Lavender
ラベンダー
学名 | ・Lavandula angustifolia Mill. ・Lavandula officinalis Chaix ・Lavandula vera DC. |
科名 | シソ科 |
別名 | 真正ラベンダー、ラベンダー・トゥルー、ラベンダー・イングリッシュ、コモンラベンダー |
原産地 | 地中海沿岸 |
主産地 | フランス、ブルガリア、オーストラリア |
使用部位 | 花、茎葉 |
主な成分 | 精油、フラボノイド、タンニン |
採油部位 | 花と茎葉 |
採油法 | 水蒸気蒸留 / Lavender oil 溶剤抽出 / Lavender abs. |
採油率 | 0.6~0.7% / oil 花からのコンクリート収率は0.6~2.2%、コンクリートからのアブソリュート収率は50~65% / abs. |
性状 | 無色~淡黄色 / oil 赤褐色~暗黒色 / abs. |
主な成分 | 酢酸リナリル、リナロール、β-オシメン、β-カリオフィレン、酢酸ラバンジュリル、テルピネン-4-オール、α-テルピネオール、ラバンジュロール、3-オクタノン、酢酸ゲラニル / oil 酢酸リナリル、リナロール、クマリン、β-カリオフィレン、酢酸ゲラニル、テルピネン-4-オール、7-メトキシクマリン / abs. |
香り | フレッシュなアロマティックハーバル。ソフトで甘いフローラル、ウッディ、バルサミックなニュアンスもある。 / oil 生花に近い香りで、グリーンノートと干し草のようなニュアンスもある。 / abs. |
揮発性 | トップ~ミドル / oil ミドル~ベース / abs. |
香り強度 | 弱め / oil 中程度 / abs. |
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Fragrance 香料
香りの 性質 | フレッシュで軽く、ソフトな甘さのあるハーバルノート。 |
主な 使用法 | シトラスやアロマティックのフレッシュな香りにやわらかさを出す。 フゼアタイプ、メンズフレグランス。 |
使用量 | 多めに使ってもほかの香りを圧倒することはなく、ブレンドしやすい。 |
注意 | ─ |
「ラベンダー」にはいろいろな種類がありますが、香料として1番質が高いのは「真正ラベンダー」と呼ばれるLavandula angustifoliaです。
真正ラベンダー精油の特徴としては、以下のようなものがあります。
- ほかのラベンダーより酢酸リナリルの量が多い
- ほかのラベンダーよりケトン類(カンファーなど)の量が少ない
そのためツンとした薬っぽいニュアンスをあまり感じない、甘くやわらかいラベンダー香となっています。
(以下、ラベンダー=真正ラベンダー)
ラベンダー精油は、酢酸リナリルの量(多いほうが良い)によってランク付けされます。
一般的に標高が高い場所で育ったラベンダーほど質が良くなるといわれていますが、最高品質のものだと酢酸リナリルが全体の50%以上を占めています。
ラベンダーアブソリュートは、香りが生花に近く持続力が強いのが特徴。
そのほか、香料として扱いやすいようにテルペン類を除去した精油、濃い色を脱色したアブソリュートなどが使われることもあります。
香りの成り立ち
ラベンダー精油の主成分は、酢酸リナリルとリナロールです。
2つ合わせて全体の70%前後を占めています。
- 酢酸リナリル
フレッシュで甘さと酸味があるフローラルフルーティ。
ラベンダー、ベルガモット様。- クラリセージ、プチグレン、ベルガモット、マージョラム・スイート、ネロリなどにも含まれています。
- リナロール
穏やかで軽いフローラルノート。ウッディ、スパイシー、クリーミーなニュアンスがあります。
ライラック、ラベンダー様。- ホーリーフ、ローズウッド、コリアンダー、ハニーサックルアブソリュート、マグノリアなどにも含まれています。
上記2つに加えて、以下のようなアルコール類・エステル類がラベンダーの香りを作っています。
- ラバンジュロール
シトラスやローズの雰囲気を帯びた、ほのかなフローラル、ハーバルノート。 - 酢酸ラバンジュリル
フレッシュハーバル、フルーティ。
ラベンダー、ローズ様。 - 酢酸ゲラニル
ローズのような甘いフルーティフローラル。
酢酸リナリルと組み合わせるとラベンダー様の香りになります。- イランイラン、パルマローザ、シトロネラ、ローズ、メリッサなどに含まれています。
以下は、全体への影響度は少ないもののラベンダーの香りに複雑な表情を与えている成分です。
- β-オシメン
フレッシュで温かみのあるハーバル、シトラス、ウッディ。- ジョンキルアブソリュート、オポポナックス、タラゴン、ネロリ、ブラックカラントアブソリュートなどに含まれています。
- β-カリオフィレン
ドライで温かいウッディノート。ピリッとしたスパイシーなニュアンスがあります。- コパイバ、ブラックペッパー、イランイラン、クローブ、シナモンなどにも含まれています。
- テルピネン-4-オール
爽やかなライム様シトラス、スパイシー、フローラル。- ティートリー、マージョラム・スイート、ジュニパー、ナツメグ、フランキンセンスなどにも含まれています。
- α-テルピネオール
ライラック様フローラル。ほんのりスパイシー、スイート。- ライム、カユプテ、マージョラム・スイート、レモン、ネロリなどにも含まれています。
ラベンダーアブソリュートも、主成分は酢酸リナリルとリナロール。
そのほかも同じような成分を含みますが、アブソリュートにはクマリンが含まれているというのが特徴です。
- クマリン
パウダリー、スイートスパイシー、バルサミック。枯れ草やカラメル様の温かみがあります。
桜の葉の香り成分です。- トンカビーンズアブソリュート、ヘイアブソリュート、カッシア、ナルシスアブソリュートなどにも含まれています。
相性のよい香り
- どの柑橘と合わせても、気持ちのよい爽やかな香りを作れます。
- ラベンダーの酸味を強調してキリッとさせたいときはレモン。
- リラックスできる香りにしたいときはオレンジ・スイート。
- ラベンダーの香りに自然なメリハリを出したいときはベルガモット。
- ラベンダーとローズマリーを組み合わせると、温かみのあるアロマティックな香りができます。
コロン系では定番の組み合わせです。- さらにゼラニウム、クラリセージ、カモミール・ローマン、マージョラム・スイートなどをブレンドすると、やわらかさのある心地よい香りに。
- またはタイム、バジルなどをブレンド(量は控えめに)すると、熱さがくっきりと際立つアクティブな香りに。
- ラベンダーに少し表情をつけたいときは、以下のような香りを少量ブレンドするとよいです。
- 高級感を出すならジャスミン。
- ピリッとした刺激がほしいときは、コリアンダーかナツメグ。
- ラベンダーの涼しさを後押しするのは、ペパーミントとパイン。
- ラベンダーとローズを一緒に使うと、イギリスのガーデンやポプリを思わせるクラシックな香調になります。
- ラベンダーにサイプレス、ジュニパー、シダーウッド・アトラスなどをブレンドすると、軽やかなフレッシュウッディノートができます。
- ラベンダーを使って重厚な香りを作りたいときは、サンダルウッドかパチュリを合わせるとよいです。
- さらにラブダナム、バニラ、オークモスのどれかを足しても。
ブレンドテクニック
- アロマブレンドで香りがバラバラした印象のとき、ラベンダーを1、2滴加えると全体の香りがまとまります。
- オーデコロンの材料として伝統的に使われます。
シトラス中心の鋭い香りにラベンダーを加えると、香りにやわらかさや上品さが生まれます。 - フゼアタイプの香りは、ラベンダーが核になります。
- ラベンダー、ゼラニウムorローズ、クマリン(天然香料ならトンカビーンズアブソリュートを利用する)が基本構成です。
- フレッシュ感を強調するにはベルガモットを加えます。
- オークモスとパチュリを加えることも多いです。
- 甘いアンバーノートのフレッシュなアクセントとしても使えます。
- ラベンダーは昔から理髪店で使われたりアフターシェーブローションに配合されたりしていたため、メンズフレグランスやコスメの香りとして定番です。
- アロマティックなハーブをブレンドすると、温かく清潔感のある香りになります。
- バニラをブレンドすると、やわらかく洗練された香りになります。
合成香料
ラベンダー調合香料もさまざまなタイプがあります。
- ラベンダーウォータータイプ
身だしなみに使われていた「ラベンダーウォーター」の昔ながらの香り。
いろいろなタイプがありますが、たとえばラベンダー、ベルガモット、ローズマリー、少量のローズ、トンカビーンズなどのほか、シベット、ムスク、バニリン、メントールなどの合成香料が配合されます。 - ラベンダーアンバータイプ
ラベンダー、ラブダナム、ローズ、ゼラニウム、クローブ、サンダルウッド、ベンゾイン、スチラックス、アンバーグリスなどがブレンドされます。
使用されている香水
- Jicky/ジッキー(Guerlain、1889)
合成香料のバニリンをはじめて取り入れた香水として、今なお語り継がれています。
シトラス、ラベンダー、オリスなどの冷たいノートから、バニラ、アンバーの温かい残り香へと続く絶妙な香り。 - English Lavender/イングリッシュ ラベンダー(Yardley、1913)
ラベンダーがフレッシュに香るクラシックなフレグランス。
ラベンダー、ベルガモット、ゼラニウム、トンカビーンズ、オークモスという王道のフゼアタイプ。 - Pour Un Homme/プール アン オム(Caron、1934)
男性の身だしなみの香りとして定番だったラベンダーに、やわらかいバニラとムスクをブレンドして進化させたメンズフレグランス。
爽やかでエレガントな香り。 - Eau Noire/オー ノワール(Dior、2004)
3種類のラベンダー、アロマティックなハーブ、個性の強いヘリクリサム、グルマンなリコリス&コーヒーがユニークなコントラストを描く独創的なフレグランス。 - Jersey/ジャージー(Chanel、2011)
ジャージー生地のようにやわらかく心地よいラベンダーの香り。
モンペリエ近郊のラベンダー、ローズとジャスミンの甘いフローラル、クリーミーなバニラがやさしく上品に香ります。 - Libre/リブレ(Yves Saint Laurent、2019)
ラベンダー+ホワイトフローラルの、フェミニンでやわらかい雰囲気のフレグランス。
ラストはバニラ、アンバー、ムスクの温かくパウダリーな香り。 - Silver Birch & Lavender Cologne/シルバー バーチ & ラベンダー コロン(Jo Malone London、2020)
クールでビターな印象のラベンダー。
トップノートは爽やかなグレープフルーツとラベンダー。そこからシルバーバーチのスモーキーウッディへとつながっていきます。
その他ラベンダーを含む香水
「Fougere Royale/フジェール ロワイヤル(Houbigant、1882)」
「English Lavender/イングリッシュ ラベンダー(Atkinsons、1910)」
「Paco Rabanne Pour Homme/パコラバンヌ プールオム(Paco Rabanne、1973)」
「Azzaro pour Homme/アザロ プールオム(Azzaro、1978)」
「Drakkar Noir/ドラッカーノワール(Guy Laroche、1982)」
「Egoiste Platinum/エゴイスト プラチナム(Chanel、1993)」
「Mon Guerlain/モン ゲラン(Guerlain、2017)」
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香料としての歴史と活用法
古代エジプトの人々は、香水やワックスコーン(頭にのせる円錐型の帽子。少しずつ溶けて香りを放つ)の材料にラベンダーを使っていました。
中世ヨーロッパでは、ラベンダーを引き出しに入れてリネンや衣類に香りをつけたり、サシェ、ポプリ、タッジーマッジー(小さい花束)の材料としても広く使うようになりました。
また、家や教会の床にラベンダーをばらまき、踏むと心地よい香りが広がるのを楽しんだりもしていました。
15世紀ごろは、グラースの職人が皮製品の香りづけにラベンダーを使うこともあったようです。
その後、貴族の間でもラベンダーの香りが愛されるようになり、宮殿ではリネンやシーツに香りをつけたり、ラベンダーを詰めたクッションを部屋に置いたり、ラベンダーオイルを混ぜたミツロウで家具を磨いたりしてその香りを楽しみました。
ラベンダーサシェの香りを嗅いでいる女性
17世紀には、イギリスのラベンダーウォーターが人気を博し、サリー州ミッチャムで商業的なラベンダー栽培&蒸留が開始されます。
それ以前も簡単なラベンダーの蒸留は行われていましたが、ミッチャムの土壌と気候は世界最高のラベンダーウォーターを生み出すと評判になりました。
このラベンダーウォーターは、ラベンダーの花と他のいくつかの原料をいっしょに蒸留することで得られます。
これは香水としても薬としても用いられましたが、洗顔後やひげそり後の手入れ、入浴するお湯の香りづけなどにもよく使われていました。
18世紀フランスの宮廷では、ラベンダーウォーターが男女関係なく大量に消費されていたそうです。
現代でも、ラベンダーは広く香料として使用されており、石けんや入浴剤、ポプリ、サシェ、ドライフラワーなど、伝統的な香りとして多くの人々に愛されています。
- 17~18世紀に流行した「香水風呂」
- ラベンダー、ローズ、ジャスミン、オレンジフラワーなどの花、その他さまざまなハーブを入れて沸かしたお風呂のこと。
湯が沸いたら、さらにラベンダーなどのオイルも加えて入浴していました。
- ラベンダー、ローズ、ジャスミン、オレンジフラワーなどの花、その他さまざまなハーブを入れて沸かしたお風呂のこと。
- ラベンダーのサシェ
- 入浴用のサシェなら、ローズ、カモミール、レモンバーム、ミントなどを一緒にいれるとよいです。
- ラベンダーのポプリ
- どんなタイプにも合わせることができますが、定番はローズとのミックス。
- レモン系ハーブ、ミント、タイム、バジル、ローズマリーなどともよく合います。
- パインニードル、ジュニパーベリー、砕いたローレル、オークモス、柑橘果皮などを加えても◎。
- シナモン、クローブ、カルダモン、バニラなどのスパイスも加えると深みが出ます。
- ラベンダーの花は、インセンスの調合にも使われます。
- シダーウッド・バージニア、マスティック、オークモス、トンカビーンズ、バニラ、オポポナックスなどと合わせるとリラックスできる香りに。
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Aromatherapy アロマテラピー
作用 | 鎮静、鎮痙、鎮痛、抗炎症、抗リウマチ、神経バランス調整、消化器系ケア、皮膚の再成長サポート |
適用 | 眠れない、不安、緊張、落ち込み、消耗、PMS、日焼け、やけど、傷あと、虫よけ、菌対策 |
注意 | ─ |
ラベンダーは、アロマテラピーではもっとも基本となる精油です。
甘くやさしい香りはリラックスの代名詞的存在で、どの香りとも合わせやすいということも人気の理由の1つ。
ディフューザー、アロマバス、アロマトリートメントなどさまざまな方法で使うことができます。
精神のために役立てる
ゆっくりリラックスしたいとき、ぐっすり眠りたいときに使う精油としては第1候補です。
- リラックスのための普段使いの香りなら、ゼラニウム、マージョラム・スイート、ネロリ、フランキンセンス、ベチバーなどをブレンドすると◎。
- 眠る前に使う香りは、甘さがあって重すぎない香りがおすすめ。
たとえば以下のような精油をブレンドするとよいです。- オレンジ・スイートまたはマンダリン。
- カモミール・ローマン、クラリセージ、ローズの中から好きなものを1つ。
怒り、不安、パニックなど、激しく高ぶった感情をおだやかに冷やして鎮めます。
基本的には上記のリラックスブレンドを使い、状況に合わせて以下のような精油も足しましょう。
- 怒りやイライラをコントロールしたいとき。
- うっ積した感情が欲求不満につながっているなら、ベルガモットを多めにブレンド。
- 傷ついた心が怒りに発展しているなら、ローズかヘリクリサムをブレンド。
- 不安や緊張に対処したいとき。
- 慢性的な不安、焦りが消えないなら、メリッサをブレンド。
- パニックや恐怖心をやわらげるためには、イランイランとフランキンセンスをブレンド。
ラベンダーはただ鎮静させるだけではなく、不安定になったバランスを調整するようにはたらきます。
- 落ち込みや憂うつ(PMSなども含む)には、ベルガモット、クラリセージ、コリアンダーをブレンド。
- ストレスが続いたせいで無気力になっているときは、オレンジ、サイプレスをブレンド。
- リラックスしすぎず適度に明晰な状態を保ちたいときは、レモン、ユーカリ、パインをブレンド。
怒りも悲しみも洗い流してくれる精油
名前の由来となった「lavare(洗う)」という言葉どおり、ラベンダーは心の中に蓄積した感情をきれいに洗い流してくれる精油です。そして静かでリラックスした精神状態へと導いてくれます。
とくに感受性が豊かで人一倍敏感なのにそれを表に出さないようにしがちな人、表現することに対してなんらかのブロックを感じているような人に役立ちます。
長年フタをしてきた感情、焦り、混乱などから解放され、自由で澄んだ心で目の前の状況に対処するサポートをしてくれます。
身体のために役立てる
- 消化器系の不調(とくにストレスに関連するもの)に役立ちます。
- キリキリした痛みには、ベルガモット、マージョラム・スイートをブレンド。
温湿布やオイルトリートメントがおすすめ。 - ムカムカする、消化不良などには、ペパーミント、レモン、フェンネルをブレンド。
- キリキリした痛みには、ベルガモット、マージョラム・スイートをブレンド。
- そのほかの痛みをやわらげるのにも役立ちます。
- 頭が痛いときは、ペパーミントかユーカリをブレンド。
- 肩や腰のコリ、痛みには、ジュニパーをブレンド。
- 生理による痛みなら、サイプレスかクラリセージをブレンド。
美容のために役立てる
ラベンダーはすべての肌タイプのスキンケア、ヘアケアに使うことができます。
- ふつう~乾燥肌/髪には、カモミール・ローマンもしくはゼラニウム、サンダルウッドをブレンド。
- オイリー肌/髪には、ローズマリー、ティートリーをブレンド。
- ローションを作って肌や頭皮に使えば、毛穴・スカルプケアができます。
- シャンプー・リンスに混ぜれば、フケ対策になります。
- 炎症を抑えたり皮膚の再成長をサポートするラベンダーは、日焼け後のお手入れにぴったりです。
- リフレッシュも兼ねたボディミストには、少しだけペパーミントを加えるとさらに◎。
- 日焼けに限らず、軽いやけどや虫刺されなどにも使えるジェルやクリームを作るなら、ティートリーも加えるとよいです。
- 足を清潔に保つための手入れに。
ゼラニウムなどもブレンドしてフットバスにしたり、スプレーやクリームを作ってもよいです。
その他の使い方
- 空気をきれいにしたいときは、ペパーミントをブレンドしてディフューザーで拡散します。
- 虫よけスプレーには、レモングラスとゼラニウムをブレンドするとよいです。
ボディ用としてはもちろん、網戸に使ってもOK。
ラベンダーは、化粧品の成分としても頻繁に利用されます。
また、精油を蒸留するときに同時に得られる「ラベンダー芳香蒸留水」も人気です。
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Herb therapy ハーブセラピー
作用 | 鎮静、鎮痙、鎮痛、神経バランス調整、消化器系ケア、皮膚の再成長サポート |
適用 | 眠れない、不安、緊張、落ち込み、消耗、日焼け後のスキンケア、菌対策 |
注意 | ─ |
ラベンダーは、バスタブに入れて入浴剤にしたり、ハーブティーにして飲んだり、チンキを作って肌に塗布したりとさまざまな方法で利用できます。
フレッシュハーブ、ドライハーブどちらでも使えます。
健康のために役立てる
リラックスや眠りに良いハーブとして定評のあるラベンダー。
ハーブティーを作って飲むのがおすすめです。
- 不安や緊張をやわらげるハーブとしてすぐれた力を発揮します。
- 不安や心配事で押しつぶされそうなときは、スペアミント、レモンバーベナをブレンド。
- 緊張がなかなか解けずに休まらないときは、カモミール・ジャーマン、レモンバームをブレンド。
- ストレスに関連した悩みがあるときは、上記のブレンドにさらに以下のハーブも足します。
- 眠れないときは、パッションフラワー、リンデン(またはオレンジフラワー)をプラス。
この場合はハーブピローを作るのも◎。 - 頭が痛くなるときは、バレリアンをプラス。
- 胃腸の調子が悪くなるときは、フェンネルをプラス。
- 眠れないときは、パッションフラワー、リンデン(またはオレンジフラワー)をプラス。
- 落ち込んだ気持ちが続いたり気力が湧いてこなかったりするときは、おだやかに元気づけてくれます。
- 落ち込みには、ローズマリー、オート、レモンバームをブレンドするとよいです。
- 落ち込んでいるわけではないが気分転換したいというときは、レモングラス、バジル(またはタイム)、ローズマリーをブレンド。
紅茶、ハチミツ、レモンスライスを足してもOK。
- 更年期やホルモンバランスによる気分の揺れなら、ルイボス、レッドクローバー、ラズベリーリーフ、ローズをブレンド。
美容のために役立てる
ラベンダーで作った浸剤や浸出油は香りもよく、スキンケアやヘアケアに幅広く役立ちます。
- ラベンダーをバスタブにいれると、香りがよいのはもちろん、心身をほぐして肌を清潔に整えてくれます。
お風呂上がりにラベンダーのコロンを使えば完璧! - 足のデオドラントには、フットバスを利用します。
- カレンデュラ、ラベンダー精油を加えてもよいです。
- オイリースキン・ヘアのバランスを整え、おだやかに引き締めます。
浸剤をフェイシャルスチームやローションに加えたり、浸出油をクリームに加えたりすることができます。 - 日焼け後のクールダウン、スキンケアにも。
ハーブとしての歴史と伝承
古代エジプトでは、ラベンダーは香水だけでなく、ミイラに塗る軟膏にも使用されていました。
古代ギリシャ人は、ラベンダーには怒りや執着、災いを鎮める力があると信じ、女神ヘカテに捧げていました。
ラベンダーの浄化作用や傷を癒やす作用は古代から知られており、ローマ人は入浴するときにラベンダーを利用していたとされています。
(これについては諸説あります)
12世紀には、ドイツのヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179)がラベンダーの作用についてまとめ、この植物のすばらしい力をヨーロッパ全域に広めました。
ヒルデガルトは、有名な「ラベンダーウォーター」の発明者だともいわれています。
ラベンダーウォーターは香水やデオドラントとして使用されるだけでなく、痛みをやわらげたり、枯れた声を癒やしたり、活力を取り戻す薬としても広く利用されました。
16~17世紀にペストが流行したときは、ほかのハーブと同じくラベンダーも「病気を避ける力」があると噂されました。
そこで、ラベンダー、ガーリック、ビネガーなどを混ぜた混合液が登場します。
当時たくさんいた泥棒の中でペストにかからなかった4人はこれを全身に塗っていたということで、この液体は後々「4人の泥棒のビネガー」と呼ばれるようになりました。
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Cooking 料理
風味 | 香りも苦みも強い。 |
主な特徴 | 風味が強く出やすいので控えめに使用する。 |
作り置き | ビネガー、オイル、ハニー、シュガー、シロップ |
ラベンダーを食材として使うことは、古代では一部の食通を除いてあまり一般的ではなかったようです。
16~17世紀になると、スイーツやデザートに香りをつける利用法が徐々に広まっていきます。
ラベンダーの香りをつけたホットチョコレートは、マリー・アントワネットやナポレオンも好んで飲んでいたそうです。
料理に最適なラベンダーは、香り高い真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)。
ほかのラベンダーやラバンジンのようなツンとした刺激がないため、甘くやわらかい香りを楽しめます。
とはいえラベンダーの風味はかなり目立つので、ひかえめに使ってほんのり香らせるのがポイントです。
使い方のコツ
- さまざまな肉料理の風味付けに使えます。
- とくにラムと相性がよく、子羊にラベンダーを食べさせて育てることもあります。
- 調理前にすり込んだり、ローストして振りかけたり、バーベキューで葉を加えたりしても良いです。
- ガーリックと一緒に使うと◎。
- 完成した肉料理にラベンダージャムを添えることもあります。
- お菓子やデザートにも香り高い風味を与えます。
- ケーキやスコーン、ブラウニー、クッキー、チョコレート、マシュマロ、ゼリー、クレームブリュレなどの香りづけに。
- アイスクリーム、ソルベなど、冷たいデザートには特によく合います。
- 材料のミルクやクリームに香りを移してもいいし、細かく刻んで生地に加えても。
- ラベンダーシュガーを作っておくと便利です。
- お菓子やデザートの材料に。
- チーズやフルーツサラダにかけたり、紅茶の風味付けに使ったりもできます。
- ラベンダーフラワーの砂糖漬けは、ケーキのデコレーションに使うと華やか。
- 同様にラベンダーの香りをつけたシロップ、ハニー、オイル、ビネガーなども、料理に手軽に芳香をつけられます。
世界の料理
- エルブ・ド・プロヴァンス/Herbes de Provence
プロヴァンスのハーブを使った伝統的なミックススパイス。
グリルした鶏肉、魚、サラダなどに使います。- ローズマリー、セイボリー、タイム、バジル、オレガノ、フェンネル、ローレルなどがブレンドされることが多いです。
- ラベンダーははじめから入っていたわけではなく、プロヴァンスのイメージとして観光客ウケを狙って加えられるようになりました。
- ラベンダーハチミツ
- プロヴァンスでは、1920年頃にラベンダー・ラバンジンからハチミツを採取するようになりました。
- コルシカ島には、マキ(灌木地帯)に育つラベンダーやヒースなどの花から集めたハチミツがあります。
アイディア
food
- トーストにバターを塗り、ラベンダーシュガーを振りかける。
- ラベンダーと少量のクローブで、ハチミツに香りをつける。
このハチミツを使ってドレッシングに甘みをつけてもいいし、アイスティーや白ワインに加えても◎。
dessert
- ラベンダー、ハイビスカス、レモングラスなどで、ゼリーに鮮やかな色とやさしい風味をつける。
- ラベンダー、レモングラス、コリアンダー、ジンジャーでハーブティーを作り、冷やす。
このティー+炭酸水を、ココナッツアイスクリームに注ぐ。 - シロップにラベンダーとバニラビーンズを浸して風味をつけ、濾す。
このシロップにイチゴなどのフルーツを加え、冷やす。
drink
- グレープジュース(または甘口の赤ワイン)にラベンダー、クローブ、シナモン、ライムスライスを加え、沸騰直前まで温める。
冷やして炭酸水を加える。 - ラベンダーやローズをブレンドしてフローラルなハーブティーを作り、カシスリキュールで割る。
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Gardening 園芸
種類 | 常緑低木 |
背丈 | 1m前後 |
環境 | 日当たりが良く乾燥した場所と、水はけのよい土壌。 |
STORY
古代ギリシア・ローマ人は、ラベンダーのことを「ナルド」という名前で呼んでいました。
この時代に記録されているラベンダーは、ラベンダー・フレンチ(Lavandula stoechas)だと考えられています。
そのほかにも地中海地方には数種類のラベンダーがあり、とくに区別されることなくそれぞれの場所でそれぞれのラベンダーが利用されていたようです。
古代ローマ「薬物誌」(ディオスコリデス著)の写本。
真正ラベンダー(L. angustifolia/古い学名はL. vera)について、ほかのラベンダーと区別して初めて記録したのは、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179)だとされています。
ヒルデガルトは、このラベンダーの香りと使い方を著書の中で述べ、その存在をヨーロッパ全土に広めました。
その後、ラベンダーが忘れられかけた時代もありましたが、修道院の薬草園では常に栽培が続けられていました。
現在では香水、アロマテラピー、ハーブティーなどさまざまな分野で欠かせない香りになっています。
姿かたち
- 植物全体に芳香があり、基部は木質化します。
- 茎の先端に花穂をつけます。
花は青紫色で、こまかい毛で覆われています。 - 葉は灰色がかった緑色。
- 花をつける茎が分岐しないことと、葉が細く尖っていることが特徴。
これはラベンダー・スパイクと見分けるポイントになります。 - 細い根は、浅く広く張ります。
栽培と収穫
- 標高が高く乾燥した場所でよく育ちます。
地中海沿岸の丘陵地などによく野生しています。 - 水はけの良い、石灰質のやせた土壌を好みます。
- 朝と夜は涼しく、昼間は強い日差しが当たる場所がベスト。
- 平均的な冬であれば耐えられますが、極端な寒さや霜には耐えられません。
夏の蒸し暑さや湿気も苦手。 - 夏に開花したらすぐ刈り取り、蒸留します。
- 水蒸気蒸留にかかる時間は、1時間以内。
ラベンダー街道(Route de la Lavande)
南仏のプロヴァンスにはラベンダーの名所が数多くあり、この一帯をつなぐ道を「ラベンダー街道/Route de la Lavande」といいます。
約1,000kmにわたって広がるこのルートには、壮大なラベンダー畑を楽しめるエリアがいくつもあります。
たとえば、ヴォクリューズ県の「ソー/Sault」という村のラベンダー畑、「ゴルド/Gordes」村の「セナンク修道院/Notre-Dame de Sénanque」(上の写真)。
アルプ=ド=オート=プロヴァンス県の街「ディーニュ=レ=バン/Digne-les-Bains」のラベンダー祭り、「クステレ/Coustellet」のラベンダー博物館も有名です。
*ラベンダー街道の公式サイト(地図、各スポットの紹介ページあり) → Routes de la Lavande
*セナンク修道院の公式サイト → Abbaye Notre-Dame de Sénanque
購入と保存
- フレッシュでもドライでも使えます。
乾燥保存に適しているので、使い切れないぶんは乾燥させておくと冬でもラベンダーを楽しめます。 - 乾燥させるときは、35℃以上にはならないできるだけ湿気の少ない場所でていねいに干します。
名前の由来・伝説
- 「Lavender/ラベンダー」という名前の語源は、ラテン語の「lavare/ラワーレ(洗う)」だというのが定説になっています。
ラベンダーは伝統的にお風呂や洗濯物の香りづけに使うハーブであり、古代ギリシア・ローマでも入浴に使われていたからというのが理由ですが、その時代から本当に入浴に使われていたかどうかは疑問視する声もあります。 - もう1つは、ラテン語の「livere(青みがかった)」が由来という説。
- 学名の「angustifolia」は、ラテン語で「細い葉」を意味します。
- 「ラベンダー・イングリッシュ」という名でも呼ばれますが、イギリス原産ではありません。
かつてイギリスで大々的に栽培されていた時代があり、こう呼ばれるようになりました。 - 古代ギリシアでは、ラベンダーのことを「ナルド」と呼んでいました。
シリアの都市「Naarda/ナールダ」から伝えられた植物とされていたため。- この名前のせいで、「スパイクナード」と混同されることがあります。
聖書に出てくる「ナルドの香油」も、スパイクナードではなくラベンダーのオイルではないかともいわれています。
- この名前のせいで、「スパイクナード」と混同されることがあります。
近縁種・間違いやすい品種
「ラベンダー」にはさまざまな種類がありますが、香りを利用するためのラベンダーは主に3種類。
- 真正ラベンダー/Lavandula angustifolia
標高600m以上で育つラベンダー。 - ラバンジン/Lavandula × intermedia
標高600m前後に育つラベンダー。 - ラベンダー・スパイク/Lavandula latifolia
標高600m以下で育つラベンダー。
もともと標高の高い場所で「①真正ラベンダー」、低い場所で「③ラベンダー・スパイク」が野生しており、その中間地点で2種が自然交配して誕生したのが「②ラバンジン」です。
ラバンジンは、ほか2つの性質を併せ持ったラベンダーで、現在クローン種として大規模に栽培されています。
ラベンダーは標高が高くなればなるほど、良質な甘い香りの精油が採れるとされています。
ラベンダー・スパイクにも真正ラベンダーとは違う香り・効能がありますが、安価で供給も安定しているラバンジンに押されて、その重要性は低くなってきています。
Lavender spike/ラベンダー・スパイク
学名 | ・Lavandula latifolia Medik. ・Lavandula spica Cav. |
科名 | シソ科 |
別名 | ラベンダー・アスピック、広葉ラベンダー |
採油法 | 花茎を水蒸気蒸留 |
精油成分 | リナロール、1,8-シネオール、カンファ―、α-テルピネオール、ボルネオ―ル、β-カリオフィレン、α-ピネン、β-ピネン |
香り | 甘さ控えめで刺激のあるフレッシュハーバル。 スッキリした透明感のある香り。 |
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古代ギリシアやローマで使われていたラベンダーは、「ラベンダー・フレンチ/Lavandula stoechas」です。
現代では観賞用として人気がありますが、香料や一般的なアロマテラピーではあまり使われていません。
Lavender French/ラベンダー・フレンチ
学名 | Lavandula stoechas L. |
科名 | シソ科 |
別名 | ラベンダー・ストエカス、ラベンダー・スパニッシュ、マリタイムラベンダー |
採油法 | 花茎を水蒸気蒸留 |
精油成分 | カンファ―、フェンコン、1,8-シネオール、α-ピネン、カンフェン、酢酸ミルテニル、酢酸ボルニル、リナロール、ミルテノール、d-リモネン |
香り | ツンとする刺激的なフレッシュハーバル |
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