Lavender

ラベンダー

植物DATA
学名・Lavandula angustifolia Mill.
・Lavandula officinalis Chaix
・Lavandula vera DC.
科名シソ科
別名真正ラベンダー、ラベンダー・トゥルー、ラベンダー・イングリッシュ、コモンラベンダー
原産地地中海沿岸
主産地フランス、ブルガリア、オーストラリア
使用部位花、茎葉
主な成分精油、フラボノイド、タンニン
精油DATA
採油部位花と茎葉
採油法水蒸気蒸留 / Lavender oil
溶剤抽出 / Lavender abs.
採油率0.6~0.7% / oil
花からのコンクリート収率は0.6~2.2%、コンクリートからのアブソリュート収率は50~65% / abs.
性状無色~淡黄色 / oil
赤褐色~暗黒色 / abs.
主な成分酢酸リナリル、リナロール、β-オシメン、β-カリオフィレン、酢酸ラバンジュリル、テルピネン-4-オール、α-テルピネオール、ラバンジュロール、3-オクタノン、酢酸ゲラニル / oil

酢酸リナリル、リナロール、クマリン、β-カリオフィレン、酢酸ゲラニル、テルピネン-4-オール、7-メトキシクマリン / abs.
香りフレッシュなアロマティックハーバル。ソフトで甘いフローラル、ウッディ、バルサミックなニュアンスもある。 / oil

生花に近い香りで、グリーンノートと干し草のようなニュアンスもある。 / abs.
揮発性トップ~ミドル / oil
ミドル~ベース / abs.
香り強度弱め / oil
中程度 / abs.

ラベンダーの甘くやさしい香りには、人をリラックスさせ、良い眠りへと誘う力があります。

アロマテラピーでもっとも使う機会の多い精油の1つです。

また、上品さや清潔感を連想させる香りでもあり、香料としても幅広い需要があります。

フゼアタイプの香水には、ラベンダーが欠かせません。

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Fragrance 香料

香りの
性質
フレッシュで軽く、ソフトな甘さのあるハーバルノート。
主な
使用法
シトラスやアロマティックのフレッシュな香りにやわらかさを出す。
フゼアタイプ、メンズフレグランス。
使用量多めに使ってもほかの香りを圧倒することはなく、ブレンドしやすい。
注意

「ラベンダー」にはいろいろな種類がありますが、香料として1番質が高いのは「真正ラベンダー」と呼ばれるLavandula angustifoliaです。


真正ラベンダー精油の特徴としては、以下のようなものがあります。

  • ほかのラベンダーより酢酸リナリルの量が多い
  • ほかのラベンダーよりケトン類(カンファーなど)の量が少ない

そのためツンとした薬っぽいニュアンスをあまり感じない、甘くやわらかいラベンダー香となっています。

(以下、ラベンダー=真正ラベンダー)

ラベンダーの植物画

ラベンダー精油は、酢酸リナリルの量(多いほうが良い)によってランク付けされます。

一般的に標高が高い場所で育ったラベンダーほど質が良くなるといわれていますが、最高品質のものだと酢酸リナリルが全体の50%以上を占めています。


ラベンダーアブソリュートは、香りが生花に近く持続力が強いのが特徴。

そのほか、香料として扱いやすいようにテルペン類を除去した精油、濃い色を脱色したアブソリュートなどが使われることもあります。

香りの成り立ち

ラベンダー精油の主成分は、酢酸リナリルとリナロールです。
2つ合わせて全体の70%前後を占めています。

  • 酢酸リナリル
    フレッシュで甘さと酸味があるフローラルフルーティ。
    ラベンダー、ベルガモット様。
    • クラリセージプチグレンベルガモットマージョラム・スイートネロリなどにも含まれています。
  • リナロール
    穏やかで軽いフローラルノート。ウッディ、スパイシー、クリーミーなニュアンスがあります。
    ライラック、ラベンダー様。
    • ホーリーフローズウッドコリアンダーハニーサックルアブソリュートマグノリアなどにも含まれています。

上記2つに加えて、以下のようなアルコール類・エステル類がラベンダーの香りを作っています。

  • ラバンジュロール
    シトラスやローズの雰囲気を帯びた、ほのかなフローラル、ハーバルノート。
  • 酢酸ラバンジュリル
    フレッシュハーバル、フルーティ。
    ラベンダー、ローズ様。
  • 酢酸ゲラニル
    ローズのような甘いフルーティフローラル。
    酢酸リナリルと組み合わせるとラベンダー様の香りになります。
    • イランイランパルマローザシトロネラローズメリッサなどに含まれています。

以下は、全体への影響度は少ないもののラベンダーの香りに複雑な表情を与えている成分です。

  • β-オシメン
    フレッシュで温かみのあるハーバル、シトラス、ウッディ。
    • ジョンキルアブソリュートオポポナックスタラゴンネロリブラックカラントアブソリュートなどに含まれています。
  • β-カリオフィレン
    ドライで温かいウッディノート。ピリッとしたスパイシーなニュアンスがあります。
    • コパイバブラックペッパーイランイランクローブシナモンなどにも含まれています。
  • テルピネン-4-オール
    爽やかなライム様シトラス、スパイシー、フローラル。
    • ティートリーマージョラム・スイートジュニパーナツメグフランキンセンスなどにも含まれています。
  • α-テルピネオール
    ライラック様フローラル。ほんのりスパイシー、スイート。
    • ライムカユプテマージョラム・スイートレモンネロリなどにも含まれています。
ラベンダーの花茎6本

ラベンダーアブソリュートも、主成分は酢酸リナリルとリナロール。

そのほかも同じような成分を含みますが、アブソリュートにはクマリンが含まれているというのが特徴です。

  • クマリン
    パウダリー、スイートスパイシー、バルサミック。枯れ草やカラメル様の温かみがあります。
    桜の葉の香り成分です。
    • トンカビーンズアブソリュートヘイアブソリュートカッシアナルシスアブソリュートなどにも含まれています。

相性のよい香り

  • どの柑橘と合わせても、気持ちのよい爽やかな香りを作れます。
    • ラベンダーの酸味を強調してキリッとさせたいときはレモン
    • リラックスできる香りにしたいときはオレンジ・スイート
    • ラベンダーの香りに自然なメリハリを出したいときはベルガモット
  • ラベンダーとローズマリーを組み合わせると、温かみのあるアロマティックな香りができます。
    コロン系では定番の組み合わせです。
    • さらにゼラニウムクラリセージカモミール・ローマンマージョラム・スイートなどをブレンドすると、やわらかさのある心地よい香りに。
    • またはタイムバジルなどをブレンド(量は控えめに)すると、熱さがくっきりと際立つアクティブな香りに。
  • ラベンダーに少し表情をつけたいときは、以下のような香りを少量ブレンドするとよいです。
    • 高級感を出すならジャスミン
    • ピリッとした刺激がほしいときは、コリアンダーナツメグ
    • ラベンダーの涼しさを後押しするのは、ペパーミントパイン
  • ラベンダーとローズを一緒に使うと、イギリスのガーデンやポプリを思わせるクラシックな香調になります。
  • ラベンダーにサイプレスジュニパーシダーウッド・アトラスなどをブレンドすると、軽やかなフレッシュウッディノートができます。
  • ラベンダーを使って重厚な香りを作りたいときは、サンダルウッドパチュリを合わせるとよいです。
    • さらにラブダナムバニラオークモスのどれかを足しても。

ブレンドテクニック

  • アロマブレンドで香りがバラバラした印象のとき、ラベンダーを1、2滴加えると全体の香りがまとまります。
  • オーデコロンの材料として伝統的に使われます。
    シトラス中心の鋭い香りにラベンダーを加えると、香りにやわらかさや上品さが生まれます。
  • フゼアタイプの香りは、ラベンダーが核になります
    • ラベンダー、ゼラニウムorローズ、クマリン(天然香料ならトンカビーンズアブソリュートを利用する)が基本構成です。
    • フレッシュ感を強調するにはベルガモットを加えます。
    • オークモスパチュリを加えることも多いです。
  • 甘いアンバーノートのフレッシュなアクセントとしても使えます。
  • ラベンダーは昔から理髪店で使われたりアフターシェーブローションに配合されたりしていたため、メンズフレグランスやコスメの香りとして定番です
    • アロマティックなハーブをブレンドすると、温かく清潔感のある香りになります。
    • バニラをブレンドすると、やわらかく洗練された香りになります。

合成香料

ラベンダー調合香料もさまざまなタイプがあります。

  • ラベンダーウォータータイプ
    身だしなみに使われていた「ラベンダーウォーター」の昔ながらの香り。
    いろいろなタイプがありますが、たとえばラベンダー、ベルガモット、ローズマリー、少量のローズ、トンカビーンズなどのほか、シベット、ムスク、バニリン、メントールなどの合成香料が配合されます。
  • ラベンダーアンバータイプ
    ラベンダー、ラブダナム、ローズ、ゼラニウム、クローブ、サンダルウッド、ベンゾイン、スチラックス、アンバーグリスなどがブレンドされます。
ラベンダー模様で飾った香水瓶

使用されている香水

  • Jicky/ジッキー(Guerlain、1889)
    合成香料のバニリンをはじめて取り入れた香水として、今なお語り継がれています。
    シトラス、ラベンダー、オリスなどの冷たいノートから、バニラ、アンバーの温かい残り香へと続く絶妙な香り。
  • English Lavender/イングリッシュ ラベンダー(Yardley、1913)
    ラベンダーがフレッシュに香るクラシックなフレグランス。
    ラベンダー、ベルガモット、ゼラニウム、トンカビーンズ、オークモスという王道のフゼアタイプ。
  • Pour Un Homme/プール アン オム(Caron、1934)
    男性の身だしなみの香りとして定番だったラベンダーに、やわらかいバニラとムスクをブレンドして進化させたメンズフレグランス。
    爽やかでエレガントな香り。
  • Eau Noire/オー ノワール(Dior、2004)
    3種類のラベンダー、アロマティックなハーブ、個性の強いヘリクリサム、グルマンなリコリス&コーヒーがユニークなコントラストを描く独創的なフレグランス。
  • Jersey/ジャージー(Chanel、2011)
    ジャージー生地のようにやわらかく心地よいラベンダーの香り。
    モンペリエ近郊のラベンダー、ローズとジャスミンの甘いフローラル、クリーミーなバニラがやさしく上品に香ります。
  • Libre/リブレ(Yves Saint Laurent、2019)
    ラベンダー+ホワイトフローラルの、フェミニンでやわらかい雰囲気のフレグランス。
    ラストはバニラ、アンバー、ムスクの温かくパウダリーな香り。
  • Silver Birch & Lavender Cologne/シルバー バーチ & ラベンダー コロン(Jo Malone London、2020)
    クールでビターな印象のラベンダー。
    トップノートは爽やかなグレープフルーツとラベンダー。そこからシルバーバーチのスモーキーウッディへとつながっていきます。

その他ラベンダーを含む香水

「Fougere Royale/フジェール ロワイヤル(Houbigant、1882)」
「English Lavender/イングリッシュ ラベンダー(Atkinsons、1910)」
「Paco Rabanne Pour Homme/パコラバンヌ プールオム(Paco Rabanne、1973)」
「Azzaro pour Homme/アザロ プールオム(Azzaro、1978)」
「Drakkar Noir/ドラッカーノワール(Guy Laroche、1982)」
「Egoiste Platinum/エゴイスト プラチナム(Chanel、1993)」
「Mon Guerlain/モン ゲラン(Guerlain、2017)」

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香料としての歴史と活用法

古代エジプトの人々は、香水やワックスコーン(頭にのせる円錐型の帽子。少しずつ溶けて香りを放つ)の材料にラベンダーを使っていました。


中世ヨーロッパでは、ラベンダーを引き出しに入れてリネンや衣類に香りをつけたり、サシェ、ポプリ、タッジーマッジー(小さい花束)の材料としても広く使うようになりました。

また、家や教会の床にラベンダーをばらまき、踏むと心地よい香りが広がるのを楽しんだりもしていました。

15世紀ごろは、グラースの職人が皮製品の香りづけにラベンダーを使うこともあったようです。


その後、貴族の間でもラベンダーの香りが愛されるようになり、宮殿ではリネンやシーツに香りをつけたり、ラベンダーを詰めたクッションを部屋に置いたり、ラベンダーオイルを混ぜたミツロウで家具を磨いたりしてその香りを楽しみました。

サシェの香りを嗅いでいる女性
1828 by Charles Philipon
ラベンダーサシェの香りを嗅いでいる女性

17世紀には、イギリスのラベンダーウォーターが人気を博し、サリー州ミッチャムで商業的なラベンダー栽培&蒸留が開始されます。

それ以前も簡単なラベンダーの蒸留は行われていましたが、ミッチャムの土壌と気候は世界最高のラベンダーウォーターを生み出すと評判になりました。

このラベンダーウォーターは、ラベンダーの花と他のいくつかの原料をいっしょに蒸留することで得られます。

これは香水としても薬としても用いられましたが、洗顔後やひげそり後の手入れ、入浴するお湯の香りづけなどにもよく使われていました。

18世紀フランスの宮廷では、ラベンダーウォーターが男女関係なく大量に消費されていたそうです。


現代でも、ラベンダーは広く香料として使用されており、石けんや入浴剤、ポプリ、サシェ、ドライフラワーなど、伝統的な香りとして多くの人々に愛されています。

ラベンダーのイラスト
  • 17~18世紀に流行した「香水風呂」
    • ラベンダーローズジャスミンオレンジフラワーなどの花、その他さまざまなハーブを入れて沸かしたお風呂のこと。
      湯が沸いたら、さらにラベンダーなどのオイルも加えて入浴していました。
  • ラベンダーのサシェ
    • 入浴用のサシェなら、ローズカモミールレモンバームミントなどを一緒にいれるとよいです。
  • ラベンダーのポプリ
    • どんなタイプにも合わせることができますが、定番はローズとのミックス。
    • レモン系ハーブミントタイムバジルローズマリーなどともよく合います。
    • パインニードルジュニパーベリー、砕いたローレルオークモス柑橘果皮などを加えても◎。
    • シナモンクローブカルダモンバニラなどのスパイスも加えると深みが出ます。
  • ラベンダーの花は、インセンスの調合にも使われます。
    • シダーウッド・バージニアマスティックオークモストンカビーンズバニラオポポナックスなどと合わせるとリラックスできる香りに。

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Aromatherapy アロマテラピー

作用鎮静、鎮痙、鎮痛、抗炎症、抗リウマチ、神経バランス調整、消化器系ケア、皮膚の再成長サポート
適用眠れない、不安、緊張、落ち込み、消耗、PMS、日焼け、やけど、傷あと、虫よけ、菌対策
注意

ラベンダーは、アロマテラピーではもっとも基本となる精油です。

甘くやさしい香りはリラックスの代名詞的存在で、どの香りとも合わせやすいということも人気の理由の1つ。

ディフューザー、アロマバス、アロマトリートメントなどさまざまな方法で使うことができます。

ラベンダーの植物画
‘Lavandula officinalis chaix’ by Walter Müller

精神のために役立てる

ゆっくりリラックスしたいときぐっすり眠りたいときに使う精油としては第1候補です。

  • リラックスのための普段使いの香りなら、ゼラニウムマージョラム・スイートネロリフランキンセンスベチバーなどをブレンドすると◎。
  • 眠る前に使う香りは、甘さがあって重すぎない香りがおすすめ。
    たとえば以下のような精油をブレンドするとよいです。
    • オレンジ・スイートまたはマンダリン
    • カモミール・ローマンクラリセージローズの中から好きなものを1つ。

怒り、不安、パニックなど、激しく高ぶった感情をおだやかに冷やして鎮めます。
基本的には上記のリラックスブレンドを使い、状況に合わせて以下のような精油も足しましょう。

  • 怒りやイライラをコントロールしたいとき。
    • うっ積した感情が欲求不満につながっているなら、ベルガモットを多めにブレンド。
    • 傷ついた心が怒りに発展しているなら、ローズヘリクリサムをブレンド。
  • 不安や緊張に対処したいとき。
    • 慢性的な不安、焦りが消えないなら、メリッサをブレンド。
    • パニックや恐怖心をやわらげるためには、イランイランフランキンセンスをブレンド。

ラベンダーはただ鎮静させるだけではなく、不安定になったバランスを調整するようにはたらきます。

  • 落ち込みや憂うつ(PMSなども含む)には、ベルガモットクラリセージコリアンダーをブレンド。
  • ストレスが続いたせいで無気力になっているときは、オレンジサイプレスをブレンド。
  • リラックスしすぎず適度に明晰な状態を保ちたいときは、レモンユーカリパインをブレンド。

怒りも悲しみも洗い流してくれる精油

満開のラベンダー

名前の由来となった「lavare(洗う)」という言葉どおり、ラベンダーは心の中に蓄積した感情をきれいに洗い流してくれる精油です。そして静かでリラックスした精神状態へと導いてくれます。

とくに感受性が豊かで人一倍敏感なのにそれを表に出さないようにしがちな人、表現することに対してなんらかのブロックを感じているような人に役立ちます。

長年フタをしてきた感情、焦り、混乱などから解放され、自由で澄んだ心で目の前の状況に対処するサポートをしてくれます。

身体のために役立てる

  • 消化器系の不調(とくにストレスに関連するもの)に役立ちます。
    • キリキリした痛みには、ベルガモットマージョラム・スイートをブレンド。
      温湿布やオイルトリートメントがおすすめ。
    • ムカムカする、消化不良などには、ペパーミントレモンフェンネルをブレンド。
  • そのほかの痛みをやわらげるのにも役立ちます。
    • 頭が痛いときは、ペパーミントユーカリをブレンド。
    • 肩や腰のコリ、痛みには、ジュニパーをブレンド。
    • 生理による痛みなら、サイプレスクラリセージをブレンド。

美容のために役立てる

ラベンダーはすべての肌タイプのスキンケア、ヘアケアに使うことができます。

  • ふつう~乾燥肌/髪には、カモミール・ローマンもしくはゼラニウムサンダルウッドをブレンド。
  • オイリー肌/髪には、ローズマリーティートリーをブレンド。
    • ローションを作って肌や頭皮に使えば、毛穴・スカルプケアができます。
    • シャンプー・リンスに混ぜれば、フケ対策になります。
  • 炎症を抑えたり皮膚の再成長をサポートするラベンダーは、日焼け後のお手入れにぴったりです。
    • リフレッシュも兼ねたボディミストには、少しだけペパーミントを加えるとさらに◎。
    • 日焼けに限らず、軽いやけどや虫刺されなどにも使えるジェルやクリームを作るなら、ティートリーも加えるとよいです。
  • 足を清潔に保つための手入れに。
    ゼラニウムなどもブレンドしてフットバスにしたり、スプレーやクリームを作ってもよいです。

その他の使い方

  • 空気をきれいにしたいときは、ペパーミントをブレンドしてディフューザーで拡散します。
  • 虫よけスプレーには、レモングラスゼラニウムをブレンドするとよいです。
    ボディ用としてはもちろん、網戸に使ってもOK。

ラベンダーは、化粧品の成分としても頻繁に利用されます。

また、精油を蒸留するときに同時に得られる「ラベンダー芳香蒸留水」も人気です。

ラベンダーのモノクロ植物画
‘Lavandula Angustifolia’ 1903

化粧品成分

  • ラベンダーの植物エキス
    ラベンダー花エキス」の名称で配合されています。
  • ラベンダーの精油
    ラベンダー油」の名称で配合されています。
    肌に有益な作用と快い香りをつけるために、日焼け止め、シャワージェル、シェービングクリーム、ボディローションなど幅広い製品に使用されています。

芳香蒸留水

香りほんのりと甘いハーバル、おだやかなフローラル
主な成分リナロール、α-テルピネオール、テルピネン-4-オール、1,8-シネオール、ゲラニオール、クマリン
作用鎮静、抗炎症、皮膚の再成長サポート、スキンケア
  • 主成分はリナロールなので、作用は精油と似ています。
  • 精油に含まれている酢酸リナリルや酢酸ラバンジュリルは水に溶けにくいため、芳香蒸留水にはほとんど含まれません。
  • その代わり水によく溶けるクマリンが含まれています。
  • すべての肌タイプに使えます。
    炎症を抑え、バランスを調整し、肌の再生力をサポートします。
  • 日焼けした肌や敏感肌のケアにも向いています。
  • ひげそりの前後、虫刺されにスプレーするのも◎。
  • 旅行中、乾燥した日などに顔や全身にスプレーしたり、部屋、ベッド、車の中にスプレーしたりもできます。
  • 冷やしてひんやり湿布を作ってもいいし、バスタブに加えて入浴するのも◎。

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Herb therapy ハーブセラピー

作用鎮静、鎮痙、鎮痛、神経バランス調整、消化器系ケア、皮膚の再成長サポート
適用眠れない、不安、緊張、落ち込み、消耗、日焼け後のスキンケア、菌対策
注意

ラベンダーは、バスタブに入れて入浴剤にしたり、ハーブティーにして飲んだり、チンキを作って肌に塗布したりとさまざまな方法で利用できます。

フレッシュハーブ、ドライハーブどちらでも使えます。

カゴに入れたラベンダーを売っている女性
‘Six bunches a penny, sweet lavender!’

健康のために役立てる

リラックスや眠りに良いハーブとして定評のあるラベンダー。
ハーブティーを作って飲むのがおすすめです。

  • 不安や緊張をやわらげるハーブとしてすぐれた力を発揮します。
    • 不安や心配事で押しつぶされそうなときは、スペアミントレモンバーベナをブレンド。
    • 緊張がなかなか解けずに休まらないときは、カモミール・ジャーマンレモンバームをブレンド。
  • ストレスに関連した悩みがあるときは、上記のブレンドにさらに以下のハーブも足します。
    • 眠れないときは、パッションフラワーリンデン(またはオレンジフラワー)をプラス。
      この場合はハーブピローを作るのも◎。
    • 頭が痛くなるときは、バレリアンをプラス。
    • 胃腸の調子が悪くなるときは、フェンネルをプラス。
  • 落ち込んだ気持ちが続いたり気力が湧いてこなかったりするときは、おだやかに元気づけてくれます。
    • 落ち込みには、ローズマリーオートレモンバームをブレンドするとよいです。
    • 落ち込んでいるわけではないが気分転換したいというときは、レモングラスバジル(またはタイム)、ローズマリーをブレンド。
      紅茶、ハチミツ、レモンスライスを足してもOK。
  • 更年期やホルモンバランスによる気分の揺れなら、ルイボスレッドクローバーラズベリーリーフローズをブレンド。

美容のために役立てる

ラベンダーで作った浸剤や浸出油は香りもよく、スキンケアやヘアケアに幅広く役立ちます。

  • ラベンダーをバスタブにいれると、香りがよいのはもちろん、心身をほぐして肌を清潔に整えてくれます。
    お風呂上がりにラベンダーのコロンを使えば完璧!
  • 足のデオドラントには、フットバスを利用します。
    • カレンデュラ、ラベンダー精油を加えてもよいです。
  • オイリースキン・ヘアのバランスを整え、おだやかに引き締めます。
    浸剤をフェイシャルスチームやローションに加えたり、浸出油をクリームに加えたりすることができます。
  • 日焼け後のクールダウン、スキンケアにも。

ハーブティー

ドライラベンダー
淹れ方ドライフラワー小さじ1に熱湯200mlを注ぎ、フタをして5~10分。
液色ラベンダーベージュ
風味甘く強いラベンダーの香りと渋味
  • 少量加えただけでもラベンダー特有の風味が強く出ます
  • ラベンダーの味が目立つと飲みにくくなることが多いので、入れすぎないように注意しましょう。
  • とくにリラックス目的のブレンドを作るときは抽出時間も短めにして、やわらかい風味のカモミールレモンバームリンデンなどと組み合わせて使います。
  • 渋味が気になるときは、ルイボスローズヒップなどコクのあるハーブを加えるとよいです。

ハーブとしての歴史と伝承

古代エジプトでは、ラベンダーは香水だけでなく、ミイラに塗る軟膏にも使用されていました。

古代ギリシャ人は、ラベンダーには怒りや執着、災いを鎮める力があると信じ、女神ヘカテに捧げていました。

ラベンダーの浄化作用や傷を癒やす作用は古代から知られており、ローマ人は入浴するときにラベンダーを利用していたとされています。
(これについては諸説あります)

開花したラベンダーの絵
‘Lavandula vera’ by Cécile Pfulb Kastner

12世紀には、ドイツのヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179)がラベンダーの作用についてまとめ、この植物のすばらしい力をヨーロッパ全域に広めました。

ヒルデガルトは、有名な「ラベンダーウォーター」の発明者だともいわれています。

ラベンダーウォーターは香水やデオドラントとして使用されるだけでなく、痛みをやわらげたり、枯れた声を癒やしたり、活力を取り戻す薬としても広く利用されました。

16~17世紀にペストが流行したときは、ほかのハーブと同じくラベンダーも「病気を避ける力」があると噂されました。

そこで、ラベンダー、ガーリック、ビネガーなどを混ぜた混合液が登場します。

当時たくさんいた泥棒の中でペストにかからなかった4人はこれを全身に塗っていたということで、この液体は後々「4人の泥棒のビネガー」と呼ばれるようになりました。

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Cooking 料理

風味香りも苦みも強い。
主な特徴風味が強く出やすいので控えめに使用する。
作り置きビネガー、オイル、ハニー、シュガー、シロップ

ラベンダーを食材として使うことは、古代では一部の食通を除いてあまり一般的ではなかったようです。

16~17世紀になると、スイーツやデザートに香りをつける利用法が徐々に広まっていきます。

ラベンダーの香りをつけたホットチョコレートは、マリー・アントワネットやナポレオンも好んで飲んでいたそうです。


料理に最適なラベンダーは、香り高い真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)

ほかのラベンダーやラバンジンのようなツンとした刺激がないため、甘くやわらかい香りを楽しめます。

とはいえラベンダーの風味はかなり目立つので、ひかえめに使ってほんのり香らせるのがポイントです。

使い方のコツ

乾燥させたラベンダー
  • さまざまな肉料理の風味付けに使えます。
    • とくにラムと相性がよく、子羊にラベンダーを食べさせて育てることもあります。
    • 調理前にすり込んだり、ローストして振りかけたり、バーベキューで葉を加えたりしても良いです。
    • ガーリックと一緒に使うと◎。
    • 完成した肉料理にラベンダージャムを添えることもあります。
  • お菓子やデザートにも香り高い風味を与えます
    • ケーキやスコーン、ブラウニー、クッキー、チョコレート、マシュマロ、ゼリー、クレームブリュレなどの香りづけに。
    • アイスクリーム、ソルベなど、冷たいデザートには特によく合います
    • 材料のミルクやクリームに香りを移してもいいし、細かく刻んで生地に加えても。
  • ラベンダーシュガーを作っておくと便利です。
    • お菓子やデザートの材料に。
    • チーズやフルーツサラダにかけたり、紅茶の風味付けに使ったりもできます。
    • ラベンダーフラワーの砂糖漬けは、ケーキのデコレーションに使うと華やか。
  • 同様にラベンダーの香りをつけたシロップハニーオイルビネガーなども、料理に手軽に芳香をつけられます。
ラベンダーの花

簡単レシピ「ラベンダーシュガー」

  1. ラベンダーの花と砂糖をよく混ぜる。
  2. ガラス瓶に密閉し、ときどき振りながら1~2週間おく。
  3. そのあとふるいにかけて、花は取り除く。

世界の料理

  • エルブ・ド・プロヴァンス/Herbes de Provence
    プロヴァンスのハーブを使った伝統的なミックススパイス。
    グリルした鶏肉、魚、サラダなどに使います。
    • ローズマリー、セイボリー、タイム、バジル、オレガノ、フェンネル、ローレルなどがブレンドされることが多いです。
    • ラベンダーははじめから入っていたわけではなく、プロヴァンスのイメージとして観光客ウケを狙って加えられるようになりました。
  • ラベンダーハチミツ
    • プロヴァンスでは、1920年頃にラベンダー・ラバンジンからハチミツを採取するようになりました。
    • コルシカ島には、マキ(灌木地帯)に育つラベンダーやヒースなどの花から集めたハチミツがあります。

アイディア

瓶に入ったラベンダーのシロップ

food

  • トーストにバターを塗り、ラベンダーシュガーを振りかける。
  • ラベンダーと少量のクローブで、ハチミツに香りをつける。
    このハチミツを使ってドレッシングに甘みをつけてもいいし、アイスティーや白ワインに加えても◎。

dessert

  • ラベンダー、ハイビスカス、レモングラスなどで、ゼリーに鮮やかな色とやさしい風味をつける。
  • ラベンダー、レモングラス、コリアンダー、ジンジャーでハーブティーを作り、冷やす。
    このティー+炭酸水を、ココナッツアイスクリームに注ぐ。
  • シロップにラベンダーとバニラビーンズを浸して風味をつけ、濾す。
    このシロップにイチゴなどのフルーツを加え、冷やす。

drink

  • グレープジュース(または甘口の赤ワイン)にラベンダー、クローブ、シナモン、ライムスライスを加え、沸騰直前まで温める。
    冷やして炭酸水を加える。
  • ラベンダーやローズをブレンドしてフローラルなハーブティーを作り、カシスリキュールで割る。

食品フレーバー

  • ラベンダー精油は、ドリンク、アイスクリーム、キャンディー、焼き菓子、ゼリー、ビネガーなどのフレーバーに利用されています。

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Gardening 園芸

種類常緑低木
背丈1m前後
環境日当たりが良く乾燥した場所と、水はけのよい土壌。

STORY

代ギリシア・ローマ人は、ラベンダーのことを「ナルド」という名前で呼んでいました。

この時代に記録されているラベンダーは、ラベンダー・フレンチ(Lavandula stoechas)だと考えられています。

そのほかにも地中海地方には数種類のラベンダーがあり、とくに区別されることなくそれぞれの場所でそれぞれのラベンダーが利用されていたようです。

アラビア語とハーブのイラストが載っている写本
‘Lavender (Lavendula stoechas), istûkhâs [top]; Wild marjoram (Origanum vulgare var. megastachyum), awrîjânûs [bottom]’
古代ローマ「薬物誌」(ディオスコリデス著)の写本。

真正ラベンダー(L. angustifolia/古い学名はL. vera)について、ほかのラベンダーと区別して初めて記録したのは、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179)だとされています。

ヒルデガルトは、このラベンダーの香りと使い方を著書の中で述べ、その存在をヨーロッパ全土に広めました。


その後、ラベンダーが忘れられかけた時代もありましたが、修道院の薬草園では常に栽培が続けられていました。

現在では香水、アロマテラピー、ハーブティーなどさまざまな分野で欠かせない香りになっています。

姿かたち

ラベンダーの植物画
‘Lavandula angustifolia’ 1897 by Franz Eugen Köhler
  • 植物全体に芳香があり、基部は木質化します。
  • 茎の先端に花穂をつけます。
    花は青紫色で、こまかい毛で覆われています。
  • 葉は灰色がかった緑色。
  • 花をつける茎が分岐しないことと、葉が細く尖っていることが特徴
    これはラベンダー・スパイクと見分けるポイントになります。
  • 細い根は、浅く広く張ります。

栽培と収穫

  • 標高が高く乾燥した場所でよく育ちます
    地中海沿岸の丘陵地などによく野生しています。
  • 水はけの良い、石灰質のやせた土壌を好みます。
  • 朝と夜は涼しく、昼間は強い日差しが当たる場所がベスト。
  • 平均的な冬であれば耐えられますが、極端な寒さや霜には耐えられません。
    夏の蒸し暑さや湿気も苦手。
  • 夏に開花したらすぐ刈り取り、蒸留します。
  • 水蒸気蒸留にかかる時間は、1時間以内。

ラベンダー街道(Route de la Lavande)

セナンク修道院とラベンダー畑

南仏のプロヴァンスにはラベンダーの名所が数多くあり、この一帯をつなぐ道を「ラベンダー街道/Route de la Lavande」といいます。

約1,000kmにわたって広がるこのルートには、壮大なラベンダー畑を楽しめるエリアがいくつもあります。

たとえば、ヴォクリューズ県の「ソー/Sault」という村のラベンダー畑、「ゴルド/Gordes」村の「セナンク修道院/Notre-Dame de Sénanque」(上の写真)。

アルプ=ド=オート=プロヴァンス県の街「ディーニュ=レ=バン/Digne-les-Bains」のラベンダー祭り、「クステレ/Coustellet」のラベンダー博物館も有名です。


*ラベンダー街道の公式サイト(地図、各スポットの紹介ページあり) → Routes de la Lavande
*セナンク修道院の公式サイト → Abbaye Notre-Dame de Sénanque

世界のイベント

束ねて売られているラベンダー
ラベンダーグッズが並んだマーケット
  • ソーでは、毎年8月にラベンダー祭り「Fête de la lavande」が開催されます。
    2万人もの観光客が集まり、ラベンダーのパレード、精油やコスメ、ハチミツ、スイーツのマーケット、刈り取り競争などで1日中盛り上がります。
  • ディーニュ=レ=バンでは、8月初めの5日間、ラベンダー祭り「Corso de la Lavande」が開催されます。
    1946年以来毎年行われているイベントで、世界中から何万人もの人が集まり、パレードや花火、音楽を楽しみます。
  • ディーニュ=レ=バンの街の広場では、8月末にラベンダーフェア「Foire de la lavande」も開催されます。
    もともとはラベンダー精油の見本市だったそうですが、現在は精油、石けん、ハチミツなどのラベンダーグッズを誰でも購入できるフェアになっています。

*ソーのラベンダー祭りの公式サイト → Fête de la lavande à Sault en Provence
*ディーニュ=レ=バンのラベンダー祭りの公式サイト → Corso de la Lavande
*ラベンダーフェアの公式サイト → Foire de la lavande

購入と保存

  • フレッシュでもドライでも使えます。
    乾燥保存に適しているので、使い切れないぶんは乾燥させておくと冬でもラベンダーを楽しめます。
  • 乾燥させるときは、35℃以上にはならないできるだけ湿気の少ない場所でていねいに干します。

名前の由来・伝説

  • 「Lavender/ラベンダー」という名前の語源は、ラテン語の「lavare/ラワーレ(洗う)」だというのが定説になっています。
    ラベンダーは伝統的にお風呂や洗濯物の香りづけに使うハーブであり、古代ギリシア・ローマでも入浴に使われていたからというのが理由ですが、その時代から本当に入浴に使われていたかどうかは疑問視する声もあります。
  • もう1つは、ラテン語の「livere(青みがかった)」が由来という説。
  • 学名のangustifoliaは、ラテン語で「細い葉」を意味します。
  • 「ラベンダー・イングリッシュ」という名でも呼ばれますが、イギリス原産ではありません。
    かつてイギリスで大々的に栽培されていた時代があり、こう呼ばれるようになりました。
  • 古代ギリシアでは、ラベンダーのことを「ナルド」と呼んでいました。
    シリアの都市「Naarda/ナールダ」から伝えられた植物とされていたため。
    • この名前のせいで、「スパイクナード」と混同されることがあります。
      聖書に出てくる「ナルドの香油」も、スパイクナードではなくラベンダーのオイルではないかともいわれています。
ラベンダーを身に着け、手にも持っている人
‘Page 12 of Flowers from Shakespeare’s Garden’ 1909 by Walter Crane

近縁種・間違いやすい品種

「ラベンダー」にはさまざまな種類がありますが、香りを利用するためのラベンダーは主に3種類。

  • 真正ラベンダー/Lavandula angustifolia
    標高600m以上で育つラベンダー。
  • ラバンジン/Lavandula × intermedia
    標高600m前後に育つラベンダー。
  • ラベンダー・スパイク/Lavandula latifolia
    標高600m以下で育つラベンダー。

もともと標高の高い場所で「①真正ラベンダー」低い場所で「③ラベンダー・スパイク」が野生しており、その中間地点で2種が自然交配して誕生したのが「②ラバンジン」です。


ラバンジンは、ほか2つの性質を併せ持ったラベンダーで、現在クローン種として大規模に栽培されています。

ラベンダーは標高が高くなればなるほど、良質な甘い香りの精油が採れるとされています。

ラベンダー・スパイクにも真正ラベンダーとは違う香り・効能がありますが、安価で供給も安定しているラバンジンに押されて、その重要性は低くなってきています。

Lavender spike/ラベンダー・スパイク

学名・Lavandula latifolia Medik.
・Lavandula spica Cav.
科名シソ科
別名ラベンダー・アスピック、広葉ラベンダー
採油法花茎を水蒸気蒸留
精油成分リナロール、1,8-シネオール、カンファ―、α-テルピネオール、ボルネオ―ル、β-カリオフィレン、α-ピネン、β-ピネン
香り甘さ控えめで刺激のあるフレッシュハーバル。
スッキリした透明感のある香り。
  • 主産地は、スペイン、フランス、ポルトガルなど地中海沿岸。
  • 標高の低い場所でよく見られるラベンダー。
    海辺の土地でもよく育ちます。
  • 寒さに弱く暑さには強い性質で、日当たりの良い場所を好みます。
  • ほかのラベンダーに比べて背が高く、「Grand lavande(大きなラベンダー)」と呼ばれることもあります。
  • 真正ラベンダーとの違いは、花茎が3つに枝分かれすること。(真正ラベンダーは枝分かれしない)
  • 真正ラベンダーよりも花穂が長く、葉の幅が広いのも特徴です。
    丈夫で大きな株に育ち、より多くの精油を生み出します。
  • 学名の「latifolia」は、ラテン語で「広い葉」を意味します。
  • 精油の採油量は約1%。
    淡黄色~黄色の液体で、香りの強さは中程度。
  • トップ~ミドルノートですが、真正ラベンダーよりもトップ寄りです。
  • 酢酸リナリルをほとんど含まずシネオールやカンファーを多く含むため、真正ラベンダーの香りとは異なります。
    どちらかというとローズマリーなどに似た雰囲気。
  • 精油の使い方も真正ラベンダーとは異なり、リラックスにはあまり向いていません。
    主に刺激、活性、リフレッシュなどの目的に使われます。
  • とくに呼吸器系のトラブルに役立ちます。
    蒸気吸入で使用すると、呼吸を楽にし、気分をスッキリさせます。
    パイン、ユーカリなどとブレンドすると◎。
  • 鎮痛作用もあり、頭が痛いときやスポーツ後のトリートメントにも大いに役立ちます。
  • 皮膚の再生サポート、虫刺されのケア、虫よけなどにも使えます。
  • ケトン類を含むため、使用濃度などには注意が必要です。
  • 精油は香料としてだけでなく、絵の具の溶剤などにも使われています。

古代ギリシアやローマで使われていたラベンダーは、「ラベンダー・フレンチ/Lavandula stoechasです。

現代では観賞用として人気がありますが、香料や一般的なアロマテラピーではあまり使われていません。

ラベンダー・フレンチの植物画
‘Lavandula stoechas = Lavande stoechas. [French lavander]’ 1801-1819 by Redouté, Pierre Joseph

Lavender French/ラベンダー・フレンチ

学名Lavandula stoechas L.
科名シソ科
別名ラベンダー・ストエカス、ラベンダー・スパニッシュ、マリタイムラベンダー
採油法花茎を水蒸気蒸留
精油成分カンファ―、フェンコン、1,8-シネオール、α-ピネン、カンフェン、酢酸ミルテニル、酢酸ボルニル、リナロール、ミルテノール、d-リモネン
香りツンとする刺激的なフレッシュハーバル
  • 「ストエカデス諸島/Stoëchades(現在のイエール諸島。フランス南部沖の群島)」が原産のラベンダー。
    「ストエカス」という名前はそこからきています。
  • 主産地は、ポルトガル、スペイン、フランス、モロッコなど。
  • 花の形が個性的なので、すぐ見分けがつきます。
    花穂の先端にヒラヒラしたリボンのような苞葉がついています。
  • 花の色は赤みを帯びた紫色。
    花穂は2~5cmで、苞葉は大きくて幅広。
  • 精油の採油量は、約0.6%。
    淡黄色~黄色の液体で、ミドルノート。
  • 妊娠中、授乳中は使用禁止。
  • 呼吸器の不調や皮膚再生サポート、心身を強くアクティブにしたりバランスを取ったりするために使われることがあります。
  • 古代では、この植物をパウダー状にしてハチミツ水に入れたものを、痛み止めとして飲んでいたという記録があります。

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