Liatris

リアトリス

植物DATA
学名Carphephorus odoratissimus (J.F.Gmel.) H.J.-C.Hebert
・syn. Trilisa odoratissima (J.F.Gmel.) Cass.
・syn. Liatris odoratissima (J.F.Gmel.) Willd.
科名キク科
別名ディアトング、バニラリーフ、ニオイキリンギク
原産地北アメリカ
主産地北アメリカの南東部
使用部位
精油DATA
採油部位乾燥葉
採油法溶剤抽出 / Liatris abs.
性状暗緑色、ペースト状
主な成分クマリン、ジヒドロクマリン、安息香酸ベンジル
香り甘いクマリンの香りとハーバルノート
干し草、タバコ、バニラのニュアンスがある
揮発性ベースノート
香り強度強い

リアトリス(ディアトング)は、トンカビーンズやバニラのような甘い香りのアブソリュートが採れる北米の植物です。

香りに深みや温もりを与えるために効果的に使用されます。

香りの良い葉は、ポプリやサシェの材料としても活躍します。

香料 | アロマテラピー | ハーブ | 料理 | 園芸

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Fragrance 香料

香りの
性質
クマリンやバニラの甘い香りとハーバルノートが一体になった香り
主な
使用法
フゼアタイプやタバコノートに温かみを加える
使用量強い香りなので少量を使用する
注意クマリンには最大使用量の制限あり

リアトリスアブソリュートの抽出には、乾燥葉を使用します。

新鮮な葉には特徴的な香りがなく、乾燥中に成分が変化してクマリンが生成されることで香りを発するようになります。


溶剤抽出でコンクリートを得て、それをアルコール処理することでアブソリュートが得られます。

リアトリスの植物画
‘liatris odoratissima’ 1896頃 by Alois Lunzer

香りの成り立ち

リアトリスの主な香気成分は、クマリンです。

乾燥葉には約1.6%、アブソリュートには50~75%程度のクマリンが含まれています。

  • クマリン
    甘くて温かいパウダリー、バルサミック。
    スパイシー、フローラル、カラメル、干し草などのニュアンスもあります。
    桜の葉のほか、チェリー、ストロベリー、アプリコットなどのフルーツにも含まれている成分です。
    • トンカビーンズアブソリュートスイートグラスヘイアブソリュートラベンダーアブソリュートカッシアなどにも含まれています。
  • ジヒドロクマリン
    甘いハーバル、バルサミック。
    シナモンやココナッツなどのニュアンスもあります。
    酸化するとクマリンになります。
クマリン
クマリン

ブレンドテクニック

  • フゼア、アンバー、オリエンタル、ウッディ、レザーなどの香調に使用されます。
  • タバコの香料として使用されてきたことから、香水のタバコノートにも使用されます。
  • トンカビーンズ、タバコ、バニラ、干し草、ハーブなどを思わせる香りは、ブレンドに心地よさや温かみを加えたいときに役立ちます。

使用されている香水

  • Jannat/ジャナット(Memo Paris、2008)
    レモンやベルガモットの活き活きとしたシトラス、ネロリやプルメリアの明るいフローラル、リアトリス、トンカビーンズ、ムスクなどの温かい香りをミックスして「楽園」を表現した香り。
  • Eau de Rochas Fraiche/オー デ ロシャス フレーシュ(Rochas、2010)
    ベルガモット、アクアティック、ホワイトフローラルという爽やかな組み合わせに、オークモス、ムスクを合わせて滑らかさを出しています。
    リアトリスとオリスでパウダリーなニュアンスも加えられています。
  • Speakeasy/スピークイージー(Frapin、2012)
    モヒート(ラム+ミント+ライム)、ダバナなどの酔わせる香りに、ラブダナム、タバコ、リアトリス、イモーテルのアブソリュートが組み合わされた重厚な香り。
  • Cuir Cuba Intense/キュイール キューバ アンタンス(Nicolai、2014)
    温かみのあるレザータバコのフレグランス。
    スターアニスとリコリスのトップノート、タバコアブソリュート、ヘイ、リアトリスのベースノート。
  • 701(Bon Parfumeur、2017)
    グレープフルーツやパイナップルのトロピカルなフルーティノートと、ユーカリやコリアンダーのアロマティックノートが中心になった香り。
    リアトリスはアンバーウッディとともにベースノートで使われています。

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香料としての歴史と活用法

リアトリスは、クマリンの供給源としてトンカビーンズとともに貴重な植物でしたが、1868年に合成クマリンが登場してからはあまり出番がなくなりました。

タバコの香り付けとしては、さまざまなタイプに長年使用されています。

  • 甘い香りのリアトリスの葉は、ポプリに使用することもできます。
    • バニラシナモンアンジェリカパチュリオリスなどと組み合わせると良いです。

Herb therapy ハーブセラピー

ハーブとしての歴史と伝承

リアトリスの乾燥した葉や根は、北米で薬として使われていました。

発汗、利尿、熱、痛み止めなどのために、お茶にして飲まれていました。

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Gardening 園芸

種類多年生
背丈1~2m
環境湿った土

姿かたち

リアトリスの植物画
1797年 by Henry Charles Andrews
  • 太い根茎を持ち、茎は上のほうで分岐します。
    背丈は1~2mほど。
  • 葉は分厚いスプーンのような形で、長さは25cmくらい。
  • 小さな紫色の花がたくさん集まって咲きます。

栽培と収穫

  • 北アメリカの南東部に自生している植物です。
  • 秋の初めから終わりにかけて開花し、数週間咲き続けます。

名前の由来・伝説

  • 「Deertongue/ディアトング」という名前は、「鹿の舌」という意味。
    分厚い葉のかたちが似ているため。
  • 「Vanilla leaf/バニラリーフ」という名前は、葉の香りから付けられました。
  • 「リアトリス」「ディアトング」「バニラリーフ」はどれも、同じ名前で呼ばれる別の植物が存在するので、混同しないように注意が必要です。

近縁種・間違いやすい品種

キク科リアトリス属(ユリアザミ属、キリンギク属)の植物は40種ほどあり、Carphephorus odoratissimus (syn. Liatris odoratissima)/ニオイキリンギク」もそのうちの1つです。

香料とは関係ない場面で「リアトリス」というときは、たいていLiatris spicata/キリンギク」のことを指します。

キリンギクは薄くて細長い葉と穂状の花を持ち、園芸植物として人気です。

リアトリス(キリンギク)
キリンギク

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