Kaffir lime

カフィアライム

植物DATA
学名Citrus hystrix DC.
科名ミカン科
別名コンバーバ、マクルット、スワンギ、コブミカン
原産地東南アジア
主産地東南アジア
使用部位葉、果皮、果汁
精油DATA
採油部位 / leaf
果皮 / peel
採油法水蒸気蒸留
主な成分シトロネラール、シトロネロール、リナロール、酢酸シトロネリル、サビネン、酢酸リナリル、テルピネン-4-オール、イソプレゴール / leaf

β-ピネン、サビネン、シトロネラール、d-リモネン、シトロネロール、リナロール、酢酸シトロネリル、テルピネン-4-オール、酢酸ゲラニル / peel
香りレモン様のフレッシュな香り、フローラル、ユーカリのようなニュアンスもある / leaf

フレッシュなハーバルシトラス、ドライ、ウッディニュアンス / peel
揮発性トップノート

カフィアライムは、東南アジアでポピュラーな柑橘フルーツです。

熱帯のスパイシーな料理にスッキリ爽やかな風味をつけるために多用されます。

ほかの柑橘のように果皮も利用されますが、葉にも鮮烈な香りがあり、料理だけではなく香料としても使われています。

香料 | アロマテラピー | ハーブ | 料理 | 園芸

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Fragrance 香料

カフィアライムの精油は、主に東南アジアで生産されています。

リーフ(葉)精油ピール(果皮)精油のどちらも、水蒸気蒸留で抽出されます。

しかし生産量は少なく、とくにピール精油はあまり流通していません。

香りの成り立ち

カフィアライムリーフは「シトロネラール」が主成分で、精油全体の60~80%ほどを占めています。

  • シトロネラール
    レモン様の強い香りで、フレッシュなグリーン感やローズのニュアンスも持っています。
    • シトロネラメリッサにも含まれています。

そのほかフローラル、ハーバル、アロマティックなどのフレッシュな香りが、全体の香りに幅や奥行きを与えています。

  • シトロネロール
    フレッシュなハーバルフローラル。明るくソフトなローズのニュアンスがあります。
    • ゼラニウムセイボリー・ウィンターなどに含まれています。
  • 酢酸シトロネリル
    フレッシュなフルーティフローラル、ややシトラス。ラベンダー、ローズ様。
    • シトロネラローズオットーなどに含まれています。
  • リナロール
    軽やかなフレッシュフローラル、スパイシー、ウッディ。ラベンダー、ライラック様。
    • ローズウッドコリアンダーマグノリアネロリラベンダーなどにも含まれています。
  • 酢酸リナリル
    甘さと酸味のあるフルーティフローラル、アロマティック。ラベンダー、ベルガモット様。
    • クラリセージプチグレンラベンダーベルガモットマージョラム・スイートなどにも含まれています。
  • テルピネン-4-オール
    爽やかなグリーンフローラル、ウッディ、スパイシー。ライラック、ライム様。
    • ティートリーマージョラム・スイートジュニパーフランキンセンスナツメグなどにも含まれています。
  • イソプレゴール
    カンファー系のフレッシュハーバルな香り。
    • シトロネラコーンミントなどにも含まれています。

カフィアライムピールの精油は、β-ピネン、サビネン、d-リモネンなどのテルペン類が主成分です。

ただしほかの柑橘果皮に比べてd-リモネンの量はかなり少なく、甘いジューシー感よりもドライなウッディ感の強いシトラスノートになっています。

  • β-ピネン
    針葉樹や干し草のようなニュアンスがある、ドライウッディ、グリーン、シトラス。
    • ガルバナムパインブラックカラントバッドライムナツメグなどに含まれています。
  • サビネン
    パイン様のウッディ、ピリッとするスパイシー、シトラス。
    • ナツメグジュニパーブラックペッパーベルガモットなどに含まれています。
  • d-リモネン
    フレッシュでみずみずしいシトラスの香り。
    • オレンジグレープフルーツレモンマンダリンライム、柑橘系以外ではセロリシードエレミファーキャラウェイリトセアなどに含まれています。

ピール精油にも、リーフ精油と同じようなフローラル、ハーバル系の成分が含まれています。
(シトロネラール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、リナロール、テルピネン-4-オール、酢酸ゲラニルなど)

なかでも重要なのはシトロネラールで、リーフ精油に比べると量は少ないですが、ほかの成分よりも香りが強いため影響力は大きくなります。

カフィアライムの葉と果実

使用されている香水

  • Clinique Happy for men/クリニーク ハッピー フォーメン(Clinique、1999)
    カフィアライムとマンダリンのフレッシュなシトラスノートに、爽やかなマリンノート、グリーンノート、ウッディノートがブレンドされたメンズフレグランス。
    明るく軽快で幸せな気分にさせてくれる香り。
  • Macomba/マコンバ(Hermetica、2022)
    トップノートのカフィアライム+マテのグリーンノートの組み合わせが香りの柱になっています。
    アンジェリカ、ネロリ、ベチバーもブレンドされて、朝に似合う元気が出る香りになっています。

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Aromatherapy アロマテラピー

カフィアライム精油は、アロマテラピーでは気分を高揚させたりリフレッシュさせたりする作用が期待できます。

そのほか、(カフィアライム・ピールはとくに)虫よけや消臭作用もすぐれています。

Herb therapy ハーブセラピー

ハーブとしての歴史と伝承

カフィアライムは、タイ、インドネシア、マレーシア、カンボジアなど、東南アジアで伝統的にハーブとして利用されてきました。

葉はハーブティーにして、不安やストレスを緩和したり、身体の巡りを良くしたりするために飲みます。

スパのトリートメントなどでハーブ湿布の材料として使われることもよくあります。

果汁は、髪に艶を出してしなやかにしたりシラミを退治するために、シャンプーやリンスに使用されます。

そのほか軟膏やトニックに混ぜたり、胃や喉の不調、鼻づまり、歯と歯茎の健康維持、虫よけなどに利用されています。

また、悪霊を追い払うといわれたり、宗教儀式に使われることもあります。

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Cooking 料理

風味レモン様、フローラル感、青っぽさのある、少し山椒様の風味 / leaf
柑橘のピリッとした苦み、渋み、酸味 / peel
主な特徴料理にフレッシュで爽やかな風味を与える
作り置きビネガー、オイル、バター、ハニー、シロップ、アルコール

カフィアライムは、東南アジアの料理に幅広く使用されています。

スパイスをたっぷり使った熱帯の料理に、フレッシュで爽やかな風味を与えるために欠かせません。

主にカフィアライムリーフ(葉)が利用されますが、ピール(果皮)も果汁も使われます。

カフィアライムの葉

使い方のコツ

  • カフィアライムリーフは厚みがあって硬いため、そのまま食べることはできません。
    • 煮込み料理やスープに加えて香りを抽出し、最後に取り出します
    • ソースやドレッシングの香りづけにも最適。
      オイル、バター、クリームに加えて香りを移します。
    • すりつぶしてペースト状にしたり、こまかく刻んで素材に混ぜたりすることもあります。
  • カフィアライムリーフは長時間加熱する料理に使えますが、抽出する時間が長ければ長いほど味も香りも濃くなります。
  • カフィアライムリーフの風味はインパクトが強く、持続力もあります。
    しつこく感じさせないためには、酸味のある素材を合わせて使うとバランスがとれます
  • カフィアライムリーフはフレッシュで使うのが1番ですが、ドライや冷凍したものもあります。
    ドライリーフは、使う前に水につけておくと良いです。
  • カフィアライムピールは、削ったり擦り下ろしたりして使います。
  • 果汁は、シーフードにかけたり、カクテルに加えたりします。
  • 果実を輪切りにすると凸凹の輪郭が見た目にも楽しく、料理やドリンクに添えたり飾りとして使うことができます。
  • 果実をまるごと砂糖漬けにすることもあります。

相性のよい食材

  • エビシーフード
    スパイスをたっぷり使ったフィッシュスープからこってりしたオマールエビのソースまで、シーフードの風味づけにカフィアライムリーフは大活躍します。
  • レモンライム
    カフィアライムリーフの濃厚な香りに加えると、サッパリとしてバランスの良い柑橘風味になります。
  • ココナッツミルク
    クリーミーなエスニック料理の風味づけに、ほかのスパイスと合わせて使用されます。
    ココナッツアイスクリームなど、デザートの風味づけにも。
  • レモングラスガランガル
    東南アジア料理では定番の組み合わせ。
    いっしょに使うことで、カフィアライムの風味がより一層引き立ちます。
  • チリガーリックジンジャーコリアンダー
    あらゆるスパイスと相性が良いですが、とくにブレンドされることが多いのはこの4種。

世界の料理

カフィアライムは、タイ、ラオス、インドネシア、マレーシア、ベトナム、カンボジアなど、東南アジアの料理にひんぱんに使用されています
とくにタイ料理では欠かせない素材です。

  • タイカレー/Thai curry
    タイのカレー。「イエローカレー」「グリーンカレー」「レッドカレー」に分けられます。
    カフィアライムピールをすりつぶしてカレーペーストに混ぜたり、具材を煮込むときにカフィアライムリーフを加えたりします。
  • トムヤムクン/Tom yum goong
    タイの代表的なエビ入りスープ。
    カフィアライムリーフ、レモングラス、唐辛子、ライムなどで風味づけされます。
  • カオクア/Khao Khua
    ラオスとタイで使用されるミックススパイス。
    カフィアライムリーフ、レモングラス、ガランガルといっしょに米を煎って風味をつけ、粗い粉末にしたもの(スパイスは取り除く)。
    • ラープ/Larp
      ラオスのサラダ。
      カオクア、ひき肉、野菜、ミントなどのハーブを使います。
    • ナムトック・ヌア/Nam Tok Nuea
      タイのビーフサラダ。ラープのバリエーションの1つです。
      カオクア、牛肉、野菜、ミントなどのハーブを使います。
  • クルーン/Kroeung
    カンボジアのスパイスペースト。
    カフィアライムリーフ、レモングラス、ガランガル、ターメリック、ジンジャーなどをすりつぶしてミックスしたもの。

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Gardening 園芸

種類常緑低木
背丈高さ2~6m
環境日当たりがよく水はけのよい土壌と温暖な気候

姿かたち

  • 表面がデコボコした、4cmくらいの小さな丸い果実。
  • 果実の色は緑色で、完熟すると黄色になります。
  • 香りのよい白い花を咲かせます。
  • ツルツルした丸い葉は、雪だるまや8の字のように縦に2枚連なってつきます
    爽やかな香り。
  • 枝にはトゲがあります。

購入と保存

  • フレッシュリーフは、収穫したら密閉容器に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。
    香りが保てるのは4~5日くらい。

名前の由来・伝説

  • 果実の表面にゴツゴツしたコブがたくさんあることから、日本では「コブミカン」とも呼ばれます。
  • 「カフィアライム」という名前はこの植物を指すもっとも一般的な名前ですが、「Kaffir/カフィア」というのはアラビア語で「異国の」「異教徒」などの意味があるため、この名前の使用を避ける場合があります。

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