Mimosa
ミモザ



学名 | ・Acacia dealbata Link ・Acacia decurrens var. dealbata (Link) Muller ・Racosperma dealbatum (Link) Pedley |
科名 | マメ科 |
別名 | フサアカシア、シルバーワトル |
原産地 | オーストラリア |
主産地 | オーストラリア、フランス |
採油部位 | 花 |
採油法 | 溶剤抽出 / Mimosa abs. |
採油率 | 花からのコンクリート収率は0.7~1%、コンクリートからのアブソリュート収率は20~25% |
性状 | 黄みがかった褐色、粘りけがある半固体 |
主な成分 | ルぺノン、ルペオール、ヘプタデセン、パルミチン酸、アニスアルデヒド、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、酢酸エチル、酢酸ベンジル、リナロール |
香り | ハニー感のあるウッディフローラル、わずかにグリーン やわらかく温かいパウダリー、干し草様のニュアンスもある |
揮発性 | ミドル~ベース |
香り強度 | 強い |
─ PR ─
Fragrance 香料
香りの 性質 | 多くの表情を持つ複雑な香り 拡散性もあり、保留性も高い |
主な 使用法 | 単調な香りにアクセントを加えたり、粗い香りをなめらかにする |
使用量 | 強い香りなので少量だけ使う |
注意 | ─ |
Acacia属には1,200以上の品種がありますが、そのうち「ミモザ」として香料に利用されるのは数種のみ。
なかでも重要なのは「Acacia dealbata(和名 フサアカシア)」です。
「ミモザアブソリュート」は、Acacia dealbataの黄色い花からつくられます。
花を溶剤抽出すると、まずクリーム色のかたいコンクリートが得られます。
それをさらにアルコール処理して得られるのがアブソリュート。
ミモザアブソリュートは半固体で不揮発性物質を多く含んでいるため、あつかいやすいように液状に希釈して売られていることも多いです。
ミモザアブソリュートは、ハチミツ、イリス、オレンジフラワー、ライラック、イランイラン、ヘリオトロープ、アニスなど、さまざまな香調をあわせ持っています。
やわらかくてパウダリーなよい香りですが、実際のミモザの花とは印象が異なります。
同じアカシア属の「カッシー/Acacia farnesiana」とアブソリュートの香りはよく似ていますが、ミモザのほうが甘くて、スパイシーなニュアンスが少ないのが特徴です。
香りの成り立ち
ミモザアブソリュートには、不揮発性成分が多く含まれています。
それ以外に少しずつ含まれている揮発性成分が、アブソリュートの香りをつくっています。
とくに香りの中心になっている成分は、アニスアルデヒドとベンジルアルコール。
- アニスアルデヒド
ミモザやアニスを思わせる香り。甘くパウダリーで、ウッディのニュアンスもあります。- カッシーアブソリュート、アニス、カッシアリーフなどにも含まれています。
- ベンジルアルコール
甘いバルサミックフローラル。少し薬っぽいところがあります。- バルサム・トルー、ベンゾインのほか、いくつかのアブソリュート(ヒヤシンス、ナルシス、バイオレットリーフなど)にも含まれています。
そのほか、フルーティノートをもたらすさまざまなエステル類や、フローラルノートをもたらすいくつかの成分が、ミモザアブソリュートの香りに特徴を与えています。
- フェニルエタノール(フェニルエチルアルコール)
ハチミツのようなしっとりした甘さのあるローズ様。- ローズアブソリュートの主香成分です。
ほかにもオレンジフラワー、ヒヤシンス、オスマンサス、ナルシスなど、主に花のアブソリュートに含まれています。
- ローズアブソリュートの主香成分です。
- 酢酸エチル
甘いフルーティグリーン。
とても軽いエステルで、トップノートにフレッシュ感や丸みを与えます。
フルーツフレーバーによく使われる成分です。- マスタードにも含まれています。
- 酢酸ベンジル
ジャスミン調のフルーティフローラル。- ジャスミン、イランイラン、ナルシス、ヒヤシンス、ジョンキルなど、花のアブソリュートに含まれている成分です。
- リナロール
パウダリーなフローラル。- ローズウッド、コリアンダー、ネロリ、ラベンダー、ベルガモットなどに含まれています。
相性のよい香り
- ミモザを活かしたブーケ調の香りをつくるには、カッシー、ジャスミン、オレンジフラワー、ジョンキルなどのアブソリュートや、ローズオットーをあわせます。
- フローラル系全般とよく合いますが、とくにジャスミンとローズは最高!
ミモザのハニーノートをより深めてくれるジョンキルも◎。 - バイオレットリーフ、ナルシスなどのグリーンノートもよくあいます。
- バニラやベンゾインなどのスイートな香りは、ミモザの甘さを強調するために使えます。
ウッド系といっしょに使えば甘くなりすぎません。 - スパイス系で相性がよいのは、ジンジャー、コリアンダー、クミン。
ほんのちょっと加えて、ブレンドに重厚さを出します。 - 柑橘系、ブラックカラント、オスマンサスなど、さまざまなフルーティノートとよく調和します。
ブレンドテクニック
ミモザアブソリュートは強くて個性的な香りなので、ブレンドの主役としてよりも、ブレンドを構成する一要素として使うことが多いです。
でも少量ですばらしい効果をもたらします!
- 単調な香りに、パウダリー、ハニー、グリーンなどの魅力的なアクセントを加えます。
- ブレンドになんとなく粗さや不自然さ、違和感などを感じるときに少し加えるとよいです。
香りと香りをつなげて調和させ、より洗練された印象になるよう磨き上げます。 - とくにフローラル、オリエンタル、グリーン調の香りに使うのが効果的。
- 軽めのコロン類に足すこともできます。
この場合、ミモザは保留剤代わりにもなります。
合成香料
ミモザアブソリュートは、ほかの花の香りを組み立てるときに、その構成成分として使われることがあります。
たとえばカッシー、バイオレット、イリス、ライラック、リリーオブザバレーの香りなど。
合成香料に天然アブソリュートを足すと、「いかにも合成香料」という感じがやわらいで天然ならではの繊細さや複雑さが出ますが、そうすると当然費用がかさみます。
そんな中、アブソリュートとしては比較的安くて香りもよいミモザは、コストパフォーマンスのよさから大変重宝されています。

ミモザの香りを合成香料で再現した「ミモザ調合香料」も、幅広く使用されます。
- ミモザの香りの特徴を出すには、ローズの調合香料にパウダリーな香り成分(パラ-メチルアセトフェノンなど)を組みあわせます。
- フローラルノートを豊かにするため、イリス、リリーオブザバレー、ライラック、ヘリオトロープなどの香調が加えられます。
- 香りに深みを出すため、イランイラン、ベルガモット、レモンなどの天然精油が加えられることもあります。
- そのほかフルーティ、グリーン、クミン調スパイシーなどの香料が加えられます。
使用されている香水
- Coco/ココ(Chanel、1984)
ローズとクローブの香りに、シベットやサンダルウッドをあわせたスパイシーで重厚な香水。
ミモザのハニー、パウダリーなノートが香りをより深くしています。 - Champs Elysées/シャンゼリゼ(Guerlain、1996)
ミモザ、ライラック、リリーオブザバレー、ピオニーなどの爽やかなブーケに、アーモンドやピーチ、ブラックカラント、バニラなどをあわせた明るいフルーティフローラル。 - Amarige Mimosa de Grasse Millesime/アマリージュ ミモザドゥグラース ミレジム(Givenchy、2005)
ミモザアブソリュートが主成分の香水。
グリーンなトップノート、メロンやピーチのフルーティノート、ウッディパウダリーなベースノートという構成。
その他ミモザを含む香水
「Paris/パリ(Yves Saint Laurent、1983)」
「Byzantine/ビザンチン(Rochas、1995)」
「Mimosa/ミモザ(Fragonard、2010)」
「Herba Mimosa/ハーバ・ミモザ(Chloé、2019)」
─ PR ─
香料としての歴史と活用法
- ミモザは香水だけでなく、化粧品や石けんのフレグランスとしても幅広く使用されてきました。
- ポンポンのようなかわいい花は、ポプリにも理想的!
ほかの花やスパイス、柑橘の果皮、乾燥させたトロピカルフルーツなどとまぜてカラフルにするのが◎。 - ミモザの明るい黄色を活かしたポプリなら、カモミールの花を加えたり、レモン系精油で香りづけするのもオススメ!
─ PR ─
Aromatherapy アロマテラピー
作用 | 鎮静、収れん、防腐 |
適用 | ショック、不安、神経衰弱 |
注意 | ─ |
精神のために役立てる
- ミモザのハチミツのように温かい香りは、とがった精神をやさしく落ちつかせてくれます。
気分が落ちこんでなかなか晴れないときにも助けになってくれます。- イライラしたりナーバスになったりしているときには、オレンジ・スイート、ネロリ、サンダルウッドをブレンドします。
- オープンで明るい気分になりたいときは、グレープフルーツかレモン、クラリセージ、イランイラン、ジャスミン、ローズなどの花もまぜて、オリジナルの「ミモザブーケ香水」をつくりましょう!
- 眠れないときは、マンダリン、ラベンダーをブレンドしてディフューザーで焚きます。
美容のために役立てる
- 収れん作用があるため、脂性肌に適しています。
- シダーウッドと、ローズオットーかイランイランをブレンドします。
お手入れするたびに気分もうっとり!
- シダーウッドと、ローズオットーかイランイランをブレンドします。
Cooking 料理
「ミモザサラダ」や「ミモザ」カクテルなど、ミモザという名がつく料理やドリンクはいくつかありますが、ミモザ自体が料理に使われることはあまりありません。
花は苦みがありますが香りがよいので、たまにビネガーやオイルに香りをうつしてソースをつくったり、キャンディーの香りづけに使ったりすることがあります。
- ミモザ風味のソースは、魚介のカルパッチョやサラダなどさっぱりした料理にあいます。
コリアンダーやレモン果汁とも相性◎! - エディブルフラワーとして砂糖漬けにしたり、デザートの飾りに使ったりすることもあります。
Gardening 園芸
種類 | 常緑樹 |
背丈 | 10~20m |
環境 | 日あたりがよく暖かい場所、水はけのよい土 |
STORY
3月8日は「国際女性デー(International Women’s Day)」です。
女性の社会参加について、これまでの歩みをお祝いし、いまの環境をあらためて見直す日。
この記念日は「ミモザの日」ともよばれ、黄色いミモザの花や色がシンボルになっています。
ミモザの花言葉は「感謝」。
イタリアでは3月8日にミモザの花を女性に贈る習慣があり、この日、街は黄色いミモザと感謝であふれかえります。
この習慣がいまでは世界中に広がり、ミモザの花は国際女性デーを象徴するシンボルとなりました。

ミモザは世界中あらゆる場所でみられますが、もともとはオーストラリアの植物です。
そして香料用のミモザが栽培されているのは、ほとんどが南フランス。
フランスのミモザの歴史は、19世紀にこの木がコートダジュール地方に持ち込まれたところからはじまります。
この地はミモザの成長にみごとにぴったりだったため、あっというまに繁殖し、春に空気を満たす甘い香りはすっかりおなじみのものになっていきました。
その後ミモザ香料の製造がはじまり、切り花用としても北フランスや外国に出荷するほどのミモザ一大生産地として成長していきます。
いまでは山や谷を黄色く染めるミモザの光景は、早春の南フランスの風物詩となっています。
姿かたち
- 花は明るい黄色で、ポンポンみたいなかたち。直径は1.5cmくらい。
30コくらいがかたまってつき、さらに総状花序をつくります。 - 花が咲くと、あたり一面にハチミツのような香りが広がります。
- やわらかい羽根のような葉は、青緑色。
- 樹皮は、銀色もしくは灰色がかった茶色です。
栽培と収穫
- オーストラリアのニューサウスウェールズ地方やタスマニア島などに野生しています。
- 温帯地域や地中海沿岸地域など、気候が暖かい多くの国で生育しています。
- 繁殖力が強すぎることが問題になり、侵略的な外来種としてみなされることもあります。
- 香料用のミモザは、主に南フランスで栽培されています。
ミモザアブソリュートの生産も、ほとんどは地中海沿岸諸国で行われています。 - 南フランスでは、開花時期は12月中旬~4月はじめ。
2~3月に満開を迎えます。 - 葉はとりのぞき、香りのよい花だけを抽出に使います。
ミモザ街道(Route du Mimosa)
南フランスで大規模に栽培されているミモザ。
中でもミモザが特別美しい村や町を通る130kmのルートは「ミモザ街道(Route du Mimosa)」とよばれ、ミモザの季節にはお祭りや観光客でにぎわいます。
ミモザ街道は「ボルムレミモザ村」からはじまり、地中海の青い海と空がきれいなコートダジュールの海岸を通って、ミモザ祭りで有名な「マンドリュー・ラ・ナプール」、その後北上して山の中に入り、ミモザで埋め尽くされた「タヌロン」などを経由し、最後は香水の町「グラース」へ至ります。
なかでも、マンドリュー・ラ・ナプール~タヌロンのあいだは道の両側から満開のミモザが迫り、天然の黄色いトンネルをつくります。
ミモザ街道のオフィシャルサイト → Route du Mimosa
ボルムレミモザ観光局Webサイト(日本語。地図もあり) → Bormes les mimosas office de tourisme
名前の由来・伝説
「Mimosa/ミモザ」という植物名は、本来マメ科のオジギソウ属(学名Mimosa)を指すものです。
それがマメ科のアカシア属(学名Acacia)に使われるようになったいきさつは…
南フランスからイギリスにフサアカシア(Acacia dealbata)が輸入されたとき、人々はまだその花になじみがありませんでした。
そこで葉や花のかたちが似ているオジギソウ属の「ミモザ」という名前でよんでいたのですが、それがそのまま定着してしまったということです。
現在「ミモザ」というと、ふつうはアカシア属の黄色い花のほうを指します。
- 「Mimosa/ミモザ」という名前は、古代ギリシア・ローマで行われていた「mimos/ミモス」という身振りやモノマネによる寸劇が語源になっています。
これはオジギソウ(Mimosa pudica)の葉をさわったり光をあてたりすると、ぐったりと縮んだような動きをすることが、動物のモノマネだとかミモス劇の動きみたいとかいわれていたから。
(アカシア属のミモザにこの習性はありません) - 属名「Acacia/アカシア」は、ギリシア語の「akis(鋭い先という意味)」に由来します。
- 種小名の「dealbata」は、白くなったという意味。
環境によっては、白い地衣類が樹皮を覆うことがあるから。
近縁種・間違いやすい品種
Cootamundra wattle/クータマンドラワトル
学名 | Acacia baileyana F.Muell. |
科名 | マメ科 |
別名 | ギンヨウアカシア |
|
Black wattle/ブラックワトル
学名 | Acacia decurrens Willd. |
科名 | マメ科 |
別名 | ミモザアカシア |
|