Bergamot
ベルガモット
学名 | Citrus bergamia Risso |
科名 | ミカン科 |
別名 | ─ |
原産地 | 不明 |
主産地 | イタリア、コートジボワール |
使用部位 | 果皮 |
採油部位 | 果皮 |
採油法 | 低温圧搾 |
採油率 | 0.5% |
性状 | 緑~緑褐色 |
主な成分 | 酢酸リナリル、リナロール、d-リモネン、γ-テルピネン、β-ピネン、サビネン、酢酸ネリル、ゲラニアール、ネラール、デカナール |
香り | フレッシュでビタースイートなシトラスノート グリーン、フローラル、スパイシーなどのニュアンスがある |
揮発性 | トップノート |
香り強度 | 弱め |
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Fragrance 香料
香りの 性質 | 多くのニュアンスを持つデリケートなフレッシュシトラス。 柑橘精油の中では比較的持続力がある。 |
主な 使用法 | さまざまな香調のフレッシュなトップノート。 香りをまとめる、香りのコントラストをつける。 |
使用量 | 比較的多量に使用することも多い。(圧搾精油は使用制限あり) |
注意 | 光毒性あり。使用限度量は、香水全体の0.4%まで。 / Bergamot oil expressed 酸化、変質しやすい。 |
世界中のベルガモット精油のうち、約90%はイタリアのカラブリア産です。
残り10%は、カラブリア産より香りの質が低くなります。
ベルガモットは、収穫シーズンはじめと終わりでは香りがかなり異なります。
それぞれから採った精油には、以下の特徴があります。
- 収穫シーズン初期のベルガモット(未完熟)
果皮は緑色、精油の色は濃いグリーン。
ピリッとした鮮やかなグリーンシトラスノート。
もっとも高価で高品質なベルガモット精油。主に香水に使われます。 - 収穫シーズン終盤のベルガモット(完熟)
果皮は黄色、精油の色はイエローゴールド。
果実の熟度が増すにつれ、フルーティフローラルな香気が増えていきます。
主にフレーバーに使用されます。
一般的なベルガモット精油は、複数の時期に収穫したものをミックスして品質を一定に保っています。
FCF(フロクマリンフリー)精油
ベルガモットの圧搾精油には、光毒性のあるフロクマリン類が含まれています。
そのため、香水や化粧品など肌に使用する製品には、フロクマリン類を除去した「FCF(フロクマリンフリー)」精油が広く使用されています。
(「精製オイル」「Rectified/レクティファイ」などと呼ばれることもあります)
ベルガモットFCFの成分構成は、フロクマリン類を除去してあるほかは圧搾精油とおおまかには変わりませんが、香りの質は落ちます。
柑橘類の圧搾精油にはフロクマリン類が含まれていることが多く(オレンジ・ビター、グレープフルーツ、レモン、ライムなど)、これらの精油を肌に使用するときも注意が必要です。
香りの成り立ち
ベルガモット精油は350種以上の成分で成り立っていますが、その構成はほかの柑橘類と大きく異なります。
柑橘の多くはリモネンが主成分なのに対し、ベルガモットは酢酸リナリル&リナロールが主成分です。
酢酸リナリルとリナロールはどちらもラベンダー様のフレッシュフローラルノートで、この2つをあわせた量は一般的に50%以上になります。
- 酢酸リナリル
フレッシュで甘さと酸味のあるフルーティフローラル。ラベンダー、ベルガモット様。アロマティックなニュアンスがあります。
フローラル、シプレ、コロン調の軽快なトップノートとして使用されます。- クラリセージ、プチグレン、ラベンダー、マージョラム・スイート、ネロリなどにも含まれています。
- リナロール
軽やかなフレッシュフローラルの香り。ラベンダー、ライラック様。シトラス、スパイシーなニュアンスもあります。- コリアンダー、マグノリア、ネロリ、ラベンダー、プチグレンなどにも含まれています。
ベルガモットに含まれるテルペン類は、d-リモネン(30~40%くらい)、サビネン、γ-テルピネン、β-ピネンなど。
これらはフレッシュで爽やかな印象をもたらしますが、全体の香りに大きく影響するような強さはありません。
- d-リモネン
フレッシュでみずみずしいシトラスの香り。
柑橘やフルーツ系の香料にジューシーで爽やかな印象を与えるためにも使用されます。- オレンジ、グレープフルーツ、レモン、マンダリン、ユズ、ライム、柑橘系以外ではセロリシード、エレミ、ファー、キャラウェイ、ブラックペッパーなどに含まれています。
- サビネン
パイン様のウッディ、ピリッとするスパイシー、シトラス。- ナツメグ、ジュニパー、カフィアライム、ブラックペッパーなどに含まれています。
- γ-テルピネン
爽やかなハーバル、シトラス。- セイボリー、アジョワン、ティートリー、マンダリン、ライムなどに含まれています。
以上の成分に加え、個性的な「微量成分」が、ベルガモットの香りに複雑さと華やかさを与えています。
- 酢酸ネリル
ラズベリーやハニーノートが感じられる甘いフローラル。ローズ、オレンジフラワー様。
フローラル系香料のほか、ベリー類などのフルーツフレーバーにも使用されます。- ヘリクリサム、フェネグリーク、メリッサ、オレンジフラワーアブソリュート、プチグレンなどにも含まれています。
- ゲラニアール、ネラール
どちらもレモン様のシトラスノートで、柑橘果皮のフレッシュな印象をイメージさせる香り。
ベルガモットの華やかな香り立ちは、主にこの成分が要因となっています。- どちらもレモンマートル、レモングラス、リトセア、メリッサ、レモン、ライムなどに含まれている成分です。
- デカナール(アルデヒドC10)
ファッティなオレンジ様。希釈すると柑橘果皮のフレッシュグリーンな香りになります。
フローラル系香料やシトラスコロンなどに使用されます。
相性のよい香り
- ベルガモットの主成分はラベンダーと共通しているため、香りも相通じるものがあります。
この2つはどんな割合でブレンドしても良く、この組み合わせはあらゆる香調にアレンジできます。 - ほかの柑橘とは何を合わせてもOKですが、とくに華やかさが増すのはレモンとのブレンド。
- イランイランと同量ずつブレンドしたものは、フローラル精油の拡散性を高めます。
- 甘さ控えめのドライな感じにしたいときは、パインかサイプレスを同量ブレンドすると◎。
- オーデコロン調には、以下の香りをブレンドします。
(割合は、ベルガモットを1番多くします)- レモン、オレンジなどの柑橘類。
- ネロリ、プチグレン、メリッサなどのシトラスフローラル、シトラスハーバル。
- ラベンダー、ローズマリー、タイムなどのアロマティックノート。
- シプレ調の香りは、ローズかゼラニウム、オークモスをブレンドします。
- ベルガモットとガルバナムの組み合わせは、グリーンフローラル調香水のトップノートに使われます。
ブレンドテクニック
- ベルガモットの香りには、明るくキラキラした感じの華やかさがあります。
香水のトップノートとして、もっとも重要でもっともよく活用される香りです。 - どんなブレンドに混ぜても全体の香りをまとめ、拡散力を上げてくれます。
- フレッシュな拡散性、シトラスの爽やかさ、やわらかいフローラルノート、グリーン感、甘さとスパイシーなど、さまざまな要素が混ざり合っているため、香りに幅と奥行きを与えます。
- 柑橘精油のなかでは比較的持続力もあるため、シトラスブレンドに加えて揮発スピードを調節する役割もあります。
- オーデコロンにベルガモットは必須で、主成分として処方が組まれます。
- シプレ、フゼア、オリエンタルなどすべてのタイプに使用されます。
- シプレタイプには必須です。
ベルガモットのほか、ローズ、オークモス、パチュリ、アンバーノートなどを組み合わせて作ります。 - オリエンタルタイプにベルガモットを使用することで、アンバー、バニラ、バルサムなどの重さ、暗さとの鮮やかなコントラストを作り出します。
- シプレタイプには必須です。
使用されている香水
古典的なオーデコロンには、ベルガモットが必須です。
- Farina 1709 Eau de Cologne/ファリーナ 1709 オーデコロン(Farina、1709)
ベルガモットをベースに、レモン、プチグレン、ネロリなどをブレンドした歴史的なコロン。
地中海の雰囲気や、太陽の明るい陽光を思わせる軽快な香り。これを作ったジャン=マリー・ファリーナは、この香水のことを「イタリアの春の朝の香り」と表現しています。 - 4711 Eau de Cologne/フォーセブンイレブン オーデコロン(4711、1792)
ベルガモット、レモン、オレンジのシトラスアコードと、ラベンダー、ネロリの組み合わせ。
清々しく清潔感のある香りはリフレッシュしたい時にぴったり。現在でも世界中に多くの愛用者がいます。 - Jean Marie Farina Extra Vieille/ジャン マリー ファリーナ エクストラ ヴィエイユ(Roger & Gallet、1806)
ベルガモットなどのシトラスノートに、プチグレンやローズマリーなどのアロマティックノートがブレンドされています。
オーデコロンの定番と言える、クラシックで爽やかな香り。
シプレタイプの香水にも、ベルガモットは欠かせません。
- Chypre/シプレ(Coty、1917)
「シプレ」という香調の原型になった香水。
ベルガモット、ジャスミン、ローズ、オークモス、パチュリ、アンバーの組み合わせで、この香調から派生した多くの「シプレフレグランス」が生まれました。 - Mitsouko/ミツコ(Guerlain、1919)
ベルガモット&オークモスの苦みのあるシプレアコードに、フルーティー、フローラル、スパイシー、アンバーの要素が組み合わされています。
長い時を経ても色褪せることのない、絶妙なバランスの香り。 - Miss Dior/ミス ディオール(Dior、1947)
ベルガモット、オークモス、アンバーという基本のシプレアコードに、ガルバナムのグリーンノートを効かせたフレグランス。
シプレノートをよりエレガントに洗練させた香水として人気になりました。 - Eau Sauvage/オー ソバージュ(Dior、1966)
ベルガモットやオークモスを始めとしたシプレアコードに、バジルやローズマリーなどアロマティックな香りをミックスしたメンズフレグランス。
カラブリアンベルガモット&地中海ハーブの組み合わせがフレッシュで心地よい香水です。
その他フゼア、オリエンタル、フローラルなどあらゆるタイプの香水で、ベルガモットが重要なはたらきをしています。
- Fougere Royale/フゼア ロワイヤル(Houbigant、1882)
「フゼア」という香調の原型になったメンズフレグランス。
ベルガモット、ラベンダー、ゼラニウム、オークモス、クマリンという組み合わせが基調になっています。 - Shalimar/シャリマー(Guerlain、1925)
この香水のレシピは、全体の30%以上がベルガモットといわれています。その他の香料の溶剤のようなかたちで多量のベルガモットが使われており、まさにベルガモットなしには成立しない香りです。
官能的なバニラ、トンカビーン、オリスなどの深みのある香りと爽やかなベルガモットのコントラストが美しい、代表的なオリエンタルフレグランス。 - Eau Parfumee au The Vert/オ パフメ オーテヴェール(Bvlgari、1992)
ベルガモット、グリーンティー、ホワイトフローラルのハーモニー。
お茶の香りをフレッシュに印象づけるベルガモット、ジャスミン、カルダモンが、すっきりとした涼しげな香りを作っています。 - Eden/エデン(Cacharel、1994)
ウォーターリリー、ミモザ、チュベローズ、ジャスミン、ローズなどの豊かなフローラルを、トップノートのベルガモットが華やかに引き立てています。
冷たさ、温かさ、ミステリアスなどが混ざり合った、ユニークなフローラルフレグランス。 - Acqua di Gio Pour Homme/アクア ディ ジオ プールオム(Giorgio Armani、1996)
ベルガモットの明るいシトラスノートに、潮風や海水を思わせるマリンノートを合わせた爽快なメンズフレグランス。
温かいウッディ、ムスク、アンバーのラストノートも心地よいです。
その他ベルガモットを含む香水
「Eau Imperiale/オー インペリアル(Guerlain、1853)」
「Bergamote/ベルガモット(The Different Company、2003)」
「Bergamote 22/ベルガモット 22(Le Labo、2006)」
「Blu Mediterraneo Bergamotto di Calabria/ブルーメディテラネオ ベルガモット ディ カラブリア(Acqua di Parma、2010)」
「Oud & Bergamot/ウード&ベルガモット(Jo Malone London、2010)」
「Aqua Allegoria Bergamote Calabria/アクア アレゴリア ベルガモット カラブリア(Guerlain、2017)」
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香料としての歴史と活用法
ベルガモット精油ははじめのうち、果皮を海綿に押しつけたり擦りつけたりして手作業で採取されていました。
(海綿が吸い取った液体を搾り出してほうっておくと、精油がかってに分離する)
時代とともに抽出技術は発達し、効率的で手のかからない抽出マシーンも発明されました。
ベルガモットの果実をまるごとこの機械に入れれば、果皮を削り、エッセンスを絞り、精油を分離するところまで一連の作業をやってくれます。
ベルガモット精油がはじめて香料として使用されたのは、16~17世紀。
18~19世紀には、オーデコロンの主成分として一気に需要は高まりました。
また、革手袋に匂いをつけるための材料としても使われました。
19世紀以降は、紅茶のアールグレイに風味をつける香料として、ベルガモット精油が使われ続けています。
南仏グラースの蒸留所によるオーデコロンのポスター
Aromatherapy アロマテラピー
作用 | 鎮静、高揚、緩和、鎮痙、鎮痛、抗炎症、消化器系機能調整、神経バランス調整 |
適用 | ストレス、心身の疲労、情緒不安定、眠れない、食欲がない、脂性肌のスキンケア、デオドラント、空気清浄、菌対策、虫よけ |
注意 | 圧搾精油は光毒性あり |
ベルガモット精油は、光毒性のあるフロクマリン類を含んでいます。
そのためアロマテラピーでは、フロクマリン類を除去した「ベルガモットFCF(フロクマリンフリー)」精油を使用します。
香りを拡散させるだけならどちらでもかまいませんが、肌に使用するならFCF精油を選びましょう。
精神のために役立てる
- ベルガモットは、沈んだ心を引き上げる力がもっともすぐれている精油の1つです。
- 落ち込んだ気持ちを明るく高揚させるには、クラリセージとジャスミンをブレンド。
- 不安や緊張を鎮めるためには、ゼラニウムとパチュリをブレンド。
- 溜めこんだ怒りや欲求不満を解放するには、グレープフルーツとネロリをブレンド。
- 力強く生きていくための精神力をサポートします。
- 調和のとれたバランスの良い視点をもたらすには、ラベンダー、サンダルウッドをブレンド。
- 自由で楽観的な気分をもたらすには、マンダリンとローズをブレンド。
- 依存しない意志の力や自信を強めるには、イランイランとヘリクリサムをブレンド。
- エネルギーチャージ、モチベーションアップには、レモンとバジルをブレンド。
沈んだ心を引き上げる力はNo.1!
どうにもこうにも心が晴れない…というときに、アロマテラピーで真っ先に選ばれるのがベルガモットです。
とくに、ほうっておけば勝手に回復するような一時的な落ち込みではなく、いろいろなことに耐えたり我慢したり頑張ったりした結果、積もり積もったストレスが心を重くしているようなときに役立ちます。
ベルガモットの香りは、心の奥にしまい込んだ怒りや悲しみをやさしく包み込み、なぐさめて癒し、いままで気付かなかった新しい視点や考え方に目が行くようにサポートしてくれます。
身体のために役立てる
- ベルガモットは消化器系の不調に役立ちますが、それがストレスや緊張からくるものであればなおさらです。
- 胃がキリキリして辛いときは、ラベンダーとクラリセージをブレンド。
- 胃腸がスッキリしないときは、ペパーミントとマージョラム・スイートをブレンド。
- なんとなくお腹が重い、食欲が出ないときは、カモミール、コリアンダー、フェンネルのどれかをブレンド。
- 呼吸器系、泌尿器系のトラブルにもよく使用されます。
- PMSをやわらげるためにも使えます。
- とくに情緒不安定なときに、クラリセージ、ローズオットーをブレンドすると良いです。
美容のために役立てる
- 脂性肌のスキンケアに適しています。
- 肌のクレンジングには、ティートリーとラベンダーをブレンドしてフェイシャルスチーム。
- 化粧水には、イランイランをブレンド。
- 炎症や傷あとが気になるときには、カモミールも足します。
- ベタつきがちな髪のケアにも最適です。
シャンプーに混ぜるか、ヘアスプレーを作って頭皮マッサージをします。- イランイランとローズマリーをブレンドすると◎。
- フケ対策には、カモミールとゼラニウム。
- 足のデオドラントにも。
- サイプレスかシトロネラをブレンドして、足浴、フットスプレー、フットマッサージに使います。
その他の使い方
- 部屋の消臭、掃除などにも使えます。
- 部屋の空気を爽やかにするには、ユーカリ、パルマローザをブレンド。
ディフューザーで焚くか、ルームスプレーを作ります。 - 部屋やカーペットの消臭、汚れ落としには、ユーカリ、グレープフルーツをブレンド。
重曹に混ぜてクレンザーを作ると良いです。
- 部屋の空気を爽やかにするには、ユーカリ、パルマローザをブレンド。
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Herb therapy ハーブセラピー
ベルガモットピール(果皮)は、主に風味付けを目的としてハーブティーに加えられることがあります。
外用する場合は、光毒性があるため注意が必要です。
ハーブとしての歴史と伝承
ベルガモット精油は、18世紀頃から主にイタリアで日常的に使用されるようになりました。
とくに大切にされたのはその消毒作用です。
ベルガモットの精油抽出がまだ手作業で行われていた頃、その皮を剥くために鋭いナイフを使っていたため、作業には切り傷がつきものでした。
しかしその傷は決して悪化せず治るのがとても早かったので、そこから精油の消毒作用が評判になったといわれています。
現在でも、ベルガモット精油は傷や炎症のためのクリームに入っていたり、さまざまな病院で使用されていたりと、世界中で幅広く活用されています。
Cooking 料理
風味 | 「香水のような」シトラスフルーティ |
主な特徴 | デザートやドリンクに、エレガントで華やかな風味をつける |
作り置き | ハニー、シロップ、アルコール |
ベルガモットの果実はとても酸っぱくて苦いので、生で食べたりジュースにされることはありません。
そのかわり果皮に独特の芳香があり、お茶やお菓子、シロップ、アルコールの風味づけに使用されています。
とくに有名なのが「アールグレイ/Earl Grey」。
これは紅茶にベルガモット精油または果皮で香りをつけたもので、19世紀以来ずっと不動の人気を誇っているフレーバーティーです。
そのほかベルガモットを塩漬けや砂糖漬けにして、料理やお菓子作りに使うこともあります。
世界の料理
- ベルガモット・ド・ナンシー/Bergamote de Nancy
フランスのナンシー名物、ベルガモットキャンディー。
18世紀に考案された歴史あるお菓子で、透き通った黄金色(ベルガモットエッセンスの色)もきれいな、香り高いキャンディーです。
アイディア
dessert
- デザートに使うクリームにベルガモットの香りをつけるために、材料のミルクに果皮を入れて煮る。
- 砂糖、水、ベルガモットの果皮と果汁を鍋に入れて、シロップを作る。
- 砂糖を煮詰めてカラメルを作り、そこにベルガモットの輪切りを入れてカラメルをつける。
これをお菓子やデザートのトッピングに使う。
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Gardening 園芸
種類 | 常緑小高木 |
背丈 | 高さ2~5m |
環境 | 耐寒性がなく、暖かい気候と日当たりが必要 |
STORY
ベルガモットは、オレンジ・ビター(Citrus aurantium)とレモン(C. limon)の交配種です。
ベルガモットの起源はよくわかっていませんが、17世紀にイタリア南部のカラブリア地方でその姿を現しました。
一説によると、15世紀にコロンブスがカナリア諸島からヨーロッパへ持ち帰ったといわれていますが、カラブリア地方で自然交配して誕生したともいわれています。
ベルガモットの果皮からとれる精油は、もっとも価値のある香料の1つです。
果実は苦くて食べられないため、果皮だけのために今もカラブリアで栽培されています。
精油が高値で売れるということでいろいろな場所でベルガモット栽培が試されましたが、丈夫に育って立派な実をつけるのは、カラブリア地方の海岸線に沿った細長い土地だけでした。
(ほかの土地ではすぐ病気になったり元気がなくなったり、寒さや風に耐えられず枯れてしまったりしました)
姿かたち
- 果実は直径10cmくらいで、はじめ緑色ですが、熟すにつれて明るい黄色に変化します。
- 果皮はなめらかで厚みがあり、少し押しただけでにじみ出るくらいたっぷりと精油が含まれています。
- 星型の白い花には芳香がありますが、この花を香料として使用することはあまりありません。
- 光沢のある深緑色の葉をつけます。
- ベルガモットの葉と小枝を水蒸気蒸留した精油のことを、「プチグレン・ベルガモット」といいます。
栽培と収穫
- 柑橘類の中でももっともデリケートで、実がなる確率はかなり低いです。
- 丈夫なオレンジ・ビターの木に接ぎ木をして栽培されることが多いです。
- ベルガモット栽培には、年間平均気温が10℃以下にならない暖かい地域が適しています。
- イタリアのカラブリア地方、地中海沿岸地域、西アフリカのコートジボワールでは開花します。
- 4月頃に花が咲きます。
- 果実の収穫期は、11~3月。
収穫期はじめのベルガモットはまだ緑色の未熟果ですが、1月あたりから黄色く熟しはじめます。- 緑色のベルガモットからはもっとも高品質な精油がとれるため、香水業界で利用されます。
- 黄色のベルガモットからとれる精油は酸味がまろやかになるため、フレーバーの原料として利用されます。
- 精油を抽出したあとの果実は、果汁を搾ってほかの果物の果汁に混ぜたり、乾かして家畜のエサにしたりします。
名前の由来・伝説
- 「Bergamot/ベルガモット」という名前の由来はよくわかっていませんが、一応2つの説があります。
- はじめてベルガモットの栽培を試みたスペインの町「Berga/ベルガ」、またはイタリアの都市「Bergamo/ベルガモ」に関係があるという説。
- 洋梨のかたちに似ていることから、「Beg armudi(梨の王という意味)」というトルコ語が語源になっているという説。
近縁種・間違いやすい品種
まったく別種の植物に、「ベルガモット」の名前が使われることがあります。
- モナルダ/ Monarda didyma
「ベルガモット」という名前で呼ばれることのある、シソ科の植物。
ベルガモットと同じような香りを持つためこのように呼ばれますが、植物としての関連はまったくありません。 - ベルガモットミント/ Mentha aquatica var. citrata
ベルガモットの香りがある、ミントの1種。 - カフィアライム/ Citrus hystrix
「タイ・ベルガモット」と呼ばれることがあります。
同じミカン属の柑橘果樹ですが、香りも見た目もまったく異なります。
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