフレグランス。
隣のトルコ式風呂に行ったあと髭を剃りに来るお客さんたちのために作った香りだそうです。
トップノートにラベンダーが香り、中心となるブルガリアンローズをサンダルウッドが引き立てています。 - Or et Noir/オル エ ノワール(Caron、1949)
ブルガリアンローズエッセンスを12%も含むという贅沢な香水。
ローズ、ゼラニウム、ライラック、カーネーション、リリーのフローラルブーケが、オークモスによってより深く官能的に印象づけられています。
- Nahema/ナエマ(Guerlain、1979)
初めてα-ダマスコンを大量に使用したという香水。
トップノートにはピーチやアルデヒドが華やかに香り、ローズを中心とした甘いフローラルノート、バニラやベチバー、サンダルウッドの温かいベースノートへ続きます。
ハチミツのような繊細なノートが全体に流れる、うっとりする香水です。 - Trésor/トレゾア(Lancôme、1990)
ローズがテーマのエレガントな香水で、香調はフローラルセミオリエンタル。
アプリコットのフルーティーノート、ヘリオトロープやオリスのパウダリーノートが甘く温かい雰囲気をつくり、ローズノートにはダマスコン、ダマセノン類が効果的に使われています。 - La Rose de Rosine/ラ ローズ ド ロジーヌ(Les Parfums de Rosine、1991)
ローズを題材にしたさまざまな香水を作っているブランドです。
この香水には、ターキッシュローズ、ブルガリアンローズ、グラースローズを使用しています。ベースノートにはトンカビーン、ベンゾイン、バルサム・ペルー。甘く華やかな香りです。
- Lyric Man/リリック マン(Amouage、2008)
ローズをテーマにしたメンズフレグランス。
ジンジャー、サフラン、ナツメグ、バニラなど、スパイスの香りがふんだんに使用されています。
グリーン、ムスク、ウッディなどが複雑にからみあった、繊細で深みのあるローズノートを楽しめます。 - A La Rose/ア ラ ローズ(Maison Francis Kurkdjian、2014)
ローズオットー&アブソリュートを惜しげもなく配合した、まさにローズを愛する人のための香水です。
ローズを手にしたマリー・アントワネットの肖像画からインスピレーションを得た香りで、はじめは日本限定で発売されました。
トップノートに使用したベルガモット、オレンジ、レモンの明るい柑橘系ブレンドが効いています。
その他ローズを中心にした香水
「La Rose Jacqueminot/ラ ローズ ジャックミノ(Coty、1906)」
「Joy/ジョイ(Jean Patou、1930)」
「La Rose/ラ ローズ(Rochas、1949)」
「Ombre Rose L’Original/オンブルローズ オリジナル(Jean Charles Brosseau、1981)」
「Paris/パリ(Yves Saint Laurent、1983)」
「Voleur de Roses/ヴォルール ド ローズ(L’Artisan Parfumeur、1993)」
「Sa Majeste la Rose/サ マジェステ ラ ローズ(Serge Lutens、2000)」
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香料としての歴史と活用法
古代エジプト・ギリシア・ローマそれぞれの文化で、ローズは香料としてさまざまに利用されており、ローズ香油や香水、化粧品のレシピもたくさん残されています。
この時代は、アーモンドやセサミ、オリーブなどのオイルに花びらを浸けて香りを移した香油、もしくは水やワインに香りを移した香水が多く作られました。
香りを引き出したり持ちを良くしたりするためには塩がよく用いられ、乾燥花弁のパウダーは化粧品に使用したり汗を抑えるために身体に振りかけたりもしていました。
本格的な蒸留技術が開発されたのは10世紀になってから。
この偉大な発明は、ペルシア(現在のイラン)人の医師アヴィケンナ(=イブン・シーナ)によるものです。
原始的な蒸留はすでに何千年も前から行われていたものの、アヴィケンナの蒸留法によってローズオットー・ローズウォーターがより自由に使えるようになり、ローズの香りが日常に広く深く浸透していくことになります。
ペルシアはローズ産業の中心となり、これらの新しい香料はアラブ諸国からインドへ、また十字軍によってヨーロッパにも伝わっていきます。
ローズはヨーロッパでも薬や化粧品に広く使用され、それ以外でもローズウォーターに皮革を浸したり、樹脂やほかの香料と組み合わせて手袋やクッションの香り付けに使ったりと、さまざまな利用法が考え出されました。
オイルや芳香水の形だけではなくパウダーやポプリなども流行し、また蒸留の技術自体も改良されていきました。
そして20世紀初頭には溶剤抽出によるローズアブソリュートもひんぱんに使われるようになり、香料としてのローズの地位はますます揺るぎないものとなりました。
- クレオパトラ(紀元前69-30)は、贅沢なローズ風呂に入り、寝室や大広間の床をローズで埋め尽くし、船の帆にローズの香りを染みこませるなど、数々の伝説を残しました。
- 15~16世紀のイギリス王・女王は、室内芳香にローズの香りをよく使っていました。
香炉で焚く香を練りあわせるときにローズウォーターを加えたり、ローズにムスクやアンバーグリスを混ぜて砂糖と煮たシロップを、温めて香りを拡散させたりしていました。 - マリー・アントワネット(1755-1793)は、香水や化粧品にローズをふんだんに使いました。
庭もローズの香りで満たされていたし、東屋や客間もたくさんのローズで飾っていました。
ローズのポプリ
ローズの花びらや蕾は、ポプリの材料として伝統的によく使用されます。
ダマスクローズやセンティフォリアローズが定番ですが、乾燥させると香りが強くなるガリカローズもポプリにぴったり!
17~18世紀頃には、ローズにすりつぶした樹脂(フランキンセンスやミルラ)、柑橘の果皮などを混ぜたポプリがよく作られました。
これを小さな絹の袋に入れて、持ち歩いたり衣類のあいだに置いたりすることもよくありました。
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Aromatherapy アロマテラピー
作用 | 鎮静、高揚、緩和、神経バランス調整、ホルモンバランス調整、収れん、止血、抗炎症、鎮痛、鎮痙 |
適用 | 神経過敏、悲嘆、情緒不安定、PMS、更年期、消化器系ケア、肌の成長や再生を促す、菌・真菌・ウイルス対策 |
注意 | ─ |
ローズは「香りの女王」として、アロマテラピーの分野でもたいへん重宝されています。
ローズオットーもアブソリュートもどちらも使用できますが、ローズオットーのほうがより好んで幅広い目的に使用されます。
芳香浴やアロマバス、アロママッサージなど、香りの美しさを生かした活用法を選びましょう。
手作りコスメ・手作り香水の材料としても最適です。
たしかに高価ではありますが、ほんの1滴ですばらしい力を発揮するので、ここぞというときに使えるようにぜひ手に入れておきたい精油です。
精神のために役立てる
ローズの香りが精神にもたらすパワーはとても一言では言い表せませんが、「傷ついた心」が引き起こしていることであれば何であれ、これほど役に立つ精油はありません。
- 深い悲しみの中で落ち込み、絶望にとらわれているとき。
- 孤独感や喪失感を癒やすためには、ラベンダーとクラリセージをブレンドします。ペパーミントを少しだけ足してもOK。
- 後悔や自責の念をともなう場合は、ネロリとベンゾインをブレンド。
- 解決しようがない不安や焦りのために、すぐに情緒不安定になったりイライラして眠れなかったりするとき。
- 気持ちを鎮めるためにカモミール、ラベンダーをブレンドしましょう。
比率はラベンダーの量を多めに。
- 気持ちを鎮めるためにカモミール、ラベンダーをブレンドしましょう。
- 傷ついた心が「怒り」へと発展してしまったとき。
- 嫉妬や恨みには、ベルガモット、ラベンダー、パルマローザをブレンド。
- 欲求不満には、オレンジ・スイート、ヘリクリサム、ベンゾインをブレンド。
- 突然訪れる恐怖やパニックにも。
- ゼラニウムとベチバーをブレンドすると良いです。
香りを染み込ませたハンカチや手作り香水などを持ち歩き、いつでも必要なときに使えるようにしましょう。
- ゼラニウムとベチバーをブレンドすると良いです。
ローズの美しい香りは気分を高揚させ、自信を高めます。
「肯定」「許容」「愛情」「幸福感」などは、ローズ精油の代名詞ともいえるキーワードです。
- 幸福感に満たされたいときには、真っ先に選ぶべき精油です。
ローズがもたらすのは、ありのままを認めることから生まれる深い幸福感です。- とにかく幸せ気分に浸っていたいときは、オレンジ・スイート、クラリセージをブレンド。
- 自信・自己肯定感を高めるためには、レモン、ジャスミンをブレンド。
- 許し、受け入れ、心を開くことを後押ししてくれるのは、ベルガモット、ネロリのブレンド。
- 安心感をもたらし、信じること・委ねることへの恐れを取り払ってくれます。
- このためにはパルマローザ、レモン、キャラウェイ、カルダモンの組み合わせが◎。
- 幸福感や安心感は、ロマンチックな気分を高めるのにも非常に役立ちます。。
- 官能的な雰囲気を強調したいときは、イランイラン、クラリセージ、サンダルウッド、ジャスミン、パチュリの中から好きなものを選んでブレンドしましょう。
少量のスパイス(クローブ、シナモン、バニラ)を足すのもオススメです。
- 官能的な雰囲気を強調したいときは、イランイラン、クラリセージ、サンダルウッド、ジャスミン、パチュリの中から好きなものを選んでブレンドしましょう。
ローズのロマンチックな演出
- 溶けたミツロウ&ローズは、香りの相性が抜群!
ミツロウキャンドルにローズオットーを1滴垂らすと最高です。 - アロマポットの受け皿にローズウォーター&砕いたスパイスを入れてしばらく温めるのも◎。
香りがほんのり漂いはじめたら、ローズオットーを1滴加えます。
身体のために役立てる
- ローズは長いあいだ、婦人科系トラブルに役立てられてきました。
子宮にやさしく働きかけると同時に、不安定になった精神も穏やかになだめてくれます。- PMSや生理関連の不調には、カモミール、クラリセージ、メリッサのどれかをブレンド。
- 更年期の不調には、サイプレス、ゼラニウムをブレンド。
- ローズは消化器系トラブルに使われることも多く、とくにストレスから胃腸のバランスが乱れているようなときに力を発揮します。
- 消化が悪かったりムカムカするようなときには、ラベンダーとジンジャー(またはペパーミント)をブレンド。
- ストレスや緊張をやわらげて胃腸の正常なはたらきを促したいときは、ブラックペッパー、マージョラムをブレンド。
- のどの痛みや炎症があるときは、ラベンダーとブレンドしてディフューザーで焚きましょう。
美容のために役立てる
スキンケアやボディケアに使う精油として、ローズはまさに「女王」的存在です。
肌へ働きかける力・肌への優しさ・美容のモチベーションを高めるすばらしい香りと、三拍子揃った理想的な精油といえます。
- 全ての肌タイプに有益です。
肌バランスを調整してキメを整え、やわらかく健康な肌へと導きます。
クリームやローション、マッサージオイルなどに数滴加えます。- 乾燥肌・敏感肌には、カモミール、ゼラニウム、ネロリをブレンド。
- 脂性肌には、ラベンダーをブレンド。
- 混合肌には、ラベンダーかゼラニウムをブレンド。
- さまざまな肌トラブルにも使用できます。
- 炎症や湿疹には、カモミールをプラス。
- 日焼け肌のケアには、ラベンダーをプラス。
- 赤ら顔の対策には、サイプレスをプラス。
- 収れん作用があるため、アフターシェーブローションにもぴったりです。
- ベルガモットFCF、シダーウッドをブレンドします。
これをオーデコロン代わりに使ってもOK。
- ベルガモットFCF、シダーウッドをブレンドします。
- ヘアケアとしては、トリートメントやヘアオイルに加えたり、ヘアスプレーを手作りするのも◎。
美しく香るツヤのある髪が手に入ります。- 髪のパサつきをケアするなら、パルマローザをブレンドすると良いです。
ローズの芳香蒸留水
ローズの芳香蒸留水は「ローズウォーター」とよばれ、ローズを水蒸気蒸留することで得られます。
蒸留で得られる油層部分が精油(ローズオットー)で、水層部分が芳香蒸留水(ローズウォーター)です。
もともと蒸留技術は精油よりも芳香蒸留水を得るために開発されたことが知られています。
当時(10世紀)ローズウォーターは薬として大きな価値があり、また宗教儀式でも日常生活でもなくてはならない必需品でした。
たとえば寺院を清めるための聖水として大量に使ったり、家庭でも料理や化粧品、芳香剤、また薬として、ありとあらゆる場面でローズウォーターを使用していました。
アラブ諸国では、招待したお客さんにローズウォーターを振りまいて歓迎の気持ちを表す習慣がいまでも残っています。
ローズは水溶性成分を多く含むという特徴を持っていますが、それはローズを水蒸気蒸留すると重要な成分が水層に多く留まるということを意味します。
そのためローズウォーターは香りも性能も素晴らしく、芳香蒸留水の中でも特別価値あるものとして幅広く利用されています。
ローズオットー、アブソリュート、芳香蒸留水は、どれも美容分野では欠かせない素材であり、あらゆる化粧品に配合されています。
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Herb therapy ハーブセラピー
作用 | 鎮静、高揚、緩和、収れん、抗炎症、利尿 |
適用 | 神経過敏、悲嘆、消化器系のケア、スキンケア |
注意 | ─ |
ダマスクローズ・センティフォリアローズ・ガリカローズの3種類のローズを使用します。
花の色で区別をして、ダマスク・センティフォリアを「ローズ・ピンク」、ガリカのことを「ローズ・レッド」と呼ぶこともあります。
また、ローズの花びらを「ローズペタル」、ローズの蕾を「ローズバッド」と呼びます。
健康のために役立てる
- ローズの優雅な香りは、ストレスや不安を和らげ、ゆったりとしたやさしい気持ちにさせてくれます。
- イライラや緊張をほぐすには、カモミール、レモンバームをブレンドしてハーブティーを作ります。
- ホッとくつろぐためには、香りが良くて美味しいことも重要。
ローズの香りを活かしながら渋味をうまく和らげ、さらにリラックスにも役立つハーブをブレンドしましょう。- カモミール、オレンジフラワー、リンデンブロッサム、レモンバーム、メドウスイート、バニラなどがオススメです。
- ラベンダーを少し足すと、華やかな香りが際立ちます。
- 婦人科系トラブルにつきものの感情面の問題にも、ローズはよく使用されます。
- 生理関連には、サフラワー、チェストツリー、ラズベリーリーフをブレンド。
- 更年期関連には、オート、レッドクローバー、セージをブレンド。
- ローズの収れん・抗炎症作用は、消化器系や喉の不調に役立ちます。
- 消化器系の不調には、カモミール、メドウスイートを足してハーブティーを作ります。
- 喉の炎症には、セージ、マレインを足して浸剤を作り、うがいをします。
- 口内炎には、エキナセアを足して浸剤を作り、口の中をゆすぎます。
美容のために役立てる
- ビューティーケアのハーブティーに、ローズは外せません。
- 若さや美しさを保つために、ルイボス、ローズヒップ、レッドクローバー、ヒースをブレンド。
この組み合わせは飲みやすいので、日常的に飲むお茶としてもぴったり。
- 若さや美しさを保つために、ルイボス、ローズヒップ、レッドクローバー、ヒースをブレンド。
- ハーブティー以外にも、さまざまな方法でスキンケアに使えます。
- 肌をしっとりさせるお風呂用サシェ。
オート、カモミール、ラベンダーをブレンドして小さい袋に詰め、バスタブに入れます。 - 肌がすべすべになるスクラブ。
ローズはお湯でやわらかくし、オートミールと一緒にすりつぶします。 - 敏感肌や日焼け後の肌にも使えるビネガー。
カレンデュラをブレンドして、ビネガーに浸します。
- 肌をしっとりさせるお風呂用サシェ。
ハーブとしての歴史と伝承
- メソポタミア(現在のイラク)の石板から、ローズは紀元前700年頃には薬の調合に使われていたことがわかっています。
- 古代ギリシアの医師ヒポクラテス(紀元前460-370年頃)は、ローズを消化器系の炎症やけいれん、耳痛、歯痛などに使用していました。
- 古代ローマでは、ローズをあらゆる目的に使っていました。
ローズエキスの作り方としては主に、花びらを①「搾る」②「搾り、その汁を煮詰める」③「オイルかワインに浸す」のどれかが選ばれました。- このローズエキスは、胃腸関連にとくに良いとされ、ほかにも吐き気や頭痛を抑えたり、熱を冷ましたり、眠りを誘ったり、歯茎や喉をケアするためにうがい剤にしたりもしていました。
- ローズワインは、下剤として使われていたようです。
- ヨーロッパでは13世紀頃から、ローズ油やローズウォーターが広く使用されるようになります。
- 胃腸・肝臓・心臓・肺などの病気、ぜんそく、目の不調から精神的な問題まで、あらゆる目的で使用されていました。
- ローズウォーターにハチミツやシロップを混ぜて飲んだり、ビネガーに混ぜて皮膚に塗ったりもしていました。
- ペストが流行したときは、ほかのスパイスやハーブと組み合わせて利用されました。
- 15世紀イタリアで、「aquavitae/アクアヴィッテ(生命の水)」と呼ばれる蒸留酒にローズエキスやハチミツなどを調合したドリンクが作られました。
これは「rosolio/ロゾリオ」と呼ばれ、リキュールの起源になったという説もあります。 - ガリカローズ(Rosa gallica var. officinalis)は「アポセカリーローズ(薬屋のバラ)」と呼ばれ、軟膏やオイル、シロップ、ハチミツ、ジャムなどいろいろなかたちで利用されました。
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Cooking 料理
風味 | 濃厚で芳醇なフローラル スパイシー、フルーティー、渋味もある |
主な特徴 | 見た目にも風味にも華やかさを加える |
作り置き | ビネガー、オイル、ハニー、砂糖漬け、シロップ、アルコール |
料理には、ピンク色のダマスクローズ・センティフォリアローズ、赤い色のガリカローズのほか、白い花びらのアルバローズ(Rosa alba)などが使われることもあります。
また、とくにデザートやスイーツの香り付けに、ローズウォーター(芳香蒸留水)も広く使用されます。
市販されているローズウォーターの多くは「雑貨」または「化粧品」として輸入されています。
料理に使ったりドリンクに添加したりするときは、口に入れる用途に使えるローズウォーターであることを確認しましょう。
古代ギリシア・ローマ時代、ローズは貴族の食卓で特別な役割を果たしていました。
カスタードやパイ、ワインなどにローズの風味を付けるだけでなく、食事中に香りを楽しむためローズの香油をテーブルに塗ったり、ローズの花を身につけたりもしていました。
(「悪酔いを防ぐ」「酒臭さを消す」というもっと実際的な目的のために、ローズの軟膏を頭に塗ったり花冠をのせたりもしていたようです)
古代ローマの宴会
‘The Roses of Heliogabalus’,1888 by Lawrence Alma-Tadema
古代ローマの宴会では、いつも信じられない量のローズが消費されていました。
ローズ香の噴水を室内に置き、部屋中を花で飾り、椅子や床に花びらをまき散らしてその上に座ったり寝そべったり。
「天井からローズの花びらを降らす」という派手な演出を始めたのはネロ皇帝(在位/紀元54-68)で、このような贅沢はエスカレートを続けます。
ヘリオガバルス皇帝(在位/紀元218-222)は、食べ物・飲み物・お風呂・薬などなんにでもローズを入れていたという人ですが、宴会中に降らせる花の量にいたっては度を超えていて、下にいた客を花びらで窒息させてしまったとか。
10世紀アラビアで蒸留法が発見されると、ローズの料理への活用はさらに広がります。
ケーキやクッキー、ペストリー、キャンディ、ジャムから、ジビエや魚を使った宮廷料理まで、ありとあらゆるものがローズ&ローズウォーターで風味を付けられるようになりました。
やがてローズは十字軍によってヨーロッパへ伝わり、リキュールやビネガー、ハチミツなどの加工品、お茶、お菓子などさらにさまざまなものが生み出され、世界中へ広がっていきました。
使い方のコツ
- 花びらをトッピングに使ったり、細かく挽いて生地や材料に混ぜ込んだりもできます。
付け根の白い部分は、苦みがあるので取りのぞきます。 - クリーム、シロップ、ソース、スープなど、液体に香りを移すことができます。
- オイルや油脂などはローズの油溶性成分を引き出すので、香りがかなりしっかり付きます。
- 水などはローズの水溶性成分を引き出すので、ふわっと穏やかな香りが付きます。
ローズウォーター(水溶性成分を含んでいる)を使っても同じです。
- 花びらを香り付けに使う場合、つぶしたり刻んだりする必要はありません。
最後に濾してもいいし、濾さなくてもOK。 - 香りを付けたビネガーやハチミツ、アルコールなどを作り置きするのもオススメです。
ほかのスパイスと組み合わせると◎。- ビネガーやオイルは、ドレッシングの材料に。
- ハチミツやアルコールは、ドリンクに混ぜたりお菓子作りに使ったり。
- 花びらの砂糖漬けは、キラキラして本当にきれいです。
デザートのトッピングにも使えるし、紅茶に入れる砂糖代わりにも。
- ローズウォーターは、パンや焼き菓子などの材料に使うほか、シャーベットやデザート、フルーツなどに直接かけて食べることもできます。
相性のよい食材
- ベリー類、チェリー、ブラックカラント
ローズの香りにはベリーのような甘酸っぱい一面があり、これらのフルーツとよく調和します。
ビジュアル的にも華やかで、よく一緒に使われます。 - レモン、レモングラス
シトラスの風味は、ローズの香りに明るさや軽さを出してくれます。
さっぱりとした爽やかさが求められる料理やデザートに使いたい組み合わせ。 - スパイス
ローズの香りはスパイスを足すことでよりいっそう魅力的になります。- カルダモン
爽やかなほろ苦さがローズと相性抜群。ハチミツを足しても美味しいです。 - クローブ、シナモン、ナツメグ
フローラルノートに濃厚な甘さ、深み、温かみを加えます。 - ジンジャー、コリアンダー
フローラルノートに爽やかさをプラスし、シトラスのニュアンスを強めます。 - バニラ
クリーミーでコクのある甘さを加え、ローズの香りにボリュームを出します。
- カルダモン
- 紅茶、緑茶
お茶の香りにのせてふわっと香るローズは、なんとも上品で華やかです。
冷やして氷を浮かべて飲んでも、スッキリとした味わいを楽しめます。 - ワイン
ワインにローズの花びらを浸けて香り付けすることは、はるか昔から行われてきました。
ローズで渋味が強くなるので、甘口のワインを選ぶことがポイント。もしくは、ハチミツで甘味を足します。
世界の料理
西アジア~北アフリカ一帯、そしてインドは、伝統的にローズやローズウォーターを活用してきた地域です。
この地域ではいまでもさまざまな料理・お菓子・デザートにローズの風味を付けています。
- ローズウォーターで香り付けしたシロップを使って、数え切れない種類の甘いお菓子やデザートが作られています。
- ソルベなどの氷菓子、ナッツやピスタチオを入れた焼き菓子、団子、ライスプディングなど。
- 家庭で作る料理にも、最後の仕上げとしてローズウォーターを加えることがよくあります。
- ローズの花びらが入ったミックススパイスがあるのも、この地域ならでは。
- イランの「アドヴィエ」
砕いたローズの蕾にブラックペッパー、シナモン、カルダモン、クミン、ジンジャーなどをミックス。
肉の下味や煮込みに使ったり、米料理や甘いライスプディングに振りかけたりもします。 - 北アフリカの「ラス・エル・ハヌート」
ローズやラベンダー、クローブのほか、多種類のスパイスを使ったミックスです。
ブレンド内容はさまざまなバリエーションがあり、クスクスなど北アフリカの料理に多く使われます。 - インドの「ガラムマサラ」
豪華なムガール料理に使うガラムマサラには、ローズの花びらをブレンドすることがあります。
- イランの「アドヴィエ」
無限の可能性を秘めたローズとヨーロッパの食文化が結びつき、多くの食べ物・飲み物が生まれました。
- もともとアラビアで作られていたのがヨーロッパに伝わり、定着したものも多いです。
- たとえばマジパンやブラマンジェなど。
これらは長いあいだローズウォーターで風味付けされていました。
- たとえばマジパンやブラマンジェなど。
- イギリスではとくに19世紀頃、ティータイムを優雅に彩るものとしてローズが流行しました。
- 紅茶やクッキー、ジャムやソースの香り付けに、ローズがふんだんに使われました。
- なかでも人気だったのがローズサンドイッチ。
パンにバターかクロテッドクリームを塗り、ローズの花びらをはさんだもの。
- フランスのプロヴァンは、ガリカローズで有名な町です。
- ガリカローズのハチミツやジャム、リキュール、ゼリー、チョコレートやキャンディ、花びらの砂糖漬けなど、多くの加工品やお菓子が生産されています。
- ヨーロッパでは現在も、ローズクリームを使ったマカロンやローズの香りを付けた焼き菓子など、繊細なお菓子やデザートがたくさん作られています。
アイディア
food
- グリーンサラダやフルーツサラダに花びらを混ぜる。
もしくは、ローズビネガーを加えたドレッシングをかける。 - スープをブーケガルニやカルダモンで風味付けし、最後のほうでローズの花びらを加える。
仕上げにレモン果汁を加える。 - 鶏肉などの煮込み料理の最後に、ローズの花びらを散らす。
- フィンガーボウルに花びらを浮かべる。
dessert
- ローズの蕾を、砂糖+ビネガーに浸ける。
ローズはデザートの飾りに、ビネガーは炭酸で割ってドリンクに。 - ローズ+ラベンダー+バニラでハチミツを風味付けする。
- 花びらと砂糖を同量+水とローズウォーター少々を鍋に入れ、ローズジャムを作る。
デザートやサンドイッチに。 - ベリーやチェリーと一緒に煮て、デザートソースにしたりタルトやパイに入れたりする。
- ゼリーやアイスクリームにローズウォーターを混ぜる。
さっぱりさせたいシャーベットやソルベには、レモンも合わせると◎。
drink
- 紅茶や緑茶に、ローズとカルダモンをブレンド。
飲むときに、ローズの蕾を1つ浮かべる。 - 冷たいドリンクやスムージーにローズウォーターを加え、ミントやレモンをブレンドする。
- 花びらを製氷皿に入れて氷を作り、ドリンクに浮かべる。
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Gardening 園芸
種類 | 落葉性低木 |
背丈 | 2m前後 |
環境 | 水はけがよく、日当たりが良い(または半日陰になる時間もある)場所 |
STORY
ローズは紀元前2300年頃にはすでに存在しており、ローズのことが書かれた粘土板がメソポタミア(現在のイラク)で発掘されています。
クレタ島のクノッソス宮殿にある、ローズの壁画(紀元前1900~1700年頃)も有名です。
ガリカローズ(Rosa gallica L.)は、古代メディアやペルシア(現在のイラン)で栽培されていたのが、ローマ帝国の広がりとともにヨーロッパ方面にも広がっていったと考えられています。
やがてこのガリカローズ(Rosa gallica L.)がほかの1~2品種と交雑して、ダマスクローズが誕生しました。
ダマスクローズがヨーロッパにどうやって伝わったかはいくつかの説がありますが、もっとも一般的なのは「12~13世紀に十字軍兵士がヨーロッパに帰還するとき、シリアの都市ダマスカスから持ち帰った」というもの。
しかしこのとき持ち帰ったのは、ダマスクローズではなくガリカローズ(Rosa gallica var. officinalis)だった可能性もあり、ここらへんの経緯は今となってはもう確実なことはわかりません。
一方センティフォリアローズは、17世紀ごろに出現した新しい品種です。
この起源もいろいろ曖昧ですが、「ガリカ+ダマスク+ほか2~4品種をかけあわせてオランダで開発された」という説が有力です。
姿かたち
- ダマスクローズは、香りの強いピンク色の花を咲かせます。
花びらの数は35枚前後。 - センティフォリアローズは、カップ型でキャベツのように花びらが重なったピンク色の花を咲かせます。
花びらの数は100枚前後。 - ガリカローズは、一重~八重、ピンク~濃い紫とさまざまな品種がありますが、香料やハーブ・スパイスで「ガリカローズ」というときは、たいていアポセカリーローズ(Rosa gallica var. officinalis)のことを指していることが多いです。
- アポセカリーローズは、半八重で濃いピンク~真紅の花を咲かせます。
栽培と収穫
- 土はよく耕し、はじめの生育期には十分に水やりをします。
- 開花時期は4~6月で、地域やその年の気候によって多少の変動があります。
- 新しく開いた花を、朝露があがった直後に摘みます。
このタイミングが1番香り高く、精油を多く含んでいます。
(開花後は時間とともに成分が揮散し、精油量が減っていきます) - 花を摘まなかった場合、赤いローズヒップは秋に集めます。
ダマスクローズ
- ブルガリアでは、19世紀から栽培が行われています。
栽培地はスレドナ・ゴラ山脈とバルカン山脈の間、カルロヴォからカザンラクに至る「バラの谷」と呼ばれる地域。- 「バラの谷」は、適度な気温・湿度・降雨量、通気性のよい土壌、カルシウム塩が少ない軟水など、ローズ栽培に理想的な条件がそろっています。
- 朝5~9時にかけて花を摘みます。
- トルコでは、1894年に栽培が始まりました。
栽培地は、「バラの街」と呼ばれるアナトリア地方ウスパルタ。 - モロッコの栽培地はダデス渓谷に点在する集落の1つで、「バラの谷」と呼ばれるケラア・ムグーナ(Kelâat M’Gouna)村。
センティフォリアローズ
- 南フランスのグラースでは、20世紀初頭に栽培が始まりました。
- シャネルやディオールのような香水ブランドも栽培しています。
- モロッコでは、1941年(本格的には1946年)から栽培が始まりました。
ガリカローズ
- フランス北西部の街プロヴァンで、13~19世紀まで盛んに栽培されていました。
購入と保存
- ローズをハーブティーや料理に使うために保存する場合、花びらもしくは蕾を乾燥させます。
- ポプリやドライフラワーにするために花ごと乾燥させたいときは、形を整えて平らなところに置きます。
またはトゲを取り除いて束ね、逆さまに吊るします。
名前の由来・伝説
ローズの誕生神話
ローズは「愛と美の女神ヴィーナス(=アフロディーテ)」の象徴です。
神話では、ヴィーナスが海の泡から生まれたとき地上にローズの若木があらわれ、この木に神々が美酒を注いだ瞬間に、最初の花が咲いたということになっています。
その後ローズは血によって赤く染まるのですが、これが誰の血であるかということに関してはいろいろバリエーションがあるようです。
「傷を負った草木の神アドニス(ヴィーナスの恋人)の血」「ヴィーナスが引き回した軍神アレス(アドニスの敵)の血」「アドニスの手当に急ぎ、トゲで傷を負ったヴィーナスの血」または「ミツバチに刺されたエロス(ヴィーナスの息子)の血」など。
最後のミツバチバージョンでは、助け寄ったヴィーナスが腰につけていた小瓶から芳香が漏れ、それがローズの芳香になりました。
- 「rose/ローズ」「Rosa/ロサ」の語源は、ギリシア語の「rodon(赤)」またはケルト語の「rhos(赤)」。
- ローズオットーの「otto」は、トルコ語で「水」という意味。
- ダマスクローズという名前は、ダマスカスから来たローズだから。
- センティフォリアローズの別名
- 「cabbage rose/キャベッジローズ」は、たくさんの花びらがかさなっているのがキャベツみたいだから。
- 「rose de Mai/ローズドメイ」=「5月のローズ」
- ガリカローズは、「ガリアのローズ」という意味。
- 「apothecary’s rose/アポセカリーローズ」=「薬屋のローズ」
- 「プロヴァンスローズ」という呼び方は、センティフォリアローズ(Provence rose/フランスのプロヴァンス地方のローズ)を指すこともあり、ガリカローズ(Rose de Provins/フランスの都市プロヴァンのローズ)を指すこともあり、混同されることが多いです。
- 「French rose/フレンチローズ」というのも、同じくセンティフォリア・ガリカの両方に使われています。
近縁種・間違いやすい品種
Alba rose/アルバローズ
学名 | Rosa alba L. |
科名 | バラ科 |
香り | 軽く爽やかなフローラル |
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アルバローズ
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