Lavandin
ラバンジン
学名 | Lavandula × intermedia Emeric ex Loisel. |
科名 | シソ科 |
別名 | ─ |
原産地 | 南フランス |
主産地 | フランス |
使用部位 | 花、茎葉 |
採油部位 | 花と茎葉 |
採油法 | 水蒸気蒸留 |
採油率 | 1.5~2.0% |
性状 | 無色~淡黄色 |
主な成分 | 酢酸リナリル、リナロール、カンファ―、1,8-シネオール、酢酸ラバンジュリル、β-オシメン、テルピネン-4-オール、ボルネオ―ル、α-テルピネオール、ラバンジュロール |
香り | 非常にフレッシュでシャープなアロマティックハーバル |
揮発性 | トップ~ミドル |
香り強度 | 中程度 |
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Fragrance 香料
香りの 性質 | 真正ラベンダーよりシャープで刺激がある。 トップ寄りのミドルノート。 |
主な 使用法 | フレッシュ感の強いパワフルなラベンダーノートが必要なとき。 オーデコロン、アロマティックブレンド。 |
使用量 | 他を圧倒するような強さはないが、拡散力があるので適量を使う。 |
注意 | ─ |
「ラバンジン」は、「真正ラベンダー」と「ラベンダー・スパイク」の交配種です。
- 真正ラベンダー/Lavandula angustifolia
酢酸リナリル、リナロールが主成分。
甘く繊細な香り。 - ラベンダー・スパイク/Lavandula latifolia
リナロール、1,8シネオール、カンファーが主成分。
ツンとした刺激のある香り。
この2つのラベンダーはかなり性質が違いますが、ラバンジンはこの両方の性質を併せ持っています。
ラベンダーはエステル(酢酸リナリルなど)の量が多いほど高品質とされているため、ラバンジンの質は真正ラベンダーよりは劣ります。
しかし栽培しやすく低価格で手に入るラバンジン精油は、「ラベンダーの香り」として広範囲の製品に利用されています。
ラバンジンにはいくつもの品種がありますが、香料用としてもっともよく栽培されているのは以下の3種。
- ラバンジン・グロッソ/grosso
精油の収率が最も高く、最も多く栽培されているラバンジン。 - ラバンジン・スーパー/super
酢酸リナリルの量が最も多く、真正ラベンダーに最も近いラバンジン。 - ラバンジン・アブリアル/abrial
1,8-シネオールの量が最も多いラバンジン。
香りの成り立ち
ラバンジンは、真正ラベンダーの主要成分を引き継いで含んでいます。
フレッシュフローラルな酢酸リナリルとリナロール、ラベンダーの特徴成分である酢酸ラバンジュリルとラバンジュロールなど。
ラバンジンはそれに加えて、1,8-シネオール、カンファー、ボルネオールなど、ラベンダー・スパイクの特徴であるスッとする成分も含んでいます。
- 1,8シネオール
フレッシュで染み渡るようなユーカリの香り。
涼しげで少し薬っぽいアロマティックハーバル。- ユーカリ、カユプテ、セージ、カルダモン、ローレルなどにも含まれています。
- カンファー
樟脳のツンとくる刺激、強いハーバル調。
この成分を5~10%ほど含んでいるのがラバンジンの特徴で、真正ラベンダーでは1%を超えることはありません。- ホーリーフ、セージ、ローズマリー、コリアンダー、タンジーなどにも含まれています。
- ボルネオール
カンファー様、若干甘くアーシー。- セージ、ローズマリー、イニュラ、タンジー、マージョラム・スパニッシュなどに含まれています。
香料としての歴史と活用法
ラバンジンがはじめて発見されたのは1920年代。
真正ラベンダーの香りの補強や安価な代用品として大量に使われるようになりました。
ラバンジンの香りには多少粗いところがありますが、強いフレッシュ感、シャープさもあるため、さまざまなコスメ、石けん、トイレタリー、ハウスホールド製品などに幅広く使用されています。
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Aromatherapy アロマテラピー
作用 | 鎮痙、鎮痛、鎮静、抗炎症、抗リウマチ、呼吸器系サポート、皮膚の再成長サポート |
適用 | 不安、イライラ、落ち込み、筋肉ケア、やけど、傷あと、虫よけ、菌対策 |
注意 | 皮膚感作の可能性あり |
ラバンジン精油は、「真正ラベンダー」と「ラベンダー・スパイク」の両方の作用を受け継いでいます。
- 真正ラベンダー
鎮静、眠りサポート、リラックスに最適。 - ラベンダー・スパイク
呼吸器系サポート、筋肉ケア、リフレッシュに最適。
そのためラバンジンの作用は幅広く、しかも安価なので、アロマテラピーでも広範囲に使うことができます。
ただしラベンダーの代名詞である「リラックス」「眠り」などの目的にはあまり向いていないので、購入するときは注意しましょう。
ラベンダーの代用としてラバンジンを使いたいときは「ラバンジン・スーパー」を選ぶとよいです。
これは香りも成分も作用も、もっとも真正ラベンダーに近いラバンジンです。
精神のために役立てる
- 怒りやショック、不安、恐怖、パニックなど、激しく高ぶった精神を落ち着けてくれます。
- ストレスが続いて不安定になった心を、爽やかにリフレッシュさせます。
落ち込んで傷つきやすくなっているときにも◎。
身体のために役立てる
- とくに呼吸器系のトラブルに役立ちます。
蒸気吸入やディフューザーを利用するとよいです。- のどケアには、ティートリー、ユーカリ、カモミール・ローマンなどをブレンドします。
- 呼吸を楽にしつつ眠りにも良い香りがよければ、フランキンセンスをブレンド。
- スポーツ後の筋肉ケアには、マージョラム・スイートとのブレンドが最適です。
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Herb therapy ハーブセラピー
ラバンジンは虫よけサシェ・ポプリなどによく利用されていますが、ハーブティーなどには一般的に真正ラベンダーが使われます。
ラベンダーのハーブとしての利用、ティーの淹れ方、歴史については、ラベンダーのページにまとめています。
Cooking 料理
プロヴァンスのラベンダーハチミツは、ラバンジンからも採取されます。
ラバンジンは「石けんの香り」としてのイメージが強いこともあり、料理用としては、より繊細な真正ラベンダーのほうが好んで使われます。
Gardening 園芸
種類 | 常緑低木 |
背丈 | 1m前後 |
環境 | 日当たりが良く乾燥した場所と、水はけのよい土壌。 |
STORY
南フランスでは、標高600m以上には「真正ラベンダー/Lavandula angustifolia」、600m以下には「ラベンダー・スパイク/L. latifolia」が育っていました。
そしてその境界線のエリアでは、ミツバチによって2つのラベンダーが交配され、「ラバンジン/L. × intermedia」が誕生しました。
この新たな「ラバンジン」が発見されたのは、1920年代のこと。
ラベンダーよりもひときわ大きく丈夫なラバンジンは商業的価値が認められ、野生していた株からもっとも健康的なものを選んで大規模栽培がはじまりました。
低地でも育つラバンジンは管理がしやすく、適応力もあり、精油の収量も格段に良かったので、ラベンダー農家の多くはラバンジン栽培に転向していきました。
そして増産し続けた結果、1950年代には土地が疲弊しはじめ、徐々に衰退の兆しを見せはじめます。
そんなある日、グロッソさんという人が、疲弊した畑の中で1箇所だけラバンジンが生き生きと育っている場所を見つけました。
さっそくその株を移植して栽培してみたところ、とても丈夫で精油の収率も抜群に良いラバンジンが育ち、たちまち評判になりました。
これが「ラバンジン・グロッソ」と呼ばれる品種で、現在ではもっとも多く栽培されているラバンジンとなっています。
姿かたち
- 真正ラベンダーよりも大柄で、花穂も大きいです。
- クローン種なので、背丈も色も香りもすべて均一です。
南仏の広大な土地に整然と並ぶラバンジンは圧巻!
栽培と収穫
- 真正ラベンダーより強くて成長も早く、採油量も3~5倍。
- 挿し木で増やします。
- ラバンジンにはいろいろな品種があります。
- 現在もっとも多く栽培されているのは「ラバンジン・グロッソ/grosso」。
- そのほか「スーパー/super」「アブリアル/abrial」「オルディネール/ordinaire」「シュミアン/sumian」などがあります。
名前の由来・伝説
- 学名の「intermedia」は、「(形や習性などが)中間の」という意味。
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